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北の離れ 2011

古書店主が綴る日常雑記 古本屋な日々...  profile

・12月25日 本年10大ニュース
・11月18日 数字 2
・10月19日 まさかね
・9月17日 数字
・8月16日 国内移入種・外来種
・7月27日 涼感
・6月25日 ヤマノイモカーテン
・5月25日 胡麻斑蝶
・4月23日 コンパッション・ファティーグ
・3月15日 自戒・冷静
・2月19日 SUNSET
・1月1日 Avian influenza−鳥インフルエンザ


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2011年 師走15日 本年10大ニュース
 某新聞社による、本年10大ニュース読者web投票に参加しました。国内は63項目、海外は48項目(更に其々投票者が任意に選択できる「その他」が二項目づつ)の中から10項目づつ計20項目を選択し応募、と言う形。私は国内・海外其々以下のものを選択し応募しました。
 尚、ただ列記するだけではつまらないので、一応其々私見・感想等を添えさせて頂きました。

国内
東日本大震災発生
被災された方々に謹んでお見舞い申し上げます。
被災地でのDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)の事例やアルコール依存症となる被災者の方が増加しているそうです。DVは自宅や職を失った不安・ストレスから夫が妻に対し行う傾向が多く、アルコール依存症は家族を失った喪失感や先行きへの不安から飲酒に走る場合いが多いそうです。飲酒はDV、鬱、孤独死との関連も強く、被災から時が経ち個人個人での復興度合いの差が目立ち始めると、遅れを感じる被災者の方がアルコール依存をより強めることが懸念されているとか。被災直後は無力感が大きかったスポーツ、芸術、芸能の世界が今こそ力を発揮する時期かもしれません。

福島第一原発事故発生
被害に遭われた皆様には心よりお見舞い申し上げます。
福島の多くの方々同様、多くの動物達のことも気になります。「ペット」と呼ばれるイヌ、ネコ達等だけでなく、「家畜」と呼ばれるウシ、ブタ達等なども被災された方々にとっては家族同様の存在。東電及び政府は事故被害に遭った動物達の保護施設を作って頂けないでしょうか。「ペット」と呼ばれる動物達については、保護団体の警戒区域内への条件付立ち入りが許可され一歩前進しましたが、もう一歩踏み込みウシ、ブタ等「家畜」と呼ばれる動物達も殺処分を行わず、終生面倒を見られるような施設を建設して頂けないでしょうか。

小笠原諸島、平泉世界遺産登録
観光資源としての利用に水を差す気は毛頭御座いませんが、世界遺産に登録されると言うその基本は、その保護・保全に関し、国際的に責任を負うということ。日本人の財産が人類の財産になると言うこと(自然は人間の所有物と言う訳ではありませんが)。食い潰すことなく、誇りを持って伝えて行きたい。そして、行ってみたい。なぁ...。

大関魁皇史上最多1047勝達成
素晴らしい。琴奨菊、稀勢の里両大関には琴欧州、日馬富士、把瑠都共々、魁皇を超える名大関或いは横綱を目指して頂きたい。私は唯良い取り組みが見られればそれだけで良いので、大関・横綱が外国人力士ばかりでつまらない、等とは全く思いませんが、上位力士に日本人が少なくて面白くない、と言う方がいらっしゃるのも確か。相撲人気回復のためにも是非、新大関二人には切磋琢磨して上を目指して頂きたい。是非。

「なでしこジャパン」世界一
BSが観られないので早朝ラジオで結果を知りました。低血圧の私も一気に目が覚めました。おめでとう!でも、皆が意外と「ナデシコ」(和名:カワラナデシコ.極東地域に広く分布.秋の七草の一つ)そのものを知らないのでガッカリ。
選手はCMやバラエティ番組出過ぎ、と言う意見も有りますが、女子サッカーを底上げするには絶好のチャンス。慣れないお仕事も多く大変でしょうが、TV出演もサッカーの内、と思って頑張って頂きたい(無理の無い範囲でね)。

小松左京氏死去
雑誌「アニマ」連載の「はみだし生物学」が小松さんとの出会いでした。多岐にわたる博識・見識に生物学者でもないのにスゴイなこの人は、と思ったのが最初。SF作品のお初は、TVドラマ「ぼくとマリの時間旅行」で知った「時間エージェント」でした。R.I.P

台風15号による倒木大型台風記録的被害
被災された方々には、謹んでお見舞い申し上げます。
私の近所の雑木林・公園・大学構内等でも、15号による強風で折れた或いは倒れた大木を幾本も見ました。根こそぎ倒れた木等生まれて初めて見る経験です。あわや民家直撃、という倒木もありました(画像.国立市南部の某公園.根こそぎ倒れた先に民家)。ここ東京の平野部は、台風による倒木発生など滅多にない(道路が風の通り道になり易い為か街路樹では時に発生)ので、行政も対応が追いつかないのでしょう、流石に倒れたまま、というのは一部私有地内を除き公園等ではもう見ませんが、未だ鋸で小分けにされただけでその場に置かれたままというのは、時々見掛けます。

ニュートリノ光速越え(?)観測
この世の根本に関わる問題故、発表された方々(名古屋大等による国際研究チーム「OPERA」)も慎重な態度ですが、御尤もと思います。否定的論文も多く発表され、俄然興味が強まる。慎重な検証を望みます。
数々実証されてきた特殊相対性理論が否定する光速越え。もし本当なら、どうなるの?

北杜夫氏死去
少年時代、私を文学或いは読書の世界へと導いてくださった大恩人。「どくとるマンボウ航海記」がはじめだったかな。その他所謂”マンボウ”ものでは「昆虫記」、「青春期」、「途中下車」も大好きでした。後には「少年」、「牧神の午後」、」「幽霊」、「夜と霧の隅で」、「楡家の人々」等へも読み進み、私の文学世界の扉が開かれて行きました。R.I.P

プロ野球ソフトバンク日本一
私はジャイアンツ・ファンですが、ホークス及びファンの皆さんおめでとう。'04・'05年はリーグ一位、'00年はリーグ優勝したにも拘らず、日本シリーズに出ることすら叶わなかったものね。ホントにおめでとう。

海外
チュニジア独裁政権崩壊。エジプト、リビアにも「アラブの春」
カダフィ氏の最期は残念な形でした。歴史は日々作られている、と言うことを改めて見る思いです。「今」も「歴史」になって行くのですね。
「春」と呼ぶには余りに過酷な季節の只中に有るシリアのことも気に掛かります。

ニュージーランド地震発生
被災された皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。
間を置かず同じ太平洋プレートで起きたということで、東北太平洋沖地震との関連性を考える研究者の方も居られます。昨年のチリ地震も含め環太平地域で地震活動が活発化しているとの見方も有ります('04年のスマトラ島沖地震も含める場合も有る.地球物理学的時間スケールで言えば数年の違いは「同時」と大差ない)。日本も含め少なくもここ暫くは何時大きな地震が発生しても不思議は無い状態です。油断は禁物です。

ドイツ、イタリア等欧州で脱原発加速
よく言われることですが、人類の文明は今まさに岐路に立たされ、我々は大きな決断を迫られています。今後のエナジー政策を如何するのか。此処を転機に核エナジーを離れ自然(再生可能)エナジーへとシフトするのか。温暖化による気候変動の問題とも大きく関わる事柄ゆえ、大変重要な選択です。
2011年は人類のエナジー政策にとって大きな転換点であった、と後年記述される日が来るでしょうか。
(宇宙の何処かに我々の先輩が若し居たら、アドバイス頂きたいですね。どの様に核を含めエナジーの問題をクリアしてきたのか)

南スーダン独立
アフリカ最長と呼ばれる内戦を経て、多くの方々の望みが叶えられたことを心より祝福致します。
経済基盤となる石油関連施設の不足や、公共施設、国の機関、インフラなどの整備が遅れているそうなので、是非日本政府には、環境面を配慮した形での支援を強化して頂きたい。

スペースシャトル最後の任務終了
天文少年だった私は、最初に宇宙へ行ったコロンビアが帰還するとき、早朝(4時くらいだった記憶がある)まで起きてTV中継見ていました。チャレンジャーの事故も、コロンビアの事故も大きなショックを受けました。感慨深いです。お疲れ様。

タイで洪水
被害を受けた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
日本の洪水とは大分と様相が異なっていましたね。広大な平野を持つタイでは、高低差が少ない為上流域に降った大雨が都市部に達するまで大分と時間差があったようです。ネコと暮らしている方はご存知でしょうが、所謂「ネコ缶」の魚系のものは大多数がタイ産です。我が家でもタイ産ネコ缶にはお世話になっているので、その辺りも気になったりします。

ユーロ危機深刻化
ユーロ安は相対的な円高、と言うことですよね。ドル安なら穀物や大豆が米国から安く輸入できるメリットも有るけれど、欧州(EU)からは一次産品は余り輸入が無く医薬品や自動車などが多い。この辺りの(日本への)影響は如何なのであろうか。欧州からの輸入(58,210億円)は米国からの輸入(59,114億円)と左程違いは無いけれど、輸出は米国向け(103,740億円)に比べて欧州向け(76,158億円)は大分と少ない。欧州との貿易自体、貿易全体の一割程度(10.5%)と多くは無い。という事は、(日本への)影響は余り大きくはないのであろうか。う〜ん、ユーロ危機・ユーロ安、(日本経済に)どのような影響が及ぶのか、余りよく解らない。困った。
(数字は総て財務省貿易統計2010年分(年分))

世界人口70億人突破
子どもの誕生は、基本お祝いを述べたい出来事だけれど、人類の抱える問題の多くが人口問題に起因していることを考えるとこの数字には正直暗澹たる気持ちになる。人口増加率は年々低下しているのでやがて(今世紀後半といわれている)は人口は減少に転じるでしょうけれど、それまでの数十年、食料、水、エナジー、資源、環境或いは貧困、飢餓、紛争等などの問題はどのようなことになるであろうか。長寿、乳幼児死亡率の低下、これ自体個々にとっては喜ばしい事柄ですが、これ等が生んだ現実は重いものでした。

「その他」として以下二項目を挙げ投票しました
ゾウ密猟増加
ケニアでは今年度1〜5月、ゾウの密猟件数は史上最悪だったそうです。経済発展著しい中国での象牙需要の高まりが原因と指摘する声もあります(日本も象牙需要多いんですがね)。合法的な象牙流通も勿論ありますが、象牙には「本物」「偽物」といった違いが無い為、違法象牙が合法象牙に混入し、密猟を助長する可能性があります。密猟の背景には貧困や政情の不安定など様々なものが有るので、根絶は非常に難しい問題です。最近では象牙の大きなオスが密猟で減ったためメスも標的にされるようになり、メス中心で構成されるアフリカゾウの群れがリーダー(大人のメス)を失い殺されなかった他のゾウ(子どもや若い個体)も大きな影響受けるパターンが増えています。象牙問題は我々日本人も決して無関係ではないので注目したい問題です。

西クロサイ、ベトナムのジャワサイ絶滅
IUCN(国際自然保護連合)はアフリカに生息し2006年に確認されたのが最後だったニシクロサイ(クロサイの一亜種)が絶滅したとしました。またWWF(世界自然保護基金)などは、ベトナムに生息していたジャワサイの絶滅を発表しました。共に密猟と保護体制の欠如が主な原因とされています。中国、東南アジア特にベトナムでは近年、薬(がん治療薬.科学的・医学的根拠は現在のところ無い)としてのサイ角の需要が高まっており、それを受け密猟が増加していると見られています。ベトナムは現在、サイ生息数が多くよって密猟も多発する南アフリカ共和国との間で、密輸取締りの法規制強化に取り組んでいるそうです。根本的な需要削減の為の努力も望まれるところです。
「絶滅」というのは悲しい言葉ですね。来年は聞きたくないな。

 以上ですが、この中から何れか一つ最も大きなニュースを選べと言われたら、矢張り、東日本大震災、ということになります。直接被災された方々とは比ぶべくもありませんが、受けた衝撃の大きさは、私にとっては、嘗て経験したことのないものでした。これから先どの様な事柄が(世間に於いても個人に於いても)起こるか定かではありませんが、私の「人生」10大ニュースに、確実に入る出来事と思います。

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 本年、個人的には、我が家のネコ、18歳の巴さんが亡くなると言う「重大」ニュースが一件ありました。まだ何とはなく気持ちの整理が付かないのですが、そのうちこの件に関して書くことが有るかもしれません。
 あと、少なくも近所では今まで一箇所を除き見かけなかった、畑の無人販売所における野菜盗難に関する張り紙(盗まないで、という内容)が増えたというのも、私にとっては結構大きなニュースでした(これについてはメルマガ(12月15日号)に書かせて頂きました)。

 世間、個人どちらに於いても、相変わらず良いニュースは少ないですね。本年最後を締め括るに、気の利いた言葉を使いたいのですが、こんな有り触れた言葉しか浮かびません(でも、結局これに尽きますよね)。

 来年は良い年でありますように

では、有難う

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*ニュートリノ:中性微子とも。電気的に中性で質量は非常に小さい素粒子の一つ。物質と殆ど反応しない(全くしないわけではない)ので観測が難しい
*プレート:地球の表面を覆う厚さ≒100kmの十数枚の岩盤。海洋プレートと大陸プレートに分れ、両者がぶつかる場ではより比重の大きい海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込む運動をし、その際プレート内にたまった歪が開放され大きな地震(プレート境界型地震)が発生する。日本列島は北米、ユーラシアの両大陸プレートと、太平洋、フィリピン海の両海洋プレートの計四枚のプレートが接する場に有る。東北日本は北米プレートに乗り西南日本はユーラシアプレートに乗って押し合い(両プレートの境界が糸魚川―静岡構造線)、フィリピン海プレートはユーラシアプレートと北米プレートの下に沈み込み、さらに太平洋プレートが北米プレートの下に沈み込むという非常に複雑な地点にある
*アフリカ最長の内戦:スーダンは、1955〜1973年の第一時内戦と、1983〜2005年の第二次内戦と二度の内戦を経験した。第二次だけで死者≒200万人、難民・避難民≒400万人と言われている
*アフリカゾウ:ゾウ目ゾウ科 通常メスと子どもからなる群れをつくり多く最年長のメスがリーダーとなる。オスは単独または若いオスのみの群れで生活する
*クロサイ:ウマ目サイ科クロサイ属 アフリカ大陸に生息する。角を薬(医学的根拠は無い)又短剣の柄にする為密猟の対象とされている。保護により全体としては徐々に個体数は増加しているが、同じくアフリカ大陸に生息するシロサイと共にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに掲載され、クロサイは「近絶滅種(CR)」、シロサイは「準絶滅危惧種(NT)」(亜種北シロサイについては近絶滅種(CR))に指定されている。近年は高度に組織化された密猟形態が増え対応を難しくしている
*ジャワサイ:ウマ目サイ科に属する小型のサイ。インドシナ半島、スマトラ島、ジャワ島の熱帯雨林に広く生息していた。森林の破壊及び角の薬利用目的の密猟により減少(薬としての効果は科学的には根拠がないとされている)。現在ジャワ島西部に50頭ほどが残るのみ。東南アジアには他に、同じく小型のサイ、スマトラサイがスマトラ島、ボルネオ島及びマレー半島に300頭ほど生息している。此方も密猟の対象とされており絶滅が危惧されている

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報(一部募金終了のサイトがあります) http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部(リニューアルしました) http://doubutsukyuen.org/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch

2011年 霜月18日 数字 2
 先月の事となりますが、今秋も例により、市民交響楽団の定期公演にお邪魔させて頂きました。今回のテーマは「フランス」。メイン・ディッシュは、♪ボーボレボレボレボッボレロー、で御馴染み(?)のモーリス・ラヴェルの「ボレロ」(去年はホルストの「惑星」だった)。一定リズムを刻むスネアドラム(小太鼓)に合わせ、様々な楽器が入れ替わり立ち代りソロを奏で、全体がクレッシェンドで盛り上がり、最後は大編成で派手に雪崩落ちる如くに終焉。指揮者左隣と言うソリストの位置に構えたスネアドラムがカッコイイ。ほぼ、「スネアドラム協奏曲」。≒16分間、リズムも崩さず音の粒も乱さずドラムを叩き続けるなぞ相当しんどいし相当高度な技術を要すること。担当の方、ご苦労様でした。この曲の持つ独特な陶酔感・高揚感、勿論オーケストラ全体で産み出すものとは言い、矢張り要(かなめ)はスネアドラム。素晴らしいプレイでした。ブラボー!
 ...と、いきなりタイトルとは直接関係のない音楽の話。「数字」と「ボレロ」が如何リンクするのか?とお思いでしょう。此処からが数字の話。13列-42番
 上記、市民交響楽団のライヴは、基本的に市内の特定のホールで行われます。ここでは、私のお気に入りの座席があり、ほぼ毎回この席に座り、拝聴します。それが右画像の「13列-42」番。西洋で最強の忌(い)み数「13」と日本での最強の忌み数「42」の組合せ。一般には好まれなさそうな座席。
 何故こんな番号の席を選ぶかといえば、根っからの屈折根性から、という事は否定できませんが、当初は単に、位置で選んだのです。
 私は、オーケストラのライヴでは、全体を万遍なく視野に入れたいので、二階(このホール最上階)のステージ正面がグッド。でも真ん中は何故か一寸居心地が良くないので、やや(向かって)右寄りにずらす。後に人が居ない方が落着くので、最後列が良い。と言う様に選んで座ったら、偶々(たまたま)この番号。それが二度続いたので、余程はまるんだな、と以後態々(わざわざ)この番号を求めて座っています。私の大好きなヘヴィ・メタルの世界では、「13」は不吉さや怪しさ、禍々(まがまが)しさを醸すために結構好まれますし、何と言っても、ブラック・サバス(元祖メタル)がそのデビューの日に選んだ数字でもありますしね。それに、遅めに行っても、番号の所為なのかどうかは不明ですが、先客さんが居たことはありませんし(と思う)。
 でも、人は何故、基本意味のない数字を、忌み嫌ったり(或いは有り難がったり)するのであろうか?態々こんな人に忌み嫌われそうな数字の座席を選ぶなんて、俺もホントに屈折してるなぁ、と最初は面白がっていたのですが、ふと疑問に思い始めました。何故?
 簡単に言うと、例えば、「4」は「し」で「死」、「9」は「く」で「苦」、同様に「42」は「死に」、「49」は「死苦」の様に、彼是(あれこれ)縁起でもない事柄を連想させる場合が有るから、と言うことなのでしょう。
 例を挙げれば、日本では、自動車のナンバー・プレートには希望がない限り下二桁「42」「49」は払い出されない(在日米軍車両には払い出される.代わりに此方には下二桁「13」が払い出されない)、駐車場に「4番」「9番」が無い、とか。
 余り数字を気にしたことのない私としては、近所のアパートの駐車場アスファルト面に書かれた番号が、1、2、3と来て次が5、そして6、7、8と来て次が10になって、4と9が無いことに気付いたときは、間違えかと思いました。後、理由を知って正直思いました。そんなに気にするか?と。「4」を「よん」と読めば「良い」に通じるし、「9」は「きゅう」と読めば「救い」の「救」に通づるし、「42」を「よに」と読めば「世に出る」に通じるとも取れる。「49」を「よく」と読めば「良くなる」に通じるとも取れる。読み方・心の持ち方一つではないか、と。自動車を運転しない私、詰り自動車運転に伴う危険を殆ど知らない・経験していない私は、ドライヴァーの方々の事故や怪我或いは死に対する不安やそれらを忌む心理が理解出来なかったのです。
 ここに挙げた、「4」「9」「42」「49」等の数は、「4=し=死」、「9=く=苦」、「42=しに=死に」、「49=しく=死苦」(しじゅうく=始終苦、と言うのも有る)と、日本ではその「音(おん)」が不吉な事柄を表す言葉と同音となる為、忌み数とされる訳です。「13」を忌むのは、日本でも西洋でも「音」とは無関係のようですが(「13」を忌む理由は定かでないとか)、日本でその「音」によって好ましくない数字とされる場合、そこには古来より根付く「言霊(ことだま)」の思想が深く関係していると考えられています。
 言霊の思想と言うのは、言葉には特別な力、霊力・呪力(言霊)が宿り、口から発した言葉が現実世界の事柄に影響を与える、或いは発した言葉通りの結果が生じると言うような考え。良き言葉は良き事を招き、悪(あ)しき言葉は悪しき事(災い)を招きますよ、と言う事。言(こと)=事(こと)、という概念が根底にあるようです。
 この言霊の思想から、言葉の音(おん)そのものに意味を与える考えが生まれ、或る言葉の中に、本来の意味は異なるけれど音が同じ或いは似る別の言葉の意味を見出し、それに拘(こだわ)るという謂わば縁起担ぎが生じて来たと言うことらしい。
 そんなの単なる語呂合わせじゃん、と言って言えない事はないかもしれませんが、忌み言葉や忌み数の多くが、先の読めない世の中或いは人生に対する不安から、少しでも不安を助長させるようなものは排除したい、逆に少しでも安心を与えてくれるものには縋(すが)りたいという、古今の人々の切ない思いから生じるものと考えれば、頭から否定なんぞは出来ません。私が態々縁起の悪い数字を選ぶのは、縁起担ぎを否定しているものではなく、唯単に、根っからの屈折捻(ひね)くれ根性の為。好き好んで不吉な数字を選ぶなんぞアホな奴だ、と寛大なお心で見て頂けると幸いです。

 近頃、プロ野球で「42」を背番号にしている日本人選手を以前より見かける機会が多くなった気がします。「42」は外国人助っ人選手の背番号ときまっている感がありましたけれど、変わってきたのですかね。「42」は、メジャー・リーグがアフリカ系アメリカ人選手排除をするようになって以降、初のアフリカ系アメリカ人メジャー・リーガーとなった、ジャッキー・ロビンソン(1919-1972)の背番号でメジャー・リーグ全体の永久欠番となっている為、アフリカ系外国人選手は喜んで付けるという背景が有るので、とって置いてあげて欲しい気もしますけれど。
 何れにしろ、だんだんと忌み数を気にしない人が増えているを、傾向として感じます(仲間が増えたようで一寸嬉しい)。これも文化の移ろいの一つ、と言うことですか。

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*♪ボーボレボレボレボッボレロー:NHK教育(Eテレ)の音楽番組「クインテット」内で歌われる、「ボレロ」の歌。♪ボーボレボレボレボッボレロー、ボレボレボレロー、ボレロボレボレロー...と御馴染みのメロディに載せ歌われるのですが、妙に耳につき離れない
*ボレロ:モーリス・ラヴェル(1875-1937)が1928年に、バレリーナ、イダ・リュビンシュタインの依頼により作曲されたバレー音楽(11月22日パリ・オペラ座で初演)。一定リズムの中二つのメロディだけが繰返しクレッシェンド(徐々に強く)だけで進行するという可也変わった作り。ラヴェル御本人は余り気を入れずに作ったらしいが彼の代表作のようになっている。因みに「ボレロ」はスペインの舞曲名
*スネアドラム:snare(響き線)と呼ばれるクルクルと螺旋状に巻いた細い金属線(細長いバネの様.10〜42本ある)が裏面に張られ独特の響きを生じる。高音で歯切れの良い音が特徴
*13:何故キリスト教圏を中心に西洋の多くの地域で忌み数とされるかは諸説あり定かではない。イエスが処刑されたのが13日だからと言われるが、イエスの処刑日は特定されていない
*49:一部方言では、49=しく=轢く(ひく)、となる場合もあるとか
*四:日本だけでなく中国・朝鮮半島など一部漢字文化圏では四は「死」に音が似る為忌み数とされる場合があるとか
*縁起担ぎ:験(げん)担ぎ、とも。「げん」は「えんぎ」をひっくり返して「ぎえん」としたのが変化したものとの説がある
*ブラック・サバス:ヘヴィ・メタル界では神的存在。1970年2月13日金曜日にデビュー・アルバムがリリースされた
*ヘヴィ・メタルの世界では...:アメリカのヘヴィ・ロック・バンドKORNの3rdアルバムは第1〜第12曲は無音で第13曲目から始まる(13という数字が好きだからと言う理由らしいですが真意・真相は不明です)
*ジャッキー・ロビンソン:厳密には初のアフリカ系メジャー・リーガーは、モーゼス・フリート・ウォーカー(1857-1924)(1884年メジャー・デビュー)ですが、メジャー・リーグがアフリカ系アメリカ人を排除するようになった1880年代後半頃〜1890年頃以降ではジャッキー・ロビンソンが初。メジャー・デビューは1947年(初代新人王)

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報(一部募金終了のサイトがあります) http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部(リニューアルしました) http://doubutsukyuen.org/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch

2011年 神無月19日 まさかね
 十日ほど前の或る日の事です。何時ものように、お客さんに注文頂いた本を郵便局に持ち込み、発送をお願いし終え、そのまま、何時ものようにスーパーに買出しに行きました。そしてこれまた何時ものように駐輪場に自転車をとめ、後輪にチェーンを掛け様として、思わずはたと手が止まりました。チューブに空気を入れるバルブ基部に何やら薄緑色の物体が...。何だぁ?と顔を近づけ良く見れば、アゲハチョウ(ナミアゲハ)の幼虫が、今まさに蛹になろうとしているではありませんか。おいおい、どうする?このままにして走ってたら危ないぜ...。
 如何すれば宜しかろうかと考えるも、多少の動揺は隠せずすぐには良い方法も浮かばない。で、今晩の食材も無いのでとりあえずはまず、彼是方法を考えつつ買い物を済ませました。そして駐輪所に戻り、幼虫を見れば、まだ身体は固まっておらず外すことは出来そう。そこで、結構暴れる幼虫を傷つけないように慎重にリムから剥がし(お尻が糸で固定されている)、近くに捨てられていたSDカードのパッケージに入れ、前篭の食料が詰ったエコバッグの上に載せ、発進。なるべく揺れないようにと気を付けても、走行に伴う振動で、幼虫が、波に弄(もてあそ)ばれる木っ端の如く転がり引っ繰り返る様子が透明パッケージ越しに見え気の毒。でも静かにしているとパッケージの中で蛹化(ようか)を開始してしまいそうなので、申し訳ないけれど、見てみぬ振りで急いで帰宅。何処か適当な木に止まらせ、そこで蛹化してもらおうと考えた次第です。

ナミアゲハ蛹 家に戻り、適当な(安全そうな)木の枝に幼虫を止まらせると、待ってましたとばかり幹をよじ登り、早速に蛹化を開始しました。翌々日くらいには身体も固まり、現在立派な蛹になっています。左の画像がそれで、蛹の右下に、最後の脱皮殻がぶら下がっています(薄茶色に黒の斑点)。
 庭に何本か有る、何時の間にやら育っている小さな種類不明のミカン科の木(庭に投げ捨てたミカンやナツミカンやグレープフルーツ等の種子が発芽したもの)にいた数匹のナミアゲハとクロアゲハの幼虫が、終齢(五齢幼虫.四齢までは緑色ではなく黒白の鳥の糞模様)を迎え大きく育った順に、一頭また一頭(チョウは一頭二頭...と数えるが幼虫もそうなのか?)と姿を消すので、どこかで蛹になっているんだなぁ、と思ってはいましたが、まさか自転車のリムで蛹化しているとは。気付いてよかった...。
 現時点で確認している限りですが、まだ三頭終齢幼虫がいます。何処で蛹化するか、気を付けて見ておかなければいけませんな。

 一寸話は変わりますが、アゲハの幼虫にも関わるので最後に少し。
 今の時期、蛹になる場所を求めるアゲハチョウやスズメガの幼虫、或いはアスファルトに暖を求めるカマキリが、道路に出る或いは横断することが多くなります。狭い生活道であっても、小さな昆虫達にとっては命懸けの行動です。踏まないように気を付けてやってください(私はこの時期自転車走行中はカマキリが気になり、路上の落ち葉もカマキリに見えてしまう)。もし余裕があれば、見かけた場合、進んでいる方向の側に渡らせあげるのも良いでしょう(植え込み、草むら、木立などあるとGood)。アゲハチョウ及びスズメガの幼虫は触っても無害です(アゲハの幼虫は一寸臭いですが)。カマキリの場合大型のものは少々危険が伴う(鎌が結構痛い)ので、棒ででも追いやってください。但し、くれぐれも自転車・自動車等には注意してくださいね。

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*ナミアゲハ:Papilio xuthus 鱗翅目(チョウ目)アゲハチョウ科アゲハチョウ属。日本全国、台湾、中国、朝鮮半島などに広く分布。ハワイ諸島に帰化。春から秋にかけ数回発生。クリーム色の最も一般的なアゲハチョウ。幼虫はミカン科植物を食草とする。幼虫の見た目はクロアゲハの幼虫と瓜二つだが数本有る帯模様がクロアゲハのほうが名の通りクロい。
11月16日追記:ナミアゲハの母親は足裏の感覚毛によりミカン科植物の葉に含まれる「シネフリン」を感知することで産卵する植物を選別していると、日本の研究チームが昨日付けで論文を発表しました
*アゲハチョウの幼虫:危険を感じると「臭角(しゅうかく)」というオレンジや赤の目立つ色の二股の角を頭部と胸部の間から出す。ここからミカンの皮をつぶした時の臭いをもっと強烈にしたようなを臭いを発散する(私は「悪臭」とは思わない)。特に害はないですが手に付くとなかなかとれない
*スズメガの幼虫:所謂「イモムシ」。ピンと跳ね上がった短い尻尾(尾角(びかく))が特徴。アゲハチョウなどと異なり土中や落ち葉の下で蛹化する
*カマキリと道路:秋になると何故カマキリが道路に良く出て来るのかについては、産卵場所を求めて、アスファルトの暖かさに惹かれて、体内に寄生するハリガネムシ(類線形動物門に属する径1〜3mmの細長い生物.幼虫はカマキリ等の昆虫に寄生)の影響で等、種々の説が有る
*路上の落ち葉もカマキリに見えてしまう:緑っぽいのはオオカマキリやハラビロカマキリに、茶色のはコカマキリに遠目には見えてしまう。広がっているものも斜めからからは細長く見えるし、筒状に丸まっているものは細長く且つ立体的だし

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部(リニューアルしました) http://doubutsukyuen.org/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch

2011年 長月17日 数字
 東日本大震災発生から半年という節目を迎え、被災者の方々に関わる様々な数字が、新聞・webサイト上等で示されています。亡くなった方15,781人、行方不明の方4,086人(何れも9月10日現在 警察庁)、避難されている方82,945人(8月25日現在 復興対策本部)、岩手・宮城・福島3県で失業された方≒70,000人、等など。どれもが単なる記号ではない重さを湛えた数字ですが、こうしたものとは別に、新聞社実施のさまざまなアンケート結果の数字も示されています。心身の状態に関するもの、仮設住宅に関するもの、近所付合いに関するもの、等何れも興味深い数字が並んでいますが、私が個人的に一番気になった数字は、暮らしていた地域・地元が「復興できると思うか」との問い対する、「できる」という答えの少なさ(「できない」という答えの多さ)。
 以下に読売新聞と毎日新聞の被災者の方々に対して行った、復興に関するアンケートの結果を引用させて頂きます。

■読売新聞
問い:まち(暮らしていた地域)が復興できると思うか
岩手・宮城;
今回 思う―24% 思わない―43% わからない―33%
発生から3ヶ月当時 思う―38% 思わない―35% わからない―27%
発生から1ヶ月当時 思う―53% 思わない―20% わからない―27%
福島;
今回 思う―24% 思わない―47% わからない―30%
発生から3ヶ月当時 思う―32% 思わない―34% わからない―34%
発生から1ヶ月当時 思う―41% 思わない―22% わからない―37%
 *「今回」は8月27日−8月30日に岩手150人、宮城150人、福島(県内外)200人 計500人に対し実施

問い:暮らしていた地域が復興できると思うか
思う―30%(9人)
思わない―33%(10人)
 *8月27日−8月31日に福島県より新潟県に避難してきた30人に対し実施

■毎日新聞
問い:地元の復興について
全体;復興できる―≒42%(31人)
全体;復興は難しい―≒56%(41人)
福島;復興は難しい―≒90%(12人中11人)
 *8月27日−9月6日に岩手30人、宮城23人、福島12人、福島から県外避難した8人(後戻った人を含む) 計73人に
 対し実施

 震災を喩(たと)えるに病気を持ち出すのは、不適切かもしれませんが、困難・逆境の比喩として解りやすさを求めました。お許し下さい。
 例えば...、自重しながらいれば、普段通りにしていても治癒する病気も多いですが、難しいものは、矢張り積極的治療が必要。その為にはまず、治そう、という気持ちにならなければならない。でその為には、治療すればきっと良くなるであろう、という期待・希望がまずなければならない。
 希望を生むには何が必要か、と考えれば...、道すじが示されることが必要...、となるでしょうか。
 また病気の喩えで恐縮ですが、どんなに難しいと思われる疾病でも、治療方法があること、症状が緩和された方或いは治癒された方が居る例など示されれば、長期化或いは困難が予想される治療生活に対し希望も湧く。山で道に迷ったとき、全く道すじが見えなければ文字通り途方に暮れますが、薄っすらでも道すじが確認できれば、若しかしたら里に出られるかも、と希望が生まれ、一歩が踏み出せる(これも飽くまで喩えです.実際山で迷ったときは勘に頼ったら絶対ダメ.まず引き返す)。道の見えない不安は足を止めさせる。
 実際、被災者の方々に対する、不足している情報は何か、と言う問いに対し、岩手・宮城では、24%の方が「街の今後の復興方針」と答え、福島では、ほしい情報は何か、と言う問いに対し、最も多い24人(200人中)の方が「復興に向けた行政の取り組みについて」と答えています。また福島から新潟に避難されている方への調査では、≒63%(30人中19人)の方が元の自治体からの情報の不足を感じると答えておられます(何れも読売新聞)。判断材料の少なさ等に起因する先(道すじ)の見えない不安が、復興に対するペシミズムを産み出していると言うことでしょうか。
 でも自治体だって、態(わざ)と復興方針や復興への取り組みに関する情報等々を、被災者の方々に隠している訳では当然ないですよね。では何故に、方針や取り組み状況が伝わらないのか。
 こうしたものがありました。被災各地域の自治体の首長さんに対し行った、復興計画に関するアンケートの結果です。以下に引用させて頂きます。

■毎日新聞
問い:高台・内陸への集団移転を進める
進める―32%(42人中12人)
発生から3ヶ月当時 進める(高台移転手法に賛成)―68%(42人中25人)

問い:復興の障害は
全体;財源―≒63%(42人中26人)
福島;原発事故―≒66%(15人中10人)

問い:政府の復興基本方針について
ある程度評価する―≒74%(42人中31人)

問い:政府の復興基本方針の「集団移転・土地利用」について
あまり評価しない―≒45%(42人中19人)
 *沿岸37市町村(岩手12、宮城15、福島10)及び警戒区域・計画的避難区域5市町村首長 計42人に対し実施
 (時期不明.記事は9月10日)

■NHK
問い:復興を進める上での問題点
財源の確保―88%(37人)
国の方針の遅れ―50%(21人)
産業や雇用の回復―40%(17人)
既存の法制度―33%(14人)
(複数回答)
 *被災自治体42市町村長に対し実施(時期不明.記事は9月9日で「震災半年を前に実施」とある)

 復興を進める上で重要なポイントとなる高台(或いは内陸)移転が、元の土地に戻りたいと言う住民の多さや、7月に政府が示した復興基本方針に、高台移転が明記されていない等、進め難い状況にあるという点、及び、今後住民の被災・減少による税収減も見込まれる中、財源確保が困難であるという点、この二点が主なネックとなって、復興計画の推進を妨げている様子が見られるように思います。復興計画が進まなければ、それに関する情報も出て来ない訳です。
 国が何処まで支援してくれるのかが判らなければ、自治体としては予算も立たず、復興方針・計画も定められない。自治体の復興方針・計画が判らなければ、被災者の方々は動けない、将来のヴィジョンが描けない...という構図。
 行政の皆さんも大変とは思いますが、まずは、国が復興計画の策定を進め、同時に国・自治体はその方針・取り組み・スケジュール・進捗状況等、被災者の方々が未来像を思い描ける様な情報・判断材料の提供を充実させて頂きたい。宜しく御願致します。
 進むべき道の見えない不安は、生きる者誰しもが多かれ少なかれ抱くものであるとは言い、被災者の方々の思いは私などの比ではない。特に、原発事故に関わる福島県内の方々の不安の大きさを示すものは、胸の痛む数字です。

 数字は兎角、良くも悪くも冷ややかで、ともすると顔や想いの見えないもの、味気ないものと感じられがちですが、それを読み解く目を、或いは読み解こうとする思いを持ち向かえば、静かに雄弁に語りだすもの。今回の震災関連の数字に向かい、そう強く感じられました。

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*失業された方:3月12日−8月21日までに失業手当ての手続きをした方が岩手・宮城・福島3県のみで153,173人。昨年同期の82,763人に比し増加した≒70,000人は震災関連の失業と見られている(厚生労働省)
*山で迷ったとき:まず気を落着かせ、地図で確認できる場所まで戻る。一般に、下るのは危険(日本の山は滝・急流が多い)、見通しの利く尾根に出る、が基本とされます
*集団移転・土地利用:政府の復興基本方針の具体的内容に関する問いへの答えでは、「集団移転・土地利用」を、あまり評価しない、とした19人が最も多いと記事にある

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部(リニューアルしました) http://doubutsukyuen.org/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch

2011年 葉月16日 国内移入種・外来種
 本来その地域には生息していなかった生物が人為的に外部から持ち込まれ、生態系内に定着した場合、その生物を「外来種・移入種」と呼び、その存在が環境を保護・保全する上で大きな脅威となるということは、もう一般的な常識となりつつあると思います。先に世界自然遺産に登録された小笠原諸島が、ノヤギ・グリーンアノールなどの外来種問題がネックの一つとなり一度は登録を見送られた件や、輸入規制緩和(1999年)で大量に国内に持ち込まれるようになった外国産クワガタムシ・カブトムシ、またハブ駆除で奄美・沖縄に導入されたマングース、琵琶湖他の湖沼・河川に放流されたブラックバス、或いは飼いきれなくて遺棄されたミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)等が、本来の生態系に負の影響を与えている件等などが報道され、多くの方が、「外来種・移入種」問題の存在或いは深刻さをご存知なのではないでしょうか。
 でも、この「外来種・移入種」問題と聞いた場合、多くの方は、「外来種・移入種」=「外国の生物」とイメージされるのではありませんか。
 間違えではありません。多くの場合、「外来種・移入種」=「外国の生物」です。でも、意外と、「外来種・移入種」=「国内の生物」の場合も有るのです。

 国内での外来種・移入種は「国内移入種」また「国内外来種」と呼ばれます。今、子ども達が野外を駆け回る夏休み中ということもあり、「国内移入種・外来種」としてのカブトムシの問題が、一部で取り上げられ話題になっています。
カブトムシ 何でカブトムシが?とお思いかもしれませんね。カブトムシは本州・四国・九州の住人にとっては御馴染みの存在ですが、北海道には本来生息しておりません。ところが現在では、北海道内の多くの地域で御馴染みの存在となりつつあり、生態系へ影響が懸念される事態になっているのです。
 北海道でのカブトムシの確認例は戦前から有るようですが、目撃例が多くなったのは1970年代から。丁度、デパート等での養殖クワガタムシ・カブトムシの販売が一般化し始めた頃です。おそらく、養殖場から逃げたり、飼育個体が放棄されたり等複数のルートで人為的に持ち込まれ、定着したのではないかと考えられています。農業被害などは一部を除き目立ったものはないようですが(あったらゴメンナサイ)、カブトムシは競争力が強いため、まだ調査・研究段階ということですが、餌とする樹液を廻る競合で、クワガタムシを含む他の在来昆虫を圧迫・排除している可能性が指摘されています。また、沖縄本島でも、飼育カブトムシと沖縄在来亜種であるオキナワカブトムシ(小柄で角が小さい.久米島には別の亜種クメジマカブトムシが生息)との間で交雑が起こり、遺伝子汚染が起きているとの問題も指摘されています。

 此処で取上げた、北海道の問題は元来カブトムシが生息していなかった地域での問題、沖縄本島の問題はカブトムシの亜種が棲む地域での問題でした。じゃあ、元々カブトムシが棲み亜種もいない地域では、カブトムシを放しても問題ないのかと言えば、そうとも言えないのです。と言うのも同種の生物でも地域的な独自性・固有性というものが存在するからです。
 カブトムシに限らず多くの野生生物には、外形的なものや行動の面など、その地域地域で培(つちか)われてきた差異(変異)、様々微妙な特色が有るのです。詰りは遺伝的な多様性です。或る地域の個体と他地域から持ち込まれた個体の間で交雑が進むと、その遺伝的多様性が失われてしまう虞(おそれ)があるのです。だから、元々カブトムシが棲んでいる地域でも、他所で獲ってきた(或いは購入した)カブトムシを放すのは大いに問題あり、少なくも問題なしとは言えない...となるのです。
 昆虫の地域的独自性・固有性に関する問題では、有名な例があります。ゲンジボタルの例です。
 西日本のゲンジボタルと東日本のゲンジボタル(境界は糸魚川静岡構造線(ユーラシアプレートと北米プレートとの境と考えられている)辺り)では明滅の間隔が異なり、一般に、西日本は2秒、東日本は4秒の間隔で明滅します。ところが、東京都内では8割のゲンジボタルが、本来とは異なる2秒型であるというデータが有るそうなのです。ホタルの発光は繁殖のための雌雄間コミュニケーション。ですから、明滅間隔が異なれば、このコミュニケーションはとり難くなる、繁殖がスムーズに行き難くなる、と言うことになります。ホタルにとっては大問題です。
 この問題の原因は、矢張り人間の行為にあるようなのです。東日本型に比べ、集団で飛び見た目の派手な西日本の個体が都内に持ち込まれ、企業などの観賞イベントで放たれた結果、それらが定着しているのでは、と考えられているのです(西日本型のメスから生まれた子は西日本型となるとか)。
 カブトムシ同様、地域の固有性・独自性が失われる危険を、多くの方が指摘し懸念しています。

 現在、生物多様性の保全が重要視されていますが、この多様性の中には、種内の多様性も含まれています。カブトムシ獲ったけど、可哀想だから近所の雑木林に放してあげる...っていうのはよくあることですが(そうでもない?)、人間の何気ない行為が他の生物や生態系にとっては大迷惑、っていうこともあるのです。放すなら元居た場所に放しましょう。でもそれは遠くて難しいという場合(或いは購入した個体の場合)は、最後まで面倒見てあげて下さい。絶対に。

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*カブトムシ:Trypoxylus dichotomus septentrionalis 甲虫目カブトムシ亜目コガネムシ上科コガネムシ科カブトムシ亜科カブトムシ属の日本最大級の甲虫(最大はヤンバルテナガコガネ)。本州・四国・九州、朝鮮半島・中国・台湾・インドシナ半島等に分布。日本では主に山地・平地の広葉樹林に生息。ヤマトカブトとも
*移入種・外来種:海外から持ち込まれたものに対し「外来種」が使われる場合いが多いが、同義と言える。生物学的には人為・非人為に関わらず使用されるが一般的には人為によるものを指す。日本国内移入種・外来種は上に挙げたカブトムシ、ゲンジボタル以外にもホンドテン(北海道・佐渡島等)、ニホンイタチ(北海道・沖縄・三宅島等)、オヤニラミ(琵琶湖他)等など多数に上る。西湖で再発見され話題になったクニマスも西湖では「移入種・外来種」である
*遺伝子汚染:有る地域の野生生物が持つ固有の遺伝子構成が、他地域の同種または近縁種との交雑により変化すること。主に人間活動によるものを指す。
遺伝子汚染では現在、京都府賀茂川のオオサンショウウオが人為的に持ち込まれた中国産個体との間で交雑が進んだ結果減少していることが問題となっています。流域の調査結果では中国産13%、雑種44%となっており日本固有種は半数に満たない。チュウゴクオオサンショウウオも国際的な保護対象となっている為対応が非常に難しい
*3秒型ゲンジボタル:東日本型と西日本型両者の中間地点の長野などでは、東西両者の中間の3秒型も存在していますが、人為的な原因かどうかは現時点では不明だそうです
*グリーンアノール:イグアナ科に属する頭胴長50〜70cm程のトカゲ。北米大陸南東部・キューバ等の原産だが沖縄・小笠原・ハワイ・グアム等に移入し定着。小笠原諸島(父島・母島)では固有昆虫に甚大な被害を与えており駆除が進められている。現在では特定外来生物に指定され輸入・飼育・放出等が禁じられている
(外国産クワガタムシ・カブトムシの問題について非常に解りやすく書かれたページがありリンク自由でしたので掲載させて頂きました。此方です 上画像は、photo ACより拝借しました)

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
・岩手県獣医師会 http://ivma.jp/
・宮城県獣医師会 http://miyaju.jp/
・仙台市獣医師会 http://www.svma.or.jp/
・福島県獣医師会 http://www.fva.or.jp/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・茨城県獣医師会 http://www.ibajyuu.com/
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch
・福島第一原発警戒区域内被災動物救護緊急提言 http://freepets.jp/

2011年 文月27日 涼感
 先月書きました、ヤマノイモ、下の如くすっかりテラス屋根に繁りました(画面の右方向が透明波板で覆われています)。
 住宅街を自転車で走っているときなど、ウォッチングすると、多くのお宅に、「緑のカーテン」(ゴーヤが多いな)が設置されているのを見掛けますが、殆どの場合、繁りはまだまだと言った状況。日射と強まる暑気に成長が追いついていないよう。普段なら梅雨が明けてまだ余り間もないといった時候ですが、今年は梅雨明けが早かったから、辛いわな。これから本領発揮と言ったところ。テラス屋根のヤマノイモ
 しかし、我が家のヤマノイモは違う。流石に、環境良好とは言いがたい我が庭で二十数年来生き抜いてきた野生の古強者(ふるつわもの)。ご近所のまだ葉が疎(まば)らなゴーヤ達を尻目に、あれよあれよと言う間に伸張し、瞬く間に繁茂。これで陽射しを遮ってくれるぞ...と思いきや、我が家は元来日当たりがよろしくない為、太陽高度が少し落ちた現時点、防ぐべき陽射し自体が余りありませなんだ。
 先月に書いた時点では、夏至近辺であった為、テラス屋根にも可也強烈な日射が降り注いで居ったのですが、7月終わりの現在では暑さ本格となる正午頃にはもう、陽射し自体すでに翳って殆どない。ほぼ庭全体がお隣家屋の影に没入。直射光は画像の如く手前リヴィング側に、ほんの一寸。日当たり不良の我が家には、緑のカーテン、余り必要性がなかったか...という結果となりました。
 がしかし、遮光による気温低下効果は余りなかった(と言うより余り意味がなかった)かもしれませんが、蒸散による気温低下効果は、覆う面積が少ないといえ多少は有るでしょうし、何より「見た目効果」が著しい。リヴィングでテレビなど見ているとき、ふと庭に目をやると、ヤマノイモカーテンを透過した光が柔らかい。うっすらと緑味を帯びて涼しげ。物理的な気温低下とは全く別次元で、なんとも大きな効果を齎してくれています。
 ヤマノイモは、秋になると黄葉も見事で綺麗だし、我が家の「緑のカーテン」(と言うより「緑のテラス屋根」か)、一応、成功と言えるかな。

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参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
・岩手県獣医師会 http://ivma.jp/
・宮城県獣医師会 http://miyaju.jp/
・仙台市獣医師会 http://www.svma.or.jp/
・福島県獣医師会 http://www.fva.or.jp/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・茨城県獣医師会 http://www.ibajyuu.com/
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch
・福島第一原発警戒区域内被災動物救護緊急提言 http://freepets.jp/

2011年 水無月25日 ヤマノイモカーテン
 何で?と不思議がられるのですが、私は梅雨が大好き。日本の場合、一年は、春・梅雨・夏・秋・冬の五つの季節に大別できると考えますが、この中でどの季節が一番好き?と聞かれれば、「梅雨」と答えます。それぞれの季節それなりに魅力を感じ好きですが、答えは「梅雨」。確かに洗濯物も乾かず、布団も干せず、出掛ける予定も立てにくい。困ったものです。地域によっては災害の危険も高くなりますし、震災被災地では更なるご苦労の種ともなるし、梅雨が好き、など言うのは申し訳ない気もします。なのですが、好き。...しっとりと落着いた雰囲気、柔らかな空気、低く垂れ込める雲の下薄い光に映える緑、雨を纏うアジサイ...。何もかもが、私のツボにはまる。でも、短いのですよね。他の季節に比し。それが残念。どの季節もそれなりに好きでありながら、半ばも過ぎると飽きてくる私ではありますが、梅雨もう一寸長かったらなぁ、と梅雨明けの度毎年思います。
 そんな私と異なり、多くの方がおそらく待ち望んで居られる、梅雨明け。でも、今年は震災の影響で東日本中心に電力不足が懸念され、夏本番時の暑さ対策が生活の中で課題となっています。
 夏場、日中の電力消費量の割合ではエアコン(冷房)が≒50%を占めていると言われ(資源エネルギー庁データ)、冷房控えめが重要とされています。設定温度を2℃上げると消費電力の削減率が≒10%上がり、≒130W消費電力を削減できるのだとか。でも、最近の住宅は、夏は冷房使用前提の造りになっているので、そう言われても、対応が難しいかも知れません。
 こうした中で、「緑のカーテン」、大分と注目されているようですね。何時もお世話になっているスーパーでも、今年は、例年になくアサガオやゴーヤ(ツルレイシ)等、蔓(つる)性植物の苗を販売しています。
 植物は、熱によるダメージを防ぐため、葉裏の気孔から水を蒸散させ葉の温度を下げるので、葉に触れる周囲の空気の温度も下がります。よって「緑のカーテン」には、日射を遮り日陰をつくる(遮光(しゃこう))のみではない効果を期待できます(「見た目」効果も結構期待できるかも)。
 ただ、この「緑のカーテン」の総合的な効果、期待は出来るとは言い、どれ程のものであるのか、また簾(すだれ)・葦簾(よしず)を使用した場合とどれ程の効果の違いが有るのかは、私には不明です。庭木の繁っている場所に入ると、明らかに繁っていない場所と体感温度が異なり涼しく感じますので、「緑のカーテン」を使わないよりは使ったほうが暑さを和らげる効果が有ることは明らかとは思いますが、それがどの程度のものなのかは解りません。また、「緑のカーテン」により風が遮られたり、室内が暗くなったりと言うデメリットも当然ある訳で、そうなると、それを補うため送風や照明に余分な電力を使用することになる場合もあるかもしれません。部屋の環境、植物種、またカーテンの規模・設置場所の違い等で当然変わり、諸説もありますけれど、一般に、「緑のカーテン」設置により、室温で1℃〜5℃程度、電力消費量にして10〜30%程度の低下が期待できるとされている場合が多いようです(平均的には室温で1℃代後半から2℃程度、電力消費量で10%程度とされる場合が多いよう。資源エネルギー庁によると、簾・葦簾による遮光で削減率10%アップ、120Wの消費電力削減になるとか)。
 効果は不明ですが、今夏、我が家でも、「緑のカーテン」やってみようかと考えています。
 と言うのは、先月(5月25日)のところで書きました、庭のエノキに、毎年夏になると、ヤマノイモの蔓が絡まり、ヤマノイモの蔓先端可也高くまで伸びるのです。「むかご」が収穫できるので、それ自体は良いのですが、冬になると枯れた蔓を取るのが一苦労。
 今年も延びてきました、ヤマノイモ。三本の蔓がツバキに絡まり伸び、先端がまたエノキを探っています(右画像.三本のうちの一つ)。それを見ていてふと思ったのです。エノキからリヴィング前のテラス屋根(大分くすんでいますが一応透明)先端までは、ほんの1m程。この屋根の支柱にヤマノイモの蔓を誘導して絡ませ、またビニール紐で固定しテラス屋根上を覆うようにしたなら、日除けにもなり、冬の枯れ蔓取りも楽になって、一石二鳥ではないか...、と。まだ、蔓は短めなので、今後の予定と言う段階ですが、是非やってみたい。

 我が家は例年の夏、基本扇風機のみで大丈夫。ただ昨夏の猛暑、90歳間近の高齢者がいるので、流石に冷房のお世話になりました。使い方としては、省エネ効果が有ると言われ以前より気になっていた、エアコンと扇風機の併用、というパターンを実践してみました。エアコン設定温度28℃、扇風機設定レベル弱(3段階の1)で使用。これは可也効果がありました。飽くまで私の感覚ですが、26℃程度に設定したような体感でした。
 日中は、エアコン+扇風機、日が沈んだら、窓を開け扇風機だけにして、風呂の残り湯を庭に打ち水し、ホースで庭木にたっぷりと水をかけ、気化熱を奪ってもらい涼しくする、というパターンで、日々なんとか乗り切りました。今夏は幸い、昨夏ほど暑くはなりそうもないので、昨夏同様の涼化パターンに、ヤマノイモのカーテンをプラスすることで、冷房の設定温度をもうちょい高く(1〜2℃)できるのではなかろうかな、或いは出来たらいいなと、期待をしている次第です。
 何事も、鵜呑み、過信は禁物ですが、自分で考え、実行して、効果を見たいと思っています。

(追記:くれぐれも、無理に冷房を控えて熱中症にならぬようお気をつけ下さい。他の家電使用を工夫することで有る程度補うことも出来ますから)

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*資源エネルギー庁データ:夏の14時頃の全世帯平均の消費電力割合詳細は以下のようになっています(H.23年5月)。
・エアコン 53% ・冷蔵庫 23% ・テレビ 5% ・照明 5% ・温水便座 0.3% ・パソコン 0.3% ・待機電力 0.4% ・その他 10%
エアコン(冷房)が圧倒的。冷蔵庫も多いなぁ。開閉を工夫せねば
*エアコンと扇風機の併用:TEPCO(くらしのラボ)の、エアコン単独の場合と扇風機併用の場合での消費電力比較データは以下のようになっています。
・26℃設定 エアコンのみの運転→100% ・26℃設定 扇風機併用→110% ・27℃設定 扇風機併用→91% ・28℃設定 扇風機併用→78%
様々な条件の違いで数値は当然変わってきますが、プラス2℃で扇風機併用だと≒2割省エネになると言うことですね
*蒸散:主に気孔で行う。単なる蒸発と異なりコントロールされる。日光により葉の温度(葉温)が上がれば葉の細胞がダメージを受けるので気化熱を利用し冷却の為行うと考えられる。動物で言えば発汗に近いでしょうか。因みに葉が受ける光エナジーの内≒90%前後は熱エナジーになってしまうとか
*アサガオ:Ipomoea nil ヒルガオ科サツマイモ属の一年草。東南アジア原産とされる。日本へは中国経由で奈良時代に渡来したと考えられている
*ゴーヤ:Momordica charantia ウリ科ツルレイシ属の蔓植物。和名ツルレイシ。ニガウリとも。ゴーヤは沖縄方言。熱帯アジア原産。食用とするのは未熟な果実。苦味成分はモモルデシン
*ヤマノイモ:Dioscoreaceae japonica ヤマノイモ科ヤマノイモ属の蔓性多年草。山芋、自然薯(じねんじょ)とも。本州・四国・九州・沖縄及び朝鮮半島、中国に分布。雌雄異株。地下に芋があり食用とする。ナガイモは中国原産で異なる種
*むかご:珠芽(しゅが)。零余子とも書く。葉の腋などに作られる栄養を蓄えた繁殖器官。やがて離れて地上に落ち発芽する。塩茹でにしたりご飯と炊込んだりすると美味
*エノキ:Celtis sinensis var japonica イラクサ目ニレ科エノキ属の落葉高木。東亜細亜に広く分布

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
・岩手県獣医師会 http://ivma.jp/
・宮城県獣医師会 http://miyaju.jp/
・仙台市獣医師会 http://www.svma.or.jp/
・福島県獣医師会 http://www.fva.or.jp/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・茨城県獣医師会 http://www.ibajyuu.com/
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch
・福島第一原発警戒区域内被災動物救護緊急提言 http://freepets.jp/

2011年 皐月25日 胡麻斑蝶
 弥生十一日、宮古港に押寄せる隆起した海水と、仙台平野の田園を呑み込んでゆく黒い波を見て以来、私は、何か薄っすらと呆然とした状態が継続しているような心持で、浮遊感が消えない。何時の間にやら時が身体を摺り抜け、ふと気が付けば桜が満開、またふと気付けば何時の間にか一面新緑。
 あぁ、何が有ろうと無かろうと、回転楕円体は廻(めぐ)る。私のことなど眼中に無く、季節は廻る。ぼやぼやしている内に月日が矢の如く過ぎてゆく...。ゴマダラチョウ
 と、そんな或る日、夕刻猫を散歩に連れて行こうかと庭に出てふと見れば、ドウダンツツジの上にこんな休息者が(左及び右下画像)。
 ゴマダラチョウ。

 我が家の南に面したリヴィングの外に、何時の頃からか、一本のエノキが、大きく育ち、存在感を発揮するようになりました。他にも彼方此方小さなエノキ達が育っているので、間違えなく野鳥の落し物から発芽し育ったのでしょう。
 このエノキは、放って置くと巨大化し庭が真っ暗になってしまうので、葉が落ちた晩秋から初冬の頃、主だった枝を落とし、冬支度とします(葉が落ちると剪定がし易い)。その所為か、唯でさえ遅い春の芽吹き(エノキは芽吹きが他の樹種より遅め)が更に遅い。他の小さなエノキ達(高さ数十センチ程度)がそこそこ葉を繁らせているときにまだ殆ど冬姿に近い。
 でも、エノキの芽吹きが遅いと言って、私らヒトはそれだからどうと言うこともない。日当たりが良く好都合なくらいですが、庭の住人の中には、このエノキの特別な芽吹きの遅さを一寸迷惑がっているかもしれない者達がいるのです。
 それは、ゴマダラチョウの幼虫達。ゴマダラチョウ.黄色い口吻
 ゴマダラチョウの幼虫の食樹はエノキ。親は夏場エノキの葉裏等に産卵します。孵化した幼虫はエノキの葉を食べ、冬になると幹を降り落ち葉の下で越冬。そして翌春、再び幹を登って若葉を食し成長し、エノキの葉裏で蛹化(ようか.蛹になること)。やがて羽化し飛び立ち、どこぞのエノキで産卵―というのが、ゴマダラチョウの大まかな生活史(生活史とは生物個体の生涯に渡る生活の有様・過程)。
 我が家の庭では、この生活史の内、春になって若葉を食べて―の部分に一寸難問が。何せ上記の如く冬場の剪定の影響で、遅い芽吹きがより遅い。幹に登ってきた寝覚めの幼虫達の食べる葉っぱが少ない。一寸気の毒。でも何とか、蛹化→羽化と乗り切っているようで、写真の個体も、どうやらそのような中の一頭らしい。
 写真は、ドウダンツツジの上で翅が固まり切るまで乾かしている(と思われる)様子ですが、暫く前は、そこから数メートル離れたエノキの葉裏に翅を閉じた状態でとまっていました。おそらく羽化したばかりだったのでしょう(時間的・場所的に考えて、同じ個体だと思うけどな)。
 撮らせてもらった写真をPCに取り込む等してのち、確認しに行った時には、もう姿はなく、夕暮れの空を見上げても、それらしき飛翔は見当たりませんでした。どうぞ、ご無事で。
 野生生物の特定の個体に対し、特別な感情を持つのは、私は禁物と考えるのですが、でも、家の庭で生まれたり羽化したりした個体には、矢張り親近感を覚え、生き先の幸運を願ってしまう。人情ですかね。こんな私にも、人並みの人情があるのでしょうか?

アカボシゴマダラ ゴマダラチョウに関し書いた序でに、アカボシゴマダラという蝶についても、一寸書かせて下さい(もう暫くお付き合いを)。
 アカボシゴマダラは、ここ東京郊外では、最近時折見かけるようになった蝶。一見、ゴマダラチョウに似ていますが、翅の白斑がより小さくより多く、またその名の通り、後翅に赤い斑紋が目立つ(左画像)。家のエノキにも偶(たま)に訪れる。
 このアカボシゴマダラ、外来種なのです。日本でも奄美諸島周辺に在来の亜種が生息するのですが、此処最近出没しているのは、様々な特徴から大陸由来の系統と見られ、また1997年以前には全く確認されておらず、突如として出現しているので、意図的に持ち込まれ放蝶されたものと考えられています。
 関東南部の気候が合うらしく、アカボシゴマダラは確実に定着し分布を拡大しているようです。此方の幼虫もエノキを食樹とし、在来のゴマダラチョウ(また準絶滅危惧種のオオムラサキ)と類似の生活史を持つため、競合し悪影響を及ぼすことが危惧されています(交雑の危険性も指摘されている)。冬、落ち葉の下で越冬するゴマダラチョウの幼虫と異なり、アカボシゴマダラの幼虫はエノキの幹上でも越冬するため、春、ゴマダラチョウの幼虫より早く若葉を食してしまうので、競争力が強く優位なのではと推測されているとか。大体なんでも、個体数(また生態系の構成種)の多い中で生き抜いてきた大陸育ちの種の方が、個体数(また生態系の構成種)の少ない中で(比較的)のんびり生きてきた島育ちの種より強いのですよね(人間にも或る程度当て嵌まりそうな気もしないでもない)。島嶼に人為的に持ち込まれた大陸(或いはより大きい島)由来の生物が、島の固有種を滅ぼし或いは減少させ生態系を乱した例は歴史上多々ある。
 アカボシゴマダラには何の罪も責任もありませんが、注意して見ていたいです。

 ゴマダラチョウに話を戻します。
 ゴマダラチョウは関東辺では、年2回発生。この春に羽化したものがこれから産卵し、孵化した幼虫は夏たっぷりと葉を食べて成長し、また産卵。孵化した幼虫は冬を越します。庭のエノキは、葉が繁りすぎて暗くなるため、例年冬支度とは又別に、夏前に少し剪定しています。併し今年は、夏の電力不足解消の為冷房控えめを考えているので、暑さ対策として葉を繁らせる予定。幼虫達よ、いっぱいお食べ。

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*宮古港・仙台平野:東北地方太平洋沖地震の揺れを受けた後、TVの報道で私が最初にリアルタイムで見た津波の映像は、岩手県の宮古港のもので、次に見たのが、仙台平野の田んぼを猛スピードで埋め尽くす津波のヘリからの空撮映像でした
*ゴマダラチョウ:Hestina persimilis japonica 鱗翅目タテハチョウ科コムラサキ亜目アカボシゴマダラ属のやや大型のチョウ(前翅長40mm前後.ナミアゲハやクロアゲハより少し小さい)。東亜細亜に広く分布し日本産は一亜種。口吻(こうふん.吸収管(管状の口))が鮮やかな黄色(右画像)。樹液を好む
*アカボシゴマダラ:Hestina assimilis 鱗翅目タテハチョウ科コムラサキ亜目アカボシゴマダラ属のやや大型のチョウ(ゴマダラチョウより若干大きい)。ベトナム北部から中国・朝鮮半島・台湾等東亜細亜に広く分布。幼虫の食樹はエノキ。検疫有害動物として輸入が禁止されている。また環境省により要注意外来生物に指定されている。1998年に神奈川県で繁殖確認。進入経路詳細は不明ですが違法に持ち込まれ飼育されていた個体が逃げたか意図的に放たれた(所謂「ゲリラ放蝶」)可能性が高いとされている。
アカボシゴマダラは地域ごとにタイプが異なり、関東で知られているタイプは春型に白っぽい個体(白化型)が現れる、赤い斑紋が環になっていない等、奄美産タイプと異なる中国タイプと同様の特徴が見られる
*交雑:一般に遺伝子の異なる異種間で雑種が作られること。外来(移入)種と在来種との間で起こると在来種の固有遺伝子が撹乱され固有種や亜種の絶滅に繋がる恐れがある
*オオムラサキ:Sasakia charonda 鱗翅目タテハチョウ科コムラサキ亜目オオムラサキ属の大型のチョウ(前翅長50mm前後)。日本各地の他朝鮮半島・中国・台湾北部・ベトナム北部に分布。幼虫の食樹はエノキ・エゾエノキ。1957年日本昆虫学会で日本の国蝶に指定
*ドウダンツツジ:Enkaianthus perulatus ツツジ目ツツジ科ドウダンツツジ属の落葉低木。本州・四国・九州に自生(少ない)。見事な紅葉が特徴で庭木・公園木として多用される
*エノキ:Celtis sinensis var japonica イラクサ目ニレ科エノキ属の落葉高木。東亜細亜に広く分布。江戸時代、一里塚(慶長9(1604)年より日本橋を基点に一里(≒4km)毎に設置された.古くは平安時代からあるとか)に多く植えられた(目印として又休息の為。エノキの他マツ、スギなどが植えられた)。一説には、家康が「ええ木を植えよ」と言ったのを「エノキを植えよ」と家臣が聞き違えたためとか(言ったのが家康ではなく秀忠だったり家光だったり「ええ木」でなく「余(その他)の木」だったり諸説色々)
*暑さ対策:植物は葉の裏から水を蒸散させて葉の温度を下げるので、周囲の空気の温度も下がる

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
・岩手県獣医師会 http://ivma.jp/
・宮城県獣医師会 http://miyaju.jp/
・仙台市獣医師会 http://www.svma.or.jp/
・福島県獣医師会 http://www.fva.or.jp/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・茨城県獣医師会 http://www.ibajyuu.com/
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch
・福島第一原発警戒区域内被災動物救護緊急提言 http://freepets.jp/

2011年 卯月23日 コンパッション・ファティーグ
 この春ほど、桜を楽しめない春はなかった。

国分寺遺跡の桜と欅 私の住むのは、都心からは大分と西へと向かった、郊外。畑も雑木林も多く、一寸自転車で崖線(多摩川の形成した河岸段丘の崖の連なり)下へ走れば、田んぼも珍しくは無い。よって緑地も豊かで、桜を眺めるに良き所にも事欠かない。並木、公園、遺跡、古い病院や大学の敷地等など、近所で普通に行動しているだけで見事な咲きっぷりが目に入って来る。なので結構お腹イッパイになるのですが、矢張りそれだけでは何とは無く物足りなく、桜の時期は、出掛けた序でに少し自転車で遠回りをし、桜を観に行くのが通例。大体二度は行く。
 ですが、今年は、なかなか観に行く気になれなんだ。花粉症も大分と楽になり、出掛け易くなったのですが、どうも無気力。図書館にCDを借りに自転車でぶらぶらと行くのが日常の大きな楽しみの一つなのですが、それもする気になれない。如何した?音楽も、大好きなメタルやモーツァルト等、元気の良いもの明るいものは全く聴くに気になれず、バッハとベートーヴェンの重た目の楽曲ばかりが如何も染み入る。外界は匂いたつばかりに春。なのに鬱々...。
 これではいかんと、心を起こすにはまず身を起こせ(by島崎藤村)、と言うことで、重い身体と心に鞭打って、満開の頃、近所の遺跡(古代から中世にかけての寺院遺跡)に桜を観に行きました。上左画像がそのときの桜。若葉萌えたつ欅(ケヤキ)と共に、雷鳴含みの暗鬱たる雲の下、風に吹かれて咲き乱れ。一時、心も浮かれました。でも、また鬱々...。

 Compassion fatigue=コンパッション・ファティーグ、「同情疲労」・「共感疲労」。最近知りました。これか?私の鬱々。
 コンパッション・ファティーグ=「同情疲労」・「共感疲労」は、医療や介護、福祉等に従事する方々が、接する相手の苦しみや境遇などに深く感情移入し、精神的にダメージを受ける、といった心理状態を指す用語。心的外傷(トラウマ)を持つ人びとと深く関わるカウンセラー等が間接的に心的外傷を負いストレス障害を起こす、二次的心的外傷ストレスと同義とされる場合もあるようです。
 この様に元来は、医療等に関わる言葉であったようですが、現在はもっと広く、苦しんでいる人、辛い境遇にある人等に共感・感情移入しすぎて、不安感や疲労感に苛まれるような状態になる事も指す言葉となっているようです。
 こう見ると、私の無気力・鬱々、原因はこれか?毎日溢れるような震災関連の報道に接しているうち、知らず知らずストレスがたまり同情・共感疲労の症状を呈していたのでしょうか。
 この、同情・共感疲労という現象、個人的なもので有れ、社会的なものであれ、共感・同情・感情移入によりストレスが蓄積し不安感や疲労感を抱えたその結果、一種の自己防御反応と言えるのでしょうか、傷つき疲れることを避けるため、対象から精神的に距離をとる状態に進む場合があるようです(少なくも用語としてはそこまでの状態を含み表す)。今回のような災害時で言えば、被災者・被災動物に対する同情の心や共感の思いが薄れていくということです。
 此度の震災(震害・津波災害・原子力災害)の激甚さ、直接被災した地域だけで如何にかなると言うレベルではない。直接の被災を免れた我々が被災地また被災者の方々をアシストするというだけでなく、我々自身が復興して行くという意識が必要にも思う。被災地とは比ぶべくもないとは言い、あの日の振動を体感し、停電・物不足を経験し、実際に身近に崩れた屋根瓦や石塔を見た身には、そうも思える。
 被災者の方々に「元気出して」「頑張って」等言っても、それは酷と言うもの。ひと月ふた月で元気はなかなか出ないでしょう。もう充分過ぎるほど頑張って居られるでしょう。その前に我々非直接被災者が元気出して頑張らねば(東北・北関東の産業にも福島の原発にもお世話になってきてた訳だし)。
 道は長い。同情・共感疲労により被災地への思いが薄れて行くという現象がある、その事を自覚し、そうした状態に陥らぬようケアするのも、大事。

 我々自身が復興して行くという意識が必要、と先に書きましたが、受容の仕方対処の仕方は人其々(それぞれ)。受けた傷の深さ大きさ、その影響範囲の広さを考えれば、日本中が「団結」して「ひとつに」なって「がんばろう」と言う姿勢は確かに必要とは言い、何も全員が同じに振舞う必要もない。其々の思いをもって其々のペースで其々にアクションすれば良いのです(アクションしなくたって良いんです)。何であれ、同調しない者を白眼視するのは古今東西ヒトの悪い癖。同じ方向を向かなければ肩身が狭い、と思わせるような雰囲気を作っては、「非常時」の名のもとに無批判に団結し、同調しない者を「非国民」と攻撃し、戦争に向かって突っ走ったあの時代と何ら変わらない、となってしまう。
 其々が其々に、冷静に。

 余震、誘発地震またアウターライズ地震など、暫く続くことが考えられます。怖れず、でも侮(あなど)らず、ゆっくりと行きましょう。被災者の方の体験記事を読み、また津波当日の映像等見れば、どの様な言葉も空しく感じられますが、でも、前向いて踏み締めて、行きましょう。

 ............

 3月11日、あの日以来、私の中で何かが大きく変わった、と感じています。「前向いて踏みしめて、行きましょう」など上で偉そうに語ってしまいましたが、無力感、無常感或いは喪失感に、強く心が囚われ、正直なところ、その状態がずっと継続しています。同情・共感疲労とは一寸質を異にするこの変化は、もう元に戻ることはおそらくは無く、こうした思いを抱きながら、私の日々も生も続いて行くのでしょう。
 けれども、何時かは必ず、無力感も無常感も喪失感も総て自身の内に摂り込み糧とすら出来る日が来るものと、確信しております。結構、しぶといですから。

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*コンパッション・ファティーグ(Compassion fatigue):同情疲労また共感疲労と訳される。医療従事者が自己防衛のため示した精神的に距離を置く状態を表す用語として1990年代に一般化
*トラウマ(trauma):希臘語で「傷」の意
*東北・北関東の産業:私の住む自治体指定のゴミ袋は宮城の工場で生産されていました。その工場が被災した為暫くゴミ袋が店頭から消えてしまいそこではじめてその事実を知りました。また私の大好きなさんまの蒲焼の缶詰に使用されていたさんまも三陸産が含まれるのです。同じく大好物の納豆のメーカー或いは工場も東北・北関東に多く存在しています
*アウターライズ地震:海洋プレートが大陸プレート下に沈み込みを開始する為隆起した領域であるアウターライズ(outerrise)=海溝外縁隆起帯で起こる地震。今回のような大陸プレートと海洋プレートとの境界で起きた地震の影響で起こる場合が多いと考えられている。本震の数十分後、数日後、数ヵ月後或いは数十年後に起こる等ある(1933(昭和8)年の昭和三陸地震は、37年前の1896(明治29)年に起きた明治三陸地震のアウターライズ地震と考えられている)。今回の東北地方太平洋沖地震の余震中にもアウターライズ地震が含まれていたと見られている。震源が陸地から遠いので震度は小さくも海底で起きる為津波発生が懸念される。
アウターライズ地震は、海洋プレートの浅い部分では伸張(引張り)の力が働くため正断層型、深い部分では圧縮する力が働くため逆断層型の地震が起こる
*誘発地震:大規模な地震に誘発され起こる地震。一般に、本震震源域内またその近くで起こる余震に対し、本震震源域から離れた地域で影響を受け起きる地震を指す。東北地方太平洋沖地震による地殻変動で各地地盤に大きな力が加わり、首都圏及び東北から中部地方にかけ地震が起き易い状態になっており誘発される地震に対し注意が必要との見方がある。3月12日の長野北部、同15日の静岡東部の地震は誘発地震と考えられている

参考:
・マリンネット東日本大震災義援金募集情報 http://www.marine.ne.jp/staff/shinsai/
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
・岩手県獣医師会 http://ivma.jp/
・宮城県獣医師会 http://miyaju.jp/
・仙台市獣医師会 http://www.svma.or.jp/
・福島県獣医師会 http://www.fva.or.jp/
・福島県動物救護本部 http://www.pref.fukushima.jp/eisei/saigai/kyuugoindex.htm
・茨城県獣医師会 http://www.ibajyuu.com/
・Google Animal Finder(動物消息情報) http://japan.animal-finder.appspot.com/
・msnペットサーチ(被災ペットを探す・引取る) http://eastjapaneq.jp.msn.com/petsearch
・福島第一原発警戒区域内被災動物救護緊急提言 http://freepets.jp/

2011年 弥生15日 自戒・冷静
 この度の地震・津波の被害に会われた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。また、亡くなられた方々及び遺族の方々に、心よりお悔やみ申し上げます。
 被災現場で救助・支援に当たられている皆様、又原発事故現場で復旧に当たられている皆様には、敬意を表します。

 避難叶わず、犠牲となられた方々の無念を思うと、胸が痛みます。避難叶った方々に於きましても、高台或いは高層建築の上より、自分達の生活していた街、ともに暮らした人びとが波と瓦礫に呑み込まれていく全てを見届けなければならなかったその心情、また避難所でのご苦労を思うと言葉もありません。

 心と暮らしを立て直せる日が来ることを、願っております。

 ............

 ここ東京では、現在、震災に伴う交通規制、ガソリン不足、被災・停電による工場の操業停止等による供給への支障、また人びとの買い溜め等により、食料その他物資が不足気味で、軒並みスーパーの棚は、お米・パン・インスタント麺・缶詰・水等、主食となるものや、保存の利く飲食料中心に、からっぽの状態。蝋燭、懐中電灯、乾電池など防災関連商品も同様。ただレジだけが寂しい商品陳列とは対照的に、賑やか。電力不足を補うため、照明も通常時の半分から三分の二程度しか点灯していないため、店内は薄暗く異様な雰囲気。そこそこ長く生きていますが、全く初めての経験です。ソヴィエト崩壊当時映像で見た、東欧諸国の食料品店のからっぽの棚と長蛇の列を思い出しました。
 我が家では、偶々お米の在庫が無くなりかけていた為、近所のスーパーをあちらこちら探したのですが、三軒目にやっと一袋確保できました。
 私の住む地域は、東京電力管内ですので、食料・物資だけでなく電力も不足しており、計画停電の対象地域となっています。幸い、まだ私の地域では実施はされていませんが、節電に勤めたいと思っています。今も部屋の照明を落としてキィボードを打っています。暖房(足下用のちっちゃいセラミックヒーター)も普段の半分です。
 部屋も寒いし食卓も寒いですが、被災した方々のご苦労を思えば、何の此れしき延喜式。食料もエナジーも物資も、被災地優先。先々、今回活動した地震域に接するより南方の、房総沖地震域の活動の可能性も否定できないのではないかとの不安も正直ありますが(飽くまで個人的な見解です)、被災していない私は、更なる省エネを心掛け、買占め・買い溜め等に走らぬよう、自戒したいです。冷静でありたいと思います。

 被災していない人間にできることがあります。ボランティア、募金、省エネ、譲り合い、防犯などなど。其々に出来る事を、みなで考えましょう。被災していない我々も、連日の報道で不安をストレスを募らせています。人心の不安定化は避けられませんが、其々がセルフケアも考えましょう。
 正直、原子力発電所の事故は深刻さを増し、其方の事も地理的に遠いとはいえませんので、心配です(それは近隣諸国でも同じと思います。この事故はこの後の人類のエナジー政策全体に大きな影響を及ぼすでしょうね)。誰も同じでしょう。誰も、自分(或いは自分達)を守りたいと思うのは当然のことですし、自分を守ることは第一に大切なことと考えます。自分を守らなければ他者を守ることも叶いません。ただ、「自分(或いは自分達)を守る」が、「自分(或いは自分達)だけを守る」にならぬよう、自戒と冷静さが、何より求められると考えています。

 今も、東京を含む関東各地で、通常より高い放射線量が確認されたとのニュースが入っています。福島原発の事故の影響です。但し左程高い値ではありません。折からの北寄りの風に放射性物質が運ばれたことによる、一時的なものです。
 冷静に。

*3月18日追記:なかなか報道されてないことも有り、被災した動物達のことも気になります。現在、動物愛護団体及び獣医師会により組織される「緊急災害時動物救援本部」が立ち上げられ、支援・救護活動また義援金募集等を行っています。詳細は、下記等を。
・緊急災害時動物救援本部 http://www.jpc.or.jp/saigai/
日本動物愛護協会 http://www.jspca.or.jp/
日本動物福祉協会 http://www.jaws.or.jp/
日本愛玩動物協会 http://www.jpc.or.jp/
日本獣医師会 http://nichiju.lin.gr.jp/

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*地震域:今回動いたのは、三陸南部海溝寄り、宮城県沖、福島県沖、茨城県沖の四つの地震域と考えられている。房総沖はその南に接する。今回のようなプレート型地震はプレート(岩板)にたまった歪が開放されることによって起こりますが、このことによって、他地域のプレート内の歪バランスの変化が起こり、地震が起こりやすくなることも可能性としてはある(飽くまで個人的見解です)
5月1日追記:上記四つの他に、三陸沖中部、三陸から房総沖の海溝寄りの二つも加わり、全部で六つの震源域が動いたとの見方もある。想定されていたのは、三陸南部海溝寄りと宮城県沖の二領域の連動でM8.0前後のパターンのみ
*ボランティア:現時点での参加は反って地元に負担を掛けることになってしまう可能性が考えられます(不測の事故や食料・燃料等の問題で)。今はプロの方に任せたほうが良いのでは。現地の受入れ態勢が整った後地元のニーズを確認してからが良いと思います。個人での物資の送付も同様、正式に募集されてから行わないと、仕分け・保管等、逆に地元の負担が増す結果になるおそれがあります。義援金・支援金という形が有効と思われます(3月15日現在)

2011年 如月19日 SUNSET
 ロック・ギタリストのゲイリー・ムーア(1952-2011)が亡くなりました。休暇で滞在中のスペイン、コスタ・デル・ソルのホテルの一室で、現地時間2月6日早朝、死亡した状態で発見されました。死因は睡眠中の心臓発作と、オフィシャル・サイトで発表されました。享年五十八。

 私の少年時代のアイドルは、詩人とハード&ヘヴィ系ロック・ミュージシャンだったというのは、以前にも書かせて頂きました。ゲイリーも、そのアイドルの一人でした。
 アイドルの中でも詩人は、立原道造(1914-1939)や中原中也(1907-1937)或いはそれ以前の時代の疾(と)うに亡くなった人達ばかりですので、訃報に接すると言うことは有りませんが、ハード&ヘヴィ系ロック・ミュージシャンは、皆第二次大戦後(或いは大戦中)世代の方々。よって、年齢的巡り会わせもあってか、訃報を聞くことが結構多い。昨年は、敬愛するヘヴィ・メタル・ヴォーカリストの彼の出世作「CORRIDORS OF POWER('82)」ロニー・ジェイムス・ディオの訃報で凹んだばかり。なのに又かい。
 ドラッグの噂も、クルマ好きという話もとくに聞いて無かったからね。まさか君の訃報が届くとは思っていなかったよ、ゲイリー。

 ゲイリーは、北アイルランド生まれ。1960年代からギタリストとして活動を始め、1970年代には、スキッド・ロウ(亜米利加のバンドとは別)、コロシアムII、フィル・ライノット(1986年ヘロイン過剰摂取により死亡)率いるシン・リジィ等といったバンド、或いは自身のソロ・アルバム、又コージー・パウエル(1998年自動車事故で死亡)のソロ・プロジェクトへの参加などで活躍(日本ではコージーのソロ・アルバムでゲーリーを知った人が多いのでは)。その頃から一部コアなファンの間では、凄腕ギタリストとして有名でしたが、彼が本格的にギター・ヒーローとしてロック界に君臨したのは1980年代に入ってから。
 1970年代より引き続き1980年代も、ロックの世界ではギタリストが花形でしたが、特にハード・ロック&ヘヴィ・メタルと言うジャンルはそれが顕著。そのハード・ロック&ヘヴィ・メタルが時代のトレンドとなった、1980年代は、ギタリスト全盛期。エドワード・ヴァン・ヘイレンマイケル・シェンカーアンガス・ヤングランディ・ローズ、そしてイングヴェイ・マルムスティーン等など、歴史に名を残すスーパーなギタリストが次々にシーンに登場し、キッズのアイドルとなっていた時代でした。ゲイリーもそのスーパーなギタリストの一人。右上のアルバム、1982年リリースの「CORRIDORS OF POWER」で大ブレイクし、翌1983年には初来日。国内でもその人気を決定的なものにしました。日本では当時、マイケル・シェンカーと人気を二分するほどの存在で、彼愛用のギターのコピー・モデルが売れまくりました。
 私は、1984年2月、武道館でライヴ初拝見。迫(せ)り上がるステージの上で気持ちよく弾きまくるゲイリーの勇姿が、今も鮮明に網膜に浮かぶようです。
 1990年代以降、自身の音楽的ルーツであるブルースへとシフトしたゲイリー。私はブルースが苦手なので、彼の新しい作品からは遠ざかってしまいましたが、ハードにロックしていた頃の作品は、今に至るまで聴き続けています(因みに私のフェイヴァリット・アルバムは、最もヘヴィ・メタルリックな「DIRTY FINGERS('81)」)。彼の「熱い」ギター、唯一無二の個性といって良い、魂のプレイ。正確無比なピッキングで押し捲る超速弾きハード・ナンバーも、情感たっぷりの泣き捲くるバラード・ナンバーも、何れもパッション(熱情)溢れんばかりのものでした。

 オジー・オズボーン・バンドのギタリスト、ランディ・ローズが非業の死を遂げた時、ゲイリーが彼に捧げた畢生(ひっせい)の名演、"Sunset"が、地球上のあちらこちらで、今、彼に捧げられているのでしょうね。

 さよなら、ゲイリー。コージーに宜しく。

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*SUNSET:ゲイリーがゲスト参加した、名ロック・ドラマー、コージー・パウエル(1947-1998)のソロ作、「TILT('81)」収録。ギター・インストゥルメンタルの傑作。1983年来日時、前年3月に飛行機墜落事故で亡くなった、ランディ・ローズ(享年25)に捧げるとの言葉の後、キィボードのドン・エイリーと二人だけで演奏された(レコーディング時のキィボードもドン・エイリー)
*コスタ・デル・ソル(太陽海岸):スペイン南部アンダルシア州マラガ県のリゾート
*死因:レッド・ツェッペリンのジョン・ボーナム(ドラマー)、AC/DCのボン・スコット(ヴォーカル)、ジミ・ヘンドリックス(ギタリスト)などと同様の、吐寫物を気管に詰まらせての窒息死という報道も当初ありましたが否定されました
*コージーのソロ・アルバム:1979年から1980年代初頭辺りは、コージーの3枚のソロ・アルバムの他、グレッグ・レイクのソロ・アルバム('81)にも参加している。尚、コージーとは後自身のアルバム「AFTER THE WAR('89)」でも共演している
*フィル・ライノット(1949-1986):死因はヘロイン注射に伴う敗血症(細菌感染症(炎症)が全身に及ぶもの)とされています。スキッド・ロウでもゲイリーと活動を共にしている。自身の活動の他、U2の発掘や若手育成などの功績により「アイルランドの英雄」と称され今も愛され続けている
*マイケル・シェンカー:独逸人ロック・ギタリスト。メロディアスなソロを弾かせたら右に出る者はない美旋律の権化。自身のバンドのアルバム邦題及びそのカリスマ性から、「神」と呼ばれる
*コピー・モデル:G-Force('80)時代の豹柄ギター、「CORRIDORS OF POWER」のジャケットに写っているメタル・ピックガードのギター、初来日時などで使用したピンクのストラトキャスターなど
*迫り上がるステージ:ギター・ソロ(無伴奏."White Knuckles"だったか)時ステージの一部が朝礼台のように周囲より高くなる。3mはあったかなぁ

2011年 睦月一日 Avian influenza−鳥インフルエンザ
 恭賀新年

昨年一年間、お店も当「北の離れ」もお世話になり、有難う御座いました。本年もまた、どうぞ宜しくお願い致します。

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 以前より可也気になって心配していた事柄が、矢張り現実となりました。昨年末、鹿児島県出水(いずみ)のツル越冬地で、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)のツルへの感染が確認されました。

 出水は鹿児島県北西部にあり、主に≒一万羽のナベヅルと≒三千羽のマナヅル(他に少数アネハヅル、クロヅル等も飛来)の越冬地となっています。
 ツルは江戸幕府により、将軍権威の象徴として、或いは朝廷への献上物としてある種特別な存在で、保護の対象とされていましたが、明治以降一転して狩猟の対象となり、瞬く間に減少(タンチョウも同様)。出水にも殆んど飛来しなくなったそうです。が、1895年(明治28年)狩猟法の制定により再び保護の対象となってより、徐々に飛来数が増加。大正から昭和初期にかけて、ツルの名所として有名になり、1921年(大正10年)天然記念物指定。後、海軍飛行場の設置や戦争の激化による保護活動の縮小などで飛来数が減少する時期もありながら、戦後の1952年(昭和27年)特別天然記念物指定。地元の方々の努力などにより、1992年(平成4年)には個体数が一万を突破。野鳥保護の成功例の一つとして、少なくも野鳥好きの間では知らぬ人とて無い存在。
 なのですが、飛来数の増加とともに、問題視され心配されたのが、鳥インフルエンザの感染(他に農業被害増大の問題がある)。以前は、山口県周南市八代(やつしろ)にも、ナベヅルの比較的大きな越冬地が存在したのですが、1940年(昭和15年)の≒350羽をピークに後減少。近年は20羽前後を推移という状態で、マナヅルだけでなくナベヅルも、出水へ一極集中という状態となっています。これでは、若し万が一、鳥インフルエンザ感染となれば、一気に爆発的感染拡大となり、絶滅へ急加速となり兼ねない、と心配されていたのです。何せ、地球上に生息するマナヅルの40〜50%、ナベヅルに至っては全個体数の80〜90%が出水に集中越冬。感染拡大したら大変。実際、韓国や台湾で集中越冬している、トモエガモやクロツラヘラサギ(全個体数≒千羽)の鳥コレラやボツリヌス菌感染による大量死が起こっています。
 こうした事態の中、2001年より環境省・農水省・文化庁によるもの、又2004年よりNPO(日本野鳥の会)によるもの等、マナヅル・ナベヅルの越冬個体を西日本各地に分散させるプロジェクトが、それぞれ動いています。現在のところ、分散候補地への飛来数は少ないようですが、嘗てのツル飛来再現のため、各種の環境づくりが行われているようです。

 鳥インフルエンザは、通常は強い病原性を示すことはない(「低病原性」なので特別な心配は要りません)のですが、遺伝子の変化等で、強い病原性を示すようになる場合があります。これが今回、出水で確認された、「高病原性鳥インフルエンザ(Highly Pathogenic Avian Influenza)」です。鶏などに感染が広がれば、大変な社会的影響が生まれますから、感染拡大防止が非常に急がれるのですが、相手は野生動物。対応が難しい。鳥インフルエンザ感染の際の対処に関する法律も整備されていなければ、渡り鳥の場合国際的な問題ともなる。しかも絶滅危惧種。対応には慎重さが求められる。かといって対応が遅れれば感染拡大となり個体数激減、という可能性も拡大。専門家の方々も、地道に監視を行い衰弱個体を収容し感染源を絶つ、としか言えない状態。

 高病原性鳥インフルエンザの国内侵入については、以前から、渡り鳥による持込が懸念されていました。
 直接的な持込は、シベリア等から越冬のため日本へ飛来する、カモやハクチョウやツルによるが、もともとの感染源は、中国南部及び東南アジアだと言う考えがあるようです。
 中国南部及び東南アジアは高病原性鳥インフルエンザが家禽(かきん.鶏やアヒル、ガチョウ等)に蔓延しヒトへの感染例も知られている地域。これ等地域でウイルスに感染したカモ類(カモは感染しても症状が出にくい)が繁殖地であるシベリア等へ移動。これ等のカモ類或いはカモ類の排泄物に含まれるウイルスに接触し感染したツルやハクチョウが越冬のため日本へ飛来し、ウイルスを持ち込む...という図式(あくまで一つの説です)。
 多くの冬季に飛来する水鳥は、以前に比し減少しているため、保護の対象となっている場合が多い。野鳥の場合、管轄は環境省(天然記念物は文化庁)。家禽を管轄する農林水産省とは異なり、インフルエンザ関連等の対処・対策は想定されていない。ツルの他、ハクチョウなどの水鳥の飛来地は、多くの場合、観光資源としての側面も持ち合わせているため、各地元は、保護の意味合いも含め行政及び民間で、飛来数を増やす努力を長く続けてきました。しかし、インフルエンザ関連等の対処・対策は各自治体も、同じく想定されていない場合が多いのではないでしょうか。
 ハクチョウやツルの飛来数が増えれば増えるほど、インフルエンザ蔓延の危険性は増大し、観光資源も危機に陥る可能性が高まるという、皮肉な状況となっています。

 ツルやハクチョウ、その他水鳥たちの保護を進め、且つ養鶏等への鳥インフルエンザ感染拡大を防ぐには、越冬地の分散化を促進し越冬個体の一極集中を防ぐ、これしか現在のところないのでしょう。
 比較的小さな集団が、各地の水田や池・沼・湖などに分散越冬していれば、仮に幾つかの地で鳥インフルエンザの感染が起こっても、左程拡大せぬ内に、流行が短期終息する可能性が高くなる。ただ、越冬地が分散すれば、大量飛来地を観光資源としている地域では、飛来数の減少による資源価値の低下も懸念されますから、難しいところ。また、越冬個体の塒(ねぐら)・餌場確保のため水田の冬季湛水(とうきたんすい.通常稲刈り後水を抜く水田に冬も水を張り続けること)が必要となり、裏作が難しくなる、無農薬栽培等が求められ収穫減になる可能性がある、など諸々の問題も起きてくる。

 日本を越冬の地と選び、遠く飛来する鳥達。彼女・彼等が安心して数ヶ月を過ごせる地。そうした環境を、各地に整備してゆく...。嘗て各地に普通に見られ、何時しか時代の波に侵食され消えていった環境を、復元して行くということですね。
 野生生物の保護、特に日本で多い里地周辺での保護活動(トキ、コウノトリ、ヤマネコ、クマ等など)は、周辺住民の方々の理解・協力が不可欠(渡り鳥の問題は国際間の協力も不可欠)。時間のかかることですし、それに元来、自然相手のプロジェクトは何事もある程度長い年月が必要となる事柄。何であれ速やかに成果を生むことを求められる今のニッポン。難しいですけれど、百年二百年先をイメージして動かないとね。

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*鳥インフルエンザ:Avian(鳥類の)インフルエンザ。A型である。主にカモ類の腸管内に存在。通常ヒトには感染しないが、中国及びベトナム、タイ、インドネシアなど東南アジア地域他で感染例が知られている。鳥インフルエンザウイルスへの大量暴露(ばくろ.ウイルス、薬品などにさらす或いはさらされる事)や体質など特殊な状況によると考えられているようです。
尚、高病原性鳥インフルエンザからヒトの新型インフルエンザへの変異の可能性が指摘されています。鳥からヒトに感染しヒト体内で変異しヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザに変わる、鳥インフルエンザとヒトインフルエンザ両方に感染するブタの体内(呼吸器)で二つのインフルエンザウイルスの遺伝子が混ざり合い新型インフルエンザとなる、ヒトの体内(呼吸器)で鳥インフルエンザとヒトインフルエンザの二つのウイルスの遺伝子の組換えが起こり新型インフルエンザとなる等の経路が考えられています
*インフルエンザ:A型、B型、C型の3属ある。ヒトに感染し流行するのは主にAとBでCはヒトの小児に感染する。Bはヒトのみに分布するがAはヒトを含む哺乳類及び鳥類に分布し、時にパンデミック(汎世界的流行)を引き起こす。
型の違いは、インフルエンザウイルス粒子を構成する蛋白質の、核蛋白(NP)と膜蛋白(M)の抗原(免疫反応を引き起こさせる物質)性の違いに基づく分類
*H5N1型:A型インフルエンザの亜型の一つ。H5は、ウイルス表面の糖蛋白(hemagglutinin(ヘマグルチニン))の種類、N1は酵素(neuraminidase(ノイラミニターゼ))の種類を表す
*大量死:韓国浅水湾で2000年、鳥コレラ(パスツレラ菌による)により12,430羽のカモ類が死亡(≒90%がトモエガモ.他にマガモ、オナガガモも)。台湾台南で2002年、ボツリヌス菌中毒でクロツラヘラサギ73羽が死亡
*ナベヅル(Grus monacha):ツル目ツル科ツル属。体長≒97cm。アムール川流域及びそのやや北の地域で繁殖。総個体数≒一万羽。絶滅危惧種(環境省レッドリスト)、ワシントン条約付属書I(商業取引全面禁止)
*マナヅル(Grus vipio):ツル目ツル科ツル属。体長≒127cm。アムール川流域周辺で繁殖。総個体数≒六千羽。絶滅危惧種(環境省レッドリスト)、ワシントン条約付属書I(商業取引全面禁止)
*ナベヅル・マナヅル越冬地:出水、八代以外には、韓国、中国にも存在
*分散化:環境省等によるものは、上記の八代、佐賀県伊万里市、高知県四万十市、長崎県上五島町が候補地。日本野鳥の会によるものは佐賀県伊万里市が対象。
ハクチョウやツルなど観光資源として利用され給餌が行われている場合、分散化のために給餌量を減らす必要が出てきますが、決断には勇気がいりますよね
*山口県周南市八代:山口県東部にある本州唯一のナベヅル越冬地。大正10年天然記念物、1955年(昭和30年)特別天然記念物指定。2006年(平成18年)より八代への再飛来を目指し、出水で保護されたナベヅルの移送事業が行われている
(参考:Wikipedia関連ページ、日本野鳥の会関連ページ、その他新聞記事等など)

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