MYSTIC RHYTHMS

Heavysphere  その一

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ヘヴィ・メタル、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、クラシック等について語らせていただきます  Profile

TRIUMPH:アライド・フォーセズ<メタル同盟>
RAINBOW:ロング・リヴ・ロックン・ロール<バビロンの城門(アーチ)>
IRON MAIDEN:ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビースト<魔力の刻印>
GUNS N' ROSES:ユーズ・ユア・イリュージョンII
DREAM THEATER:アウェイク
METALLICA:マスター・オブ・パペッツ<メタル・マスター>
CYNIC:フォーカス
ROYAL HUNT:ランド・オブ・ブロークン・ハーツ
FAIR WARNING:フェア・ウォーニング
CRYRTOPSY:ナン・ソ・ヴァイル
IN FLAMES:コロニー
FEAR FACTORY:ディマニュファクチュアー
WATCHTOWER:コントロール・アンド・レジスタンス
EMPEROR:アンセムズ・トゥ・ジ・ウェルキン・アット・ダスト
MESHUGGAH:デストロイ・イレイス・インプルーヴ
MEKONG DELTA:カレイドスコープ
CELTIC FROST:トゥ・メガ・セリオン
BRUCKNER:交響曲第9番
RUSH:シグナルズ
KING CRIMSON:レッド
PARADISE LOST:ドラコニアン・タイムズ
PINK FLOYD:アニマルズ
BEETHOVEN:交響曲第9番「合唱」
SLAYER:レイン・イン・ブラッド
RAGE:シークレット・イン・ア・ウィアード・ワールド
HELLOWEEN:キーパー・オブ・ザ・セヴン・キィズ<守護神伝> I & II
VARIOUS ARTISTS:ワーキング・マン(ラッシュ・トリビュート)
ARCH ENEMY:スティグマータ

§索引
§凡例
§ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い

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ALLIED FORCES/TRIUMPH '81
アライド・フォーセズ/トライアンフ 
order
アライド・フォーセズ/トライアンフ 親しみ易いメロディを主体にした、ヘヴィ且つドラマティックな音楽を聞かせてくれます。ハードネスに満ちた楽曲、明るくPOPな楽曲、そしてドラマティックな大曲とが、バランス良く配分された起伏に富む名盤です。
 このバンド、ギターと名の付く楽器、又ギターに似た楽器は何でも上手いVocal兼任のリック・エメットに注目が集まるのですが、個人的には、Drumのギル・ムーアに注目です。彼は非常に背が高く、当然手足も長く、その所為かとても空間的広がりを感じさせる、非常にスケールの大きなドラミングを聞かせてくれます。手足が長ければ、其れだけシンバル同士やタム同士の距離が離れ、音にも空間的広がりが生まれるのでは、と思うのですが、如何なんでしょう。ドラマーではないので良く解りませんが…。何れにしろ、数珠繋ぎにした沢山のタムを使うそのフレージングもスケールが大きく、又音もこの上なく重いです。上手なドラマーではありませんが、好きなドラマーの一人です。
 彼等トライアンフにしても、我が愛するラッシュにしろ、そしてブルータル・デスなクリプトプシーにしろ、加奈陀出身ヘヴィ系アーティストの作品には、欧州的ウェット感やプログレッシブ・ロック的インテリジェンスが漂いますね。勿論、お隣の亜米利加的オプティミズムや軽快感も根本には感じますが…。加奈陀が、「亜米利加大陸の欧羅巴」と言われるのも、彼等の作品を聴いていると、良く解ります。
 …"FIGHT THE GOOD FIGHT" "ORDINARY MAN"と大作の続く辺りは、この作品中最も感動的な場面です。

 '02 12/23

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔カナダの三人組 前向きな詞、良いですねぇ〕
*タム:正確には"TamTam" 通常バス・ドラム(一番デカイ太鼓ですね)の上に乗っている小さな太鼓。大小様々有り各人好みで組合わせる

LONG LIVE ROCK'N' ROLL/RAINBOW '78
ロング・リヴ・ロックン・ロール/レインボウ 
order
ロング・リヴ・ロックン・ロール/レインボウ 作品としての、トータルな出来から言うと、尋常ならざる緊張感に満ちた奇跡の1枚、前作「Rainbow Rising」が彼らの代表作だと思いますが、個人的にはこの作品が結構お気に入りです。アメリカで売れる事を狙った作品であるにもかかわらず、何か、重く湿った雰囲気が漂い、良いです。
 "Long Live Rock'n'Roll" "Lady of The Lake" "Gates of Babylon" "Rainbow Eyes"と、このアルバムはなかなか佳曲・名曲が多いのですが、白眉は何といっても"Kill The King"です。今となっては、取りたてて速い曲とは言えなくなってしまいましたが、当時はこの早さに驚きました。コージー・パウエルのツイン・バス・ドラムの力技連打、リッチー・ブラックモア大先生の早弾き…。画期的でした。ロニー・ジェイムス・ディオのヴォーカルもドラマティックで素晴らしいですし、取上げられる事は殆ど無いですが、ボブ・デイズリーの、キレと芯の有るベースも聞き所と言えます。ギター・ソロ導入部等、今聴いても、立毛筋が激しく反応…。スリリングな緊張感に溢れた名曲中の名曲です。
 …今は亡きCOZY POWELLの、ド迫力ドラムを堪能出来るアルバムです。彼より上手いドラマーは幾らも居ますが(と言っても彼も結構上手いですよ。音のキレや正確さなど基礎的な部分はなかなかのものです)、迫力、パワー、シンバル・ワークのキレと力強さ、そしてカッコ良さ、これらの点で彼を上回る人は、今も一人もいません。そう思います…。彼が今作や前作又Live等で聞かせてくれる、ツイン・バス・ドラムを多用した、パワフル且つタイトでスピード感の有るドラミングは、後々ヘヴィ・メタル・ドラムの基本形として受け継がれて行くことになります。彼のプレイは、小技豊富と言うタイプではなく、結構単調なフレーズの繰り返しが多いのですが、その一打一打、その一蹴り一蹴りの存在感が半端でなく、しかも、JEFF BECK GROUP等での、豊富なキャリアから生まれ出る、独特のグルーブ感と懐の深さが有る為、全体としての単調さなど無縁です。師匠(リッチー)が弾き捲くっているのに、思わず彼のドラム・プレイに惹き込まれてしまいます。この辺りが、彼より遥かに上手い後続ドラマー達が、今もって彼を超えることが出来ない所以なのかもしれません。彼とQUEENのロジャー・テイラーは、共に人気抜群でしたが、音楽的には余り評価されていないんですよね。確かに、イアン・ペイスやビル・ブラッフォードそしてニール・パートなんかと比べたら…まぁ、ね…。でも、カッチョイイんだから。其れに、上記、JEFF BECK GROUPの作品や、ソロ・アルバムでは、又RAINBOWやMSG等のハード・ヘヴィ系バンドとは一味違うドラミング、結構器用なプレイを聴かせてくれますので、興味の有る方は是非…。
 このアルバム、大好きなアルバムなのですが、難点は数曲(1・2・3・6曲目)でリッチーがベースを弾いている事です。諸事情あっての事なのでしょうが、本職の方に弾いて頂きたかった。出来れば全曲ボブ(デイズリー)に。矢張り本職の方とそうでない方とでは音が違います。その重さその深さ。出来れば本職の方にお任せしましょう。ねぇ、イングヴェイ。
 ジャケットのリッチーはベートーヴェンしています。

 '02 11/30

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔日本とドイツと本国イギリスでしか売れなかったバンドのようですが、メタルに対する影響力の大きさは、JUDAS PRIESTIRON MAIDENにもけして引けは取りません コージー official リッチー official ボブ official ロニー official
*JEFF BECK GROUP:通称「第2期」の2枚のアルバム('71/'72)で叩いていますBECKとそっくり
*イアン・ペイス:DEEP PURPLEのドラマー 「LIVE IN JAPAN('72)」聴いてください
*ビル・ブラッフォード:プログレ界のドラム・キング KING CRIMSONの「RED('74)」聴いてください
*ニール・パート:RUSHのドラマー 「MOVING PICTURES('81)」聴いてください
*ロジャー・テイラー:QUEENのドラマー 女性人気No.1 「A NIGHT AT THE OPERA('75)」聴いてください
*MSG:ザ・マイケル・シェンカー・グループ 迷える「神」マイケル・シェンカー(g)率いるバンド
*コージーのソロ・アルバム:「OVER THE TOP('79)」「TILT('81)」がお薦め "The Loner""Sunset"は名曲
*リッチーがベースを弾いている…:ボブ・デイズリーの公式サイトでは、彼がベースを弾いているのは、4・5・7曲目となっています。6曲目のベースは音も重くフレーズもボブっぽいのですが、彼独特のキレがなく、リッチーとボブどちらが弾いているのか迷ったのですが、公式サイトの記述を採用しました
*イングヴェイ:イングヴェイ・マルムスティーン スエーデン出身の名実ともにNo.1Rockギタリスト。何故か、ベースも弾きたがる

THE NUMBER OF THE BEAST/IRON MAIDEN '82
ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビースト/アイアン・メイデン 
order
ザ・ナンバー・オブ・ザ・ビースト/アイアン・メイデン HeavyMetalと言う音楽を語る上で、何より大きな存在は、BLACK SABBATHですが、其れに次ぐ存在としては何といっても、JUDAS PRIESTとこのIRON MAIDENです。'70代後半のパンク・ムーブメントの中で、古臭い音楽として、すっかり日陰の存在と化していたHR/HMを、劇的に世界の表舞台の主役にしてしまった、あのメタル・ムーブメントを牽引した代表的バンドです。そしてこのバンドは、「メイデン以前」「メイデン以降」と言う時代区分を、HR/HMの歴史の中に作ったのです。彼等が持っていた、スピード、攻撃性、複雑でめまぐるしい曲展開、そして起伏の無い独特の縦ノリ感等、明かに彼等以前のHR/HMが持っていたものとは質を異にするものでした。だから彼らが「IRON MAIDEN」「KILLERS」両アルバムを引っ提げてリスナーの前に現れたとき、オールドHR/HMファンの一部は、拒否反応を示したのです。パンキッシュな初代ヴォーカル(ポール・ディアノ)の風貌も一因だったかも…。HR/HMで短髪…、馴染めん…と。然も彼等(とジューダス・プリースト)が一般に広めた、「ヘヴィ・メタル」と言う、今では一般的に使われる言葉(名称)もオールド・ファンは毛嫌いし、「ヘヴィ・メタル」と言われると、「ハード・ロック!」と 向きになって訂正を求めたもので御座います。
 この作品は、そんな彼らがやや伝統的HR/HMのスタイルに近づき、オールド・ファンをも巻込んで大ブレイクしたメイデンの代表作(3rdアルバム)と言えるでしょう。ブルース・ディッキンソンという、稀代のヴォーカリストを得て、音楽大国アメリカを「侵略」した作品です。"RUN TO THE HILLS"と云う、ヨーロッパ人によるアメリカ大陸侵略を描いた、彼らの代表曲が収録されているのは、偶然による皮肉なのか、それとも狙いだったのか…。何れにしろ、メイデンとジューダス(とオジー・オズボーン)と言う大英帝国バンドがROCK帝国アメリカを「征服」する事により、メタルは当時最もトレンドな音楽となって、世界を覆い尽くしたのです(ちょっと大袈裟…)。歴史的名盤を聞いてみたい、メタルの流れを掴んでおきたい、とお思いなら絶対に押さえておいてください。このアルバムはそんな存在の作品です。
 この作品を含め、メイデンの初期作品群は、HR/HMの流れを大きく変えた作品群であると同時に、兎角地味な存在であるBassと云うパートが、実は非常なアグレッションを潜在させた存在である事を教えてくれた作品達でもあります。リーダーであるスティーヴ・ハリスの、高速連射砲の如きBassプレイが、後のプレイヤー達に与えた影響は多大であると云えます。
 ラスト・ナンバー"Hallowed Be Thy Name"をお聴き頂ければ、彼等が唯速くて喧しいだけのバンドではない事がお解り頂けると思います。
(タイトル・ナンバーは゛聖者の行進"When The Saint Go Marchin' In"のパロディですよね)

 '02 11/21

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔イギリス出身 「ヘヴィメタ」と聞いて思い浮かぶのはこのバンド、と言う方が一般的には多いのではないでしょうか。今も「METAL KING」として頑張っておられます。
因みに当アルバム、現行CDでは、7. Gangland、8.Total Eclips、という曲順ですが、リリース当時のアナログ盤(日本版LP)は、逆の曲順でした official
*BLACK SABBATH:メタルの元祖様
*JUDAS PRIEST:メタル・ゴッド様
*オジー・オズボーン:ミスター・ヘヴィ・メタル
*Total Eclips(トータル・エクリプス):シングル"RUN TO THE HILLS"のB面曲でオリジナル盤アルバム(アナログ)には収録が無い。日本盤アルバム(アナログ)には上記のように第7曲として収録されていた。私はこの盤で聴き捲くったためこの曲が7番目にないとしっくり来ない

'11 1/23追記:この作品で元気いっぱいのドラムを叩いているクライブ・バーは、現在「多発性硬化症」という中枢神経系の病気と闘病中で、バンドは彼のために基金を設立しサポートしている。
*多発性硬化症(multiple sclerosis):神経を包む髄鞘(ずいしょう)が障害を受ける(脱髄疾患)病気の一つ。視力、運動、感覚等種々の障害が起こる。原因不明だが自己免疫疾患(白血球やリンパ球が自身の細胞・組織(この場合神経系)に過剰反応し攻撃するようになって起こる疾患)説が有力。日本では難病指定を受けている。北米、北欧、オーストラリア南部等の高緯度地域に多くアジア、アフリカでは少ない。頻度に人種的・環境的な偏りがみられる。チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレはこの病により亡くなっている
(2013年3月、クライブは自宅にて永眠。享年56 R.I.P)

USE YOUR ILLUSION II/GUNS N' ROSES '91
ユーズ・ユア・イリュージョンII/ガンズ・アンド・ローゼズ 
order
ユーズ・ユア・イリュージョンU/ガンズ・アンド・ローゼズ 駄曲も有りますが、当時の彼らの勢いを、今も変らず聞く者に殴り掛るかの様にぶつけて来ます。「LED ZEPPELIN II」や「DEEP PURPLE IN ROCK」に近いものを感じます。
 このアルバム、「I」と「II」との2枚同時発売と言う形をとっており、前作からのインターバルが4年(ミニ・アルバムを'88に出してはいますが)も有った事も有ってか、全米ヒット・チャート1・2位独占という快挙を成し遂げています。2枚で全30曲。曲を絞って行けば、一枚となり、密度の濃〜い作品になったのでしょうが、彼らは敢えてそうはせず、目一杯詰込めるだけ詰込んでいます。前作の破格の大成功が生んだ、無数の可視・不可視のプレッシャーに追い詰められたぎりぎりの精神状態の中で、彼等にはそうする必要が有ったと言う事なのでしょうか…。
 「作った作品」ではなく「生まれて来てしまった作品」を、「しょうがないからCDにしました」的作品(誉めてるんですよ)。少し「大人」になった彼らが得た安定感と、無理矢理詰込んだ様な粗雑感が微妙にバランスして、不思議な存在感を醸しております。
 「ターミネイター2」でお馴染み"You Could Be Mine"収録。"Knockin' on Heaven's Door" "Don't Cry" 胸に染みます…。
 ジャケットは、ラファエロの「アテネの学堂」の部分。

 '02 11/17

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔U.S.A出身 前作"APPETITE FOR DESTRUCTION"を1000万枚以上売上げ、世界最大のモンスター・バンドとなった彼らですが、様々なプレッシャーからか徐々に崩壊し始め、今やW.Axl Rose一人になってしまい
ました official

◆●AWAKE/DREAM THEATER '94
アウェイク/ドリーム・シアター 
order
アウェイク/ドリーム・シアター プログレ・メタル或いはテクニカル系メタルのトップ・グループといえるでしょう。メタルに限らず、Rock界で最も「上手い」バンドの一つと云い切れます。ただ、「上手い」だけのバンドなら幾らもいますが、彼らがそうしたバンドを超えて、トップ・グループと言われる所以は、その曲或いは歌の素晴らしさがあるからです。兎角テクニカル系の場合は、演奏ばかりが耳に残り、歌が余り耳に残りません。しかし、彼らは歌を聞かせる術を心得ています。技術を披露するパートと歌を聞かせるパートをバランス良く分離させて見事です。勿論、優れたソングライティングの能力有ってこその事では有りますが…。
 そんな彼らの、此れは3rdアルバムです。前作「IMAGES AND WORDS」で大ブレイクし、且つその作品が余りにも素晴らしい内容であった為、兎角影の薄い作品ではありますが、僕は結構お気に入りです。前作よりは良くも悪くもヘヴィでダーク。ポップさも薄れています。でもその辺りがかえって、僕のツボには、はまります。"THE MIRROR" "LIE"等のヘヴィさは、そんじょそこらの「ヘヴィ」なバンドより余程ヘヴィです。確かな技術が有るだけに、凄みが有ります。ゾクゾクします。
 前述の前作「IMAGES AND WORDS」アルバムは、メタル・ファン、プログレ・ファン、そして一般的ロック・ファンをも巻き込む様な、ヘヴィ・クッセツ(屈折)・ポップの三要素が絶妙にバランスしていたのですが、今作は、ヘヴィ度、クッセツ度、特にクッセツ度が上昇しているので、メタル・ファン、一般的ロック・ファンには不評を買った様です。オープニング・ナンバー"6:00(シックス・オクロック)"のクッセツ変拍子イントロで、プログレ・ファンは目が輝き、他2者は「????」となったのかもしれません。
 気軽に聴く事は出来ないアルバムですが、一旦聴きだすと、はまります。精神的にもよりディープとなり、じっくりと鑑賞するに適した作品。各パートに集中して聴くも良し、メロディやリズムを追うも良し、歌詞世界に浸るも良し…と。

 '02 10/22

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔U.S.A出身 演奏陣全員が音楽院出身。確かな技術と理論に裏打ちされつつ親しみ易い楽曲 official

MASTER OF PUPPETS /METALLICA '86
マスター・オブ・パペッツ/メタリカ 
order
マスター・オブ・パペッツ/メタリカ この作品を聞いたのは、実はホンの数年前です。HELLOWEENのところにも書きましたが、80年代後半からは、ず〜っと70年代ハード&ヘヴィ系Rockにどっぷりと浸かっていたので、まったくスラッシュ・メタルのムーブメントを知りませんでした。が、ひょんな切っ掛けで(話すと長いので割愛します)、この作品とHELLOWEENを知るところとなりました。まー驚きました。速い・上手い・重いと、僕の好きな三要素が揃っているではありませんか。「此れこそ俺が求めていた音楽だ!!」と、其れ以来現代メタル・ミュージックにハマリ続けている訳です。そう言う味でも僕にとっては可也大きな存在の作品ですし、メジャー・レーベルと契約し、且つこの手の音楽としては異例の全米チャート29位(全英41位)を獲得し、彼らにとっても、アンダーグラウンドからの浮上の切っ掛けとなる重要な作品となった、名盤の誉れ高き3rdアルバム。
 スラッシュ・メタルと言う音楽を産出し確立させた、このMETALLICAにしても、彼等と関係の深いMEGADETHにしても、ただ速いだけではなく、幅広い音楽性の中から生まれてくる普遍性のようなものを持っているのが、聴いて頂ければお解りになると思います。異端と言われようと外道と言われようと(スラッシュ・メタルは当初、音楽ですらない等と言われておったそうな)、またどんなに奇を衒(てら)っていようと、このRock音楽としての普遍性を持っているアーティストは、必ず多くの支持を得る事になりますよね。その一つの証明のような作品かも(大袈裟か…)。
 …静かなイントロ…ガット・ギターが怪しげ…。この後、メタリカにもスラッシュ・メタルにも殆ど予備知識の無い僕は、ヴォリュームのデカさも有って、ホント〜に驚く訳です。デス・メタル耳となった現在では、とても普通ーな音楽に聞えてしまいますが…。
 捨て曲なし。メタル世界遺産に認定。

…本作品で激Bassを弾いているクリフ・バートンは、本作リリース僅か半年後の’86年9月27日、ヨーロッパ・ツアー中のバス横転事故で車外に放り出され、帰らぬ人となってしまいました。享年二十四(R.I.P)

 '02 10/15

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔U.S.A出身 今現在、スタジアムをイッパイに出来る唯一のHR/HMバンド(AC/DCもそうか?)。5thアルバム「METALLICA」は、世界で1千万枚以上売れてダイアモンド・ディスクを貰いました。因みにこの3rdアルバムは、米国だけで600万枚売れたそうな official
*MEGADETH:メガデス METALLICAの初期からのメンバーであったが、デヴュー・アルバムのレコーディング直前に解雇された、デイヴ・ムステインの造ったバンド。メタリカとは一味違った一寸シニカルで捻くれたナイスなメタル
*ガット・ギター:貿易と関税に関する一般協定で使われるギター… 動物の腸を紐状にしたもの(ガット)を弦に使用したギターのこと。所謂クラシック・ギター

FOCUS/CYNIC '93
フォーカス/シニック 
order
フォーカス/シニック テクニカル系メタルの傑作です。一言で云えば「アヴァンギャルド」。此れに尽きます。デス・メタルとフュージョンの融合と言えましょうか。ディストーション・ヴォイスに、モジュレーションを掛けたノーマル・ヴォイスと時折女声ヴォイスが絡み、耳を劈(つんざ)くようなデス・メタル的パートと、耳触りの心地よいフュージョン的パートが交錯します。後者の部分だけ聞くと、「フュージョンのアルバム?」と思ってしまいそうです。甘美でスリリング、獣的でファンタジック…。演奏技術は当然乍素晴らしいです。特にドラムのショーン・レイナート。フュージョン的センスとハード&ヘヴィな音の融合は、個人的に大好物。
 彼らとは、繋がりの深いDEATHにも通ずる、プログレッシブ・ロック的複雑な曲構成・展開、上記の如く高度な演奏力…。ただDEATHのようなダークなシリアス感は希薄で、音像としては透明感があり、深刻さもない。その辺やはり、フュージョン的。一寸無機的で乾いた爽やかさも感じられたりする。でも、デス・メタル風味なのですよ…。そこらあたりが、何とも前衛。唯一無二の個性。張詰めた緊張感と、ふわふわ脱力浮遊感…。実験を楽しんでいるかのような雰囲気が、伝わってきます。
 この作品で、ベーシストは、”スティック(チャップマン・スティック)”と言う楽器を使っています。文字どうりスティック状の楽器で、右利きの人で言えば、左手でベース、右手でギターを弾くと言う事が出来ます。詰り、張ってある10本の弦(12本弦も有る)の上半分がベース弦、下半分がギター弦という形になっていて、左手でベース弦を、右手でギター弦を、弾くというよりは「叩いて」音を出す(タッピング奏法と言います)楽器です。少々不思議な音色です…。作品中には、このスティック以外にも、メタル音楽では余り(或いは滅多に或いは先ず)使用される事のない楽器、シンセサイザー・ギターやシンセサイザー・ドラムも結構登場し、他には聴かれることのない、独自なにほいを醸しています。その辺りもまた、アヴァンギャルド。

 '02 10/14

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭
〔アメリカのバンド、と言うよりは一枚限りのプロジェクト、と言った方が良いのかな…?〕
*モジュレーション:本来は「変調」の意。電気的に音に変化を与える
*チャップマン・スティック:エメット・チャップマン氏考案の電気楽器。”スティック”は楽器名ではなく商品名。楽器名としては、タッチ・ギターとかタッピング楽器等と。価格は30万円程。某石橋楽器店(昔働いておりました)が輸入代理店
*DEATH:今は亡きチャック・シュルディナー(享年34R.I.P)率いるテクニカル系暴虐メタル・バンド。4thアルバムに、ポール・マスヴィダル(vo,g)とショーン・レイナート(ds)が参加している

LAND OF BROKEN HEARTS/ROYAL HUNT '93
ランド・オブ・ブロークン・ハーツ/ロイヤル・ハント 
order
ランド・オブ・ブロークン・ハーツ/ロイヤル・ハント 北欧的透明感と清浄感に満ちた、メロディアスで親しみ易いHard Rockです。このバンドの特徴は、何と言っても、その大きくフューチャーされたゴージャスなキィボード(シンセサイザー)。クラシックセンス溢れる美しい旋律と音質です。一般に、HR/HMの世界では、キィボードは完全に脇役若しくは隠し味的存在で、キィボードが全く使われていない等と言うのは極めて普通の事だったりします。例外的(と言っては失礼ですが)にキィボード(その多くはシンセサイザー)が主役と言えるほど、大々的にフューチャーされたバンドが存在します。Royal Huntはその代表的バンドと言えるかもしれません。
 初代Vocal(此れはデビュー・アルバム)の力量不足が少し哀しいですが、「西部戦線異常なし」にインスパイアされたと思しき"LAND OF BROKEN HEARTS"と、日本版ボーナス・トラックに収録された"STRANDED"は名曲です。

 '02 10/6

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭ 硬度:♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔デンマークの出身 某プロ・レスラー氏が彼らの曲をテーマ曲にしているので、ご存知の方も多いかと思います official

FAIR WARNING/FAIR WARNING '92
フェア・ウォーニング/フェア・ウォーニング 
order
フェア・ウォーニング/フェア・ウォーニング 下に紹介したバンドとは、正しく対極に在るような何とも親しみ易い音楽です。POP・メロディアス・明るい・泣かせる…。大衆にアピールする4拍子を全て備えています。”欧州的ボン・ジョヴィ”といえるかもしれません。「メタルは一寸ねぇ…」と仰る方には、自信を持ってお薦めできる極上のハード・ロックです。日本でしか彼等の作品が聴けないと言うのは何とも勿体無い…。詳細は解らないのですが、本国ドイツでは満足なサポートを受ける事が出来なかったようです(状況的にMR.BIGに似てますね。本国では無名に近いが、日本では超人気のアーティストを"Big in Japan"と言うそうです。IMPELLITTERIもそうですね)。
 特筆すべきは、ヴォーカルのTommy Heart(トミー・ハート)の力量の高さです。声量、音程、声の伸び、そして表現力。そのどれをとっても素晴らしい一級品。しかも、声質に華が有ります。是非ご一聴を。
 ネイティヴ・アメリカンに対する侵略をテーマにした"OUT ON THE RUN"は名曲。
 ”ソフト”なハード・ロック。女性ファン多し。

 '02 10/6

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭♭
〔リーダーは 知る人ぞ知るElectric Sunのベーシストだったウレ・リトゲン〕
*IMPELLITTERI:「光速ギタリスト」クリス・インペリテリ率いるメタル・バンド 結構良い音楽なんですが亜米利加のトレンドではないですね。勿体無い…。クリスのギターなんか絶品ですよ。ただ若干、古いかなぁ…。是非、本職プロデューサーを起用して下さい

NONE SO VILE/CRYPTOPSY '96
ナン・ソ・ヴァイル/クリプトプシィ 
order
ナン・ソ・ヴァイル/クリプトプシィ Chaos=混沌…。そんな言葉がぴったりです。リズムチェンジが激しく、ギターもベースもドラムも、其々非常に複雑なフレーズを、其れこそ重機関銃の様に猛スピードで弾き出しているので、一聴すると何が何やら全く掴み所がありません。しかも、ヴォーカルは低音のディストーションヴォイスとシャウトを交錯させて、歌詞カードを見ていても何を言っているのか全く解りません。しかし、演奏陣はジャズ・フュージョン界に出しても遜色の無い非常に高技術の持ち主なので、全く破綻が有りません。巧妙にコントロールされた狂気と轟音ノイズ、整合性の有る混沌です。デス・メタル音楽を聞き慣れていない方には、ただただ喧しいだけのものでしょうが、聞き慣れた人間には、只々頭を下げさせ「参りました」と言わせずにはおかない、高度な音楽性と演奏内容です。特にベース(エリク・ラングロワ)とドラム。ジャズ系の匂いを漂わせる動きと音数の矢鱈に多い演奏です。然も超ヘヴィー級。メタルと言う音楽は、先ず第一に音がパワフルでなければ話になりません。所が、力強い音を出そうと強く弾けば或いは強く叩けば、筋肉は硬直し早い動き細かい動きは出来なくなります。パワフルで且つ上手、と言うのはなかなか両立させる事の出来ないものです。しかし彼らは両立させています。素晴らしいの一言です。
 このバンド、はっきり言ってドラムがリード楽器です。ドラムで作曲しとるのではないかと思うほど(メイン・ソングライターはギタリスト(ジョン・レバサー))。ドラムが目立ち捲(まく)くり、叩き捲くり。重く、速く、手数・足数無限大。ジョン・ボーナムとコージー・パウエルのパワーに、イアン・ペイスのスピードと音数の多さを足し、ニール・パートのセンスを更に付加え。そらぁもースンゴイ。ちょっと荒っぽいですけどね(そこもちょっとニール・パート似)。
 一つ不満は、タムの音が少し聞取り難いところ。でも、音の分離をあんまり良くしちゃうと重さが消されちゃうのかな…。
 ヴォーカルのロード・ワーム氏。可也エキセントリックです。その咆哮のような歌唱スタイル。一般的には、まず「歌」とは認めてもらえないでしょうね…。ロード・ワーム氏は今作リリース後脱退し、ビール会社に就職(本人否定)。次作からは正統派デス・ヴォーカルの方に代わります。彼等の整合感の強いサウンドには、後任の方の方が合っていると思いますが、個人的には、このロード・ワーム氏のヴォーカルが一寸浮いてる感じがナイスなミス・マッチ。このえげつなさ、妙にハマリます。
 エリザベッタ・シラーニ描く”ヨハネの首を持つヘロディア”のジャケットも秀逸。マニア心を擽(くすぐ)る、陰影に富んだ逸品。

 '02 9/26

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭
重度:♭♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭♭ 旋律度:♭ ポップ度:♭
〔カナダ出身 ドラムのフロ・モーニエは本当に凄い。見た目はふつーのオニイサンなんですが official
*ジョン・ボーナム:LED ZEPPELINのドラマー コージー・パウエル:RAINBOW他のドラマー 二人ともパワフル・ドラマーの教祖的存在で、若き日にはその余りの音のデカサに「あの二人には叩かせるな」とクラブのオーナー達に嫌われたという逸話も漏れ聞く。共に故人(R.I.P)
*イアン・ペイス:DEEP PURPLEのドラマー 蝶の様に舞い蜂の様に刺す華麗なドラミング
*二ール・パート:RUSHのドラマー 哲学する理屈派ドラマー
*タム:通常バス・ドラムの上に乗っている小さな太鼓。大小各種有り個人の好みで組み合わせる
*ヘロディア:古代パレスチナの王ヘロデの奥さん。サロメのお母さん。描いたエリザベッタ・シラーニ(Elisabetta Sirani 1638-1665)はヨハネス・フェルメール(1632-1675)と同時代(バロック期)のイタリアの画家
追記:ロード・ワーム氏復帰したらしいです('04 1/26)
追記:'05年「ONCE WAS NOT」アルバムでロード・ワーム氏ヴォーカル復活!作品は音の分離が良く(彼らにしては)少し聴き易いものに仕上がっています。唯其の分軽くなった感は否めませんが。中心メンバーの一人であったジョン・レバサー氏(g)が去ったのは残念ですが、高度な演奏力、複雑度には基本的に変わりはありません('05 4/16)

COLONY/IN FLAMES '99
コロニィ/イン・フレイムス 
order
コロニィ/イン・フレイムス 本来、反社会的で、「良識有る人々」の眉を顰めさせる事にある種喜びを見出していたHeavyMetalという音楽も、何時しか角が取れて、多くの人に受け入れられる、親しみ易いものへと変化していきました。メタルが音楽世界のトレンドとなっていた’80年代です。が、そんな流れへのアンチ・テーゼの様に、メロディを抹殺した、文字通り、聞く者を打ちのめすかのごとき暴虐的メタル、スラッシュ・メタルが生まれました。’80年代も半ばから後半に掛けての事です。しかし、「こんなもの、音楽ですらない」とまで言われたそのスラッシュも、やがてヒットチャートの上位にランクされる程、人々に受け入れられる様になりました。そして、又似たような事が繰り返され、今度は、より暴虐、より無慈悲、よりダークなメタルが誕生しました。デス・メタルです。是に比べたらスラッシュ・メタルは親しみ易いカーペンターズの様…。しかし地下世界に、深くそして広く蔓延して行く、この醜悪な音楽に対して、やがて、美しく親しみ易いメロディを大胆に摂り入れた、メロディック・デス・メタルと呼ばれる音楽が生まれてきました(本当に、似た様な事の繰り返しですね、何事も)。曲展開・メロディ・ドラマ性等は伝統的メタルのスタイルを踏襲しつつも、音はゴリゴリ。ヴォーカルは地獄の悶絶デス・ヴォイス。特に欧羅巴やニッポンで高人気のジャンルとなりました。’90年代半ば頃のお話です…。
 この様に誕生したメロディック・デス・メタル(略して「メロ・デス」)ですが、何故か北欧の国々に良いバンドが多いです。本来北欧のメタル・バンドには、「北欧メタル」と言う言葉があるくらい、一種独特の、共通した雰囲気が有りました。美しく透明感が有り、暗いのだけれど決して重苦しく深刻にはならない。そんな感じです。そうしたセンス・土壌が、このメロディック・デス・メタルには、良く合うのかもしれません。
 このIn Flamesは、数あるそうしたメロ・デスバンドの最高峰です。デス臭の強かった初期作品に比べると、曲そのものは、最早普通のメタルと言えるかもしれませんが、ヴォーカル・スタイルと音そのものは、デス・メタルです。伝統的で聞き慣れた要素(メロディアス ドラマの構築)と、その伝統を否定した耳馴染みの無い要素(ノーメロディ、ドラマの破壊)と言う、相反する要素のマッチングが絶妙です。哀愁と慟哭とカッチョ良さ充満の4thアルバム(後半が一寸弱いかな…)。
 デス・メタルに否定的な方にもお薦め出来る内容です。どころか、一般的ロック・ファン(メタル・ファン以外と言う意味です)の方々にも自信を持ってお薦めできる、驚くほどに聴き易いメタル。音は轟音ですが、メロディが美しく、メタルに有り勝ちな技巧至上主義的に、「解る人だけ聴いて下さい」的なものも無く、非常に素直にメタルの持つ魅力に浸れると思います。
 「デス・メタルねぇ...一寸入り難いな...」とお思いの貴方。メロ・デスは如何? 僕はこのメロディック・デスから デス・メタルの世界に入りました。

 '02 9/20

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔スエーデン出身 中心人物イエスパー・ストロムブラードは他バンドに作品を提供したりなど、天才ソング・ライターと呼ばれております  official

DEMANUFACTURE/FEAR FACTORY '95
ディマニュファクチュアー/フィア・ファクトリー 
order
ディマニュファクチュアー/フィア・ファクトリー メタルとは言っても、伝統的流れでは捉えられないスタイル。サンプリングを多用し、メタルの一象徴であるギターソロも皆無。近未来SF的インダストリアル(工業的)・メタル。非常に無機的・機械的、とは言っても伝統的ドラマ性、叙情性も仄かに香ります。…ギザギザのナイフで空間を切り刻むような7弦ギターのマシンのようなリフ、キングタイガー(戦車(古いか))のようなツインバスドラムの連打、ディストーション・ヴォイスとノーマル・ヴォイスとの交錯、低音域をズッシリと満たすベース…。物凄い突進力です。圧倒的質量の鈍く光る金属の立方体が、高速で且つ正確に四方から攻寄せて来るかのようです。
 ややもすると、デス・メタルも含めた伝統的流れを底辺に持つスタイルに馴れたメタル耳には、少々単調に聞こえかねないこうしたスタイルで、飽きさせない作曲・アレンジ力はなかなかです。
 モダンな新興スタイルのメタルってどんなだろう、と若し興味をお持ちならば、抑えておくべき逸品であると思います。

 バンドは、メンバー間の確執で解散してしまいました。(追記:のち再結成)

 '02 9/9

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭
〔LA出身の4人組 正に「恐怖工場」。恐怖と言っても近未来の非人間的社会の恐怖 official
*サンプリング:音声や他楽器・レコード・CDの音などを録音してそれをシンセサイザーの鍵盤に割り当ててシンセサイザーの音源として使用すること

CONTROL AND RESISTANCE/WATCHTOWER '89
コントロール・アンド・レジスタンス/ウォッチ・タワー 
order
コントロール・アンド・レジスタンス/ウォッチ・タワー テクニカル系アーティストの、変拍子多用・複雑な曲構成、と言うスタイルには表現の為の一手段と言う側面と、高度な演奏能力のアピールと言う側面とが有ると思いますが、一般的には前者と後者の比は6:4位の気がします。しかし、このWATCHTAOWERはそうでは有りません。その比は1:9、いや0:10(そんなの無い)とも言えるかもしれません。此れでもか此れでもかと無理矢理にハイレヴェルな技術を詰め込んでいます。正に全員がリード楽器プレイヤー。ここまで徹底されると、あざとさを通り越して微笑ましくも有ります。今一つ洗練されていない所も親しみを感じさせます。少々荒っぽいところがメタルらしくって○
 一言で言えば、「面白い」(と言っては失礼ですが)作品です。ジャズ・フュージョン系紆余曲折メタルとでも言えましょうか。ノリでは聴けない、注意力を求められる内容。でもその注意力には申し分なく応えてくれます。CYNICMEKONG DELTA辺りが好きならハマリます。

 '02 9/8

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭ ポップ度:♭
〔テキサス出身 知る人ぞ知る伝説のバンド。複雑系好きは必聴〕

ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK/EMPEROR '97
アンセムズ・トゥ・ジ・ウェルキン・アット・ダスク/エンペラー 
order
アンセムズ・トゥ・ジ・ウェルキン・アット・ダスク/エンペラー ”ブラック・メタル”です。メタルと言う音楽は、思想性とは縁の薄い音楽なのですが、このジャンルは確固たる思想、「アンチ・キリスト(クリスチャン)」と言う思想を共通に持っている様です。中にはホンマモンのサタニスト(悪魔崇拝主義者)も居るらしいです。このバンドの中心人物サモスも、教会放火の件で投獄され、そのサモスの出獄を待って制作されたのがこの作品です。
 暗黒と暴虐が、荘厳と耽美の衣を纏い、蒼ざめた馬に跨って音速で突撃する…。と言った感じのサウンドです(どんなサウンドや)。厳粛な気持ちにさえさせるようなストリングスやシンセサイザーの使い方等、ボーカル・リードギター・キィボード・作詞・作曲・アレンジをこなす音楽的中心人物イーサーンの、アーティストとしてのセンスの良さを感じさせます。
 全体に非常に音質が悪く、演奏の細部が聴き取り難いのですが、それが必ずしもマイナスとして働いていないのは、初期BLACK SABBATHの作品と同じで、不透明な音が何やら怪しげでヤバっぽく、良い雰囲気を醸しております。音の分離の悪さが、魑魅魍魎が一塊になって襲い掛かって来るかの如き、恐ろしげで迫力万点な音塊を産出しております。
 兎に角、禍禍(まがまが)しくも美しい、と言った印象。Black Metalは、メタル・ファンの間においても その暗黒の思想や殺人・放火等のスキャンダラスな話題、また異様な白塗りメイク(死者のイメージらしい)の所為もあってか、兎角異端視され勝ち、敬遠されがちの様ですが(斯く言う私も少しそんなところ有りました)、少なくもこの作品は作品として素晴らしい。小さい音で聴いてもギターとドラムの体感音圧が凄い(タリム君のドラム、凄いです)。気合い入り捲くりの2ndアルバム。
 激烈なれど儚く美しく、メタルの名盤の一つと言えます。
 …"The Emperor is Dead" '01惜しまれつつ解散。暫らく前に読んだインタビューで サモスとイーサーンの音楽的距離や精神的距離が広がっているように感じたので、是は一寸…と思っていたのですが…。

 '02 8/14

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭
〔ノルウェー出身 名実共にブラック・メタル界の最高峰。カリスマ的存在 official
*アンチ・キリスト(クリスチャン) サタニズム:現在では、ブラック・メタルも音楽の一スタイルとして定着し、必ずしも皆が皆こうした思想を持っているとは限らないらしい(白塗りメイクもしている方が少ないらしい)

DESTROY ERASE IMPROVE/MESHUGGAH '95
デストロイ・イレイス・インプルーヴ/メシュガー 
order
デストロイ・イレイス・インプルーヴ/メシュガー 再び「テクニカル・プログレ・スラッシュ」です。下のMEKONG DELTAよりも、更に変拍子多用の複雑系暴虐音楽。ただ、此方の方は可也無機的で無慈悲な雰囲気を持っています。触れば手が切れそうなほどの金属的整合感(次作等もっとそう)。勿論、其れは非常に高度な演奏能力有ってこそのものです。中心人物のフレドリック・トーデンダルのジャズ・フュージョン的センスを持つギタープレイ(一寸アラン・ホールズワースを髣髴とさせる浮遊感あるプレイ)など、音楽的幅の広さも感じさせます。
 此れでもかの激しさと、冷淡なインテリジェントの同居した作品。曲構成も激しさと静寂さの同居したモザイク的作りが見事。
 こうしたタイプのメタル、大まかですが、線が細くなりがち。でもこのメシュガーは、8弦ギター(この当時は7弦かもしれません)の弾き出すリフといい、可也な高技術ドラムの産む複雑なビートといい、それらを繋ぐキレのいいベースといい、なかなかに重い。ヴォーカルもデス・ヴォイス一歩手前で若干線の細さは感じますが、これ又なかなかに無骨ヴォイス。他には一寸思い浮かばない、個性派変態メタル集団(誉め言葉です)。

 '02 7/26

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭ ポップ度:♭
〔スウェーデン出身 「MESHUGGAH」とはイディッシュ語で「Crazy」と言う意味だそうです  official
*イディッシュ語:Yiddish 中・東欧系ユダヤの人々の使うドイツ語から派生した言語。ユヤの人々が流浪先の現地語を元に独自に作り上げた言語の一つ
*アラン・ホールズワース:プログレッシブ・ロックやジャズ・フュージョン系ロックで主に仕事する英吉利出身ギタリスト。多くのプロ・ギタリストの尊崇を集める高技術の持ち主(私はU.K.でのプレイしか知りませんが...)

KALEIDOSCOPE/MEKONG DELTA '92
カレイドスコープ/メコン・デルタ 
order
カレイドスコープ/メコン・デルタ 「テクニカル・プログレ・スラッシュ」とでも云えましょうか。変拍子多用の屈折系激烈音楽です。グループ名からも解る通り、少々知的で社会派です。ベーシスト兼ソング・ライター兼プロディサーであるRalph Hubertが中心となって、生み出すその音楽は、ダークでヘヴィでテクニカル。ジャズやクラシック等の要素を取り込みなかなかにアバンギャルド。文句の付けようが無くよいです。特にドラマー(Peter Haas)が上手いですね。唯ヴォーカルが…。下手ではないのですが、明るく元気な声なので、馴染みません。こうしたプログレ系音楽には、演奏に埋もれ難いように、ハイトーン・ヴォーカルが確かに良く合うのですが、明るく元気で爽やかな声は、残念乍合いません。華は有るのですが…。
 直球メタルばかりでは飽きたなぁ、等と仰る方にはもってこいの変化球主体の曲者メタル。但し、結構剛球です。

 "SPHERE ECLIPSE"の冒頭部分は、プログレファンにはお馴染みのフレーズ。

 '02 7/18

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭
〔ドイツのバンド ムソルグスキーやハチャトリアンの作品にも挑戦〕

TO MEGA THERION/CELTIC FROST '85
トゥ・メガ・セリオン/セルティック・フロスト 
order
トゥ・メガ・セリオン/セルティック・フロスト 凄い作品です。内容的にも、荒削り乍凄みと気合の目イッパイ詰った、荘厳且つアグレッシブな、これぞ「サタニック・メタル」といったものになっていますが、アルバム・ジャケットがこれまた凄いです。H.R.Giger描くところの"SATAN I" 如何にも「悪魔っ」といった感じの人物(?)が、斜に構えて見る者をパチンコで狙っているのですが、よ〜く視るとそのパチンコは、あの丘の上で磔になった超有名な人物の姿。棘の冠に長い髯、両腕をYの字に広げたあの有名な姿…。「やるな御主…」という感じです。ヨーロッパ辺りでこう言う事をするというのは、日本でいうと如何いう事をするにあたるのでしょうか。宗教的背景が大分違うので、一寸イメージし難いですが、一部では喝采モノだったでしょう。
 オーケストラや女声ヴォーカルを点景に、何やら怪しげで暗っぽい絵巻を描いております。唯、後のEMPEROR程のシリアス感は無く、何処か一寸稚拙な感じが親しみ易い(こう言った音楽にこう言った表現は変?)。
 バンドはこの後、迷走期を経て解散してしまいますが(のち再結成)、デスやブラックなどの過激系メタルに多大な影響を残したと言われています。

 存在感を持った作品と言うのは、そのアーティストでなければ生みだし得ない何者かを持った「良い」作品であると思いますが、そう言う意味で言えば、此れは間違いなく、「良い」作品です。

 なお、写真はリマスター盤で、ジャケット・デザインがオリジナルと若干異なりますが絵そのものは同じです。
 このリマスター盤は、'86リリースのシングル「TRAGIC SERENADES」の三曲が2・3・11曲目に収められています。2・3曲目はオリジナル盤に収録された同曲のリミックス・ヴァージョン、11曲目はファースト・アルバム収録曲のスタジオ・ジャム・ヴァージョンです。当三曲のメンバーは、ギター&ヴォーカルのトム・ガブリエル・ウォリアー及びドラムのリード・セント・マークはオリジナル盤と変わりませんが、ベースはドミニク・シュタイナーから、オリジナル・メンバーのマーティン・エリック・アイン(前身バンドのHELLHAMMERから参加)に代わっています。

 '02 7/5

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭
〔スイスの3人組(スイス政府観光局公式HPの「スイスの音楽」ページで、「そのジャンルを革新したアーティスト」として言及されている) グループ名は直訳すると「ケルトの霜」。如何云う意味合なのか解りませんが、良い名前です。因みに「メガ・セリオン」は「大いなる獣」 official

Symphonie Nr.9 d-moll/ANTON BRUCKNER
交響曲第9番 ニ短調 (原典版)/アントン・ブルックナー 
order
BRUCKNER 交響曲第9番(カラヤン) ブルックナー交響曲第9番(ヴァント)
 荘厳・壮大・Heavy、でもけして深刻にはならない一種軽やかな雰囲気は、この人の持ち味なんでしょうか。現在(2002年6月)のところ、他の作品を知らないので良く解りませんが、妙にあっさりとした透明感を感じます。メタルで言えば北欧系の作品の様です。
 この作品は、ブルックナーの最期の作品。第四楽章は未完成のまま。死の当日(1896年10月11日)も、作曲に取り組んでいたとか。本人は、1894年、ウィーン大学での講義において、若しこの曲を演奏する場合は、彼の交響楽付き合唱曲「テ・デウム」を第三楽章の後に演奏する様にと望みを語っていたそうで、彼の死後1903年、この交響曲初演時(ウィーン)、「テ・デウム」は三楽章演奏後に、遺志に沿い演奏されたそうです。ただ、この「テ・デウム」第四楽章代替に関しては、最後までブルックナー自身が講義での発言通りに望んでいたかどうかは定かでなく、研究者、演奏家の間では様々な解釈、考えがあり、実際の演奏も、三楽章のみで行われるパターンと、初演時同様、第三楽章終了後「テ・デウム」を演奏するパターンとあるようです(第三楽章の後続けて演奏される場合と休憩を挟み演奏される場合とあるとか)。
 尚、初演時の演奏は、弟子である指揮者フェルディナンド・レーヴェによる改訂を受けたもので、原典に沿った演奏は30年の後まで待たなくてはならなかったそうです。
 しかし、この透明な冷涼感…暑い時には涼しくてピッタリきます。

追記:後々他の交響曲や宗教曲を聴きました。彼の作品は基本、神への祈り(敬虔なカトリック教徒であった)や自然への畏敬の念といった人間を超越した存在への想いから産まれたものなので、人間味や人間臭さといったものとは無縁。おそらくその辺りから、冒頭のような印象が生じたのでしょう。 '12 2

 '02 6/10

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔墺太利の人。オルガン奏者としても有名。取り上げたアルバムは、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による、'75年9月13日-16日ベルリン、フィルハーモニーでの録音盤です(左画像)。右画像は、ギュンター・ヴァント指揮、同じくベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による'98年9月18・20日ベルリン、フィルハーモニーでのLive録音盤。やや人工的な感もするが華あるカラヤン、厳しく渋いヴァント〕
*北欧メタル:日本だけの分類でしょうが、主にスウェーデン、ノルウェー、フィンランド及びデンマーク産のメタルをカテゴライズしたもの。これら地域のメタルには、重苦しくはならない暗さ、ひんやりとした透明感、など一種独特の雰囲気或いは「にほい」があり、それが日本人が持つ北欧のイメージ、白夜、針葉樹の森、冷涼な湖水、神話...などなどのイメージ、それと妙にマッチする為、生み出されたのであろうと思われる。こう呼ばれるバンドは多数ありますが、代表はなんと言ってもヨーロッパ
*テ・デウム:古い聖歌。多くの作曲家が取上げている。彼の「第9交響曲」の最期に合唱曲を、との希望は、ベートーヴェンの「第九交響曲」への敬意の表れであるとも。因みにこの曲、ブルックナーに生前唯一印税を齎したものだそうな

★●SIGNALS/RUSH '82
シグナルズ/ラッシュ 
order
シグナルズ/ラッシュ 20年近く聞き続けている作品。彼らの作品は、詞も演奏も非常に密度が高いので、聞く度に新たな発見が有って厭きません。
 この作品は、全体にふわふわとした音像で、妙に現実感が有りません。しかし、詠われている内容はシビアです。管理社会・管理都市の中で疎外されて行く人間…、平和の薄皮の下に潜む戦争の恐怖…、色褪せて行く夢と対峙しなければならない者…、一見華やかなテクノロジーと人間との乖離…、等々。まぁ、基本的には理屈っぽい音楽なのですが、それを非常に親しみやすいメロディで包んでいるのが彼らの非凡な特徴です。また、テクニカルな彼らが、最もテクニカルであった時期にもあたり、その辺りも聞き所です。
 壮大な時空間をイメージさせるような音も印象的なシンセサイザー…、大技小技を連発しつつも重いドラム…、時に縦横に駆回る心地よく歪(ひず)んだベース…、空間を構築しつつ全体を包み込むギター…、シャウトを抑えたヴォーカル…。小難しくも聴き易い、深くはあるが解り易い、言ってみれば「シンプルなプログレ」。音の創り出す「世界」を味わってください。
(彼らは非常な野球好きで、このアルバムの各メンバーのパーソネルには守備のポジションが書いてあります。ゲディ・リー(vo.b.key)はピッチャー、アレックス・ライフソン(g)はファースト、二ール・パート(ds)はサード、プロデューサーのテリー・ブラウンはレフトです。裏ジャケットには元巨人のウォーレン・クロマティ氏の名もあります。(因みに彼はドラムを叩いてアルバムも出しております))

 '02 6/2

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お気に入り度:♭♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔カナダ出身の3人組 デビュー30年の大ベテラン。アメリカでは何枚もプラチナ・ディスクを貰っていますが、日本では未だマイナーです。わたくしの最も敬愛するアーティスト(興味の有る方は此方を) official

RED/KING CRIMSON '74
レッド/キング・クリムゾン 
order
レッド/キング・クリムゾン眩いばかリの日没の日
黄金の煌(きらめ)きが私の目を射抜く
しかし瞳を閉じて心の内側を覗けば
そこは
星ひとつなく 神聖な闇が広がっている…  (訳 中川五郎)

 "STARLESS"の一節です。粗アルバム全編、重く、ダークで、美しいのですが、やはりハイライトはこの曲でしょう。もの悲しいメロディに、ジョン・ウエットンの深い声が見事にハマッテいます。この当時のクリムゾンは、高度な演奏力が特徴なのですが、それにしても、後半部分の鬼気迫るインプロヴィゼーションのバトル、お見事です。
 ’69年、「21st CENTURY SCHIZOID MAN」のアバンギャルドな叫びと共に生まれ出で、激しいメンバー・チェンジを繰り返しつつ、常に変化し続けて来た5年。ピート・シンフィールドと言う稀代の詩人と共に歩んだ初期作品の、ファンタジックな美を湛えたアルバムも、ジョン・ウエットン(b)、ビル・ブラッフォード(ds)と言う職人リズム隊と組んだ、硬質なヘヴィネスを湛えた後期作品も、同時代のYESやPINK FLOYDまたEMERSON,LAKE&PALMER等と共に、ロック・ミュージックの持つ芸術性を、目一杯引き出した存在、「プログレッシブ・ロック」と言う雄大で美しい恐竜を産み育てた存在と言えると思いますが、バンドの中核である、ロバート・フリップ(g)は、燃え尽きたのかやり尽したのかはたまた厭(あ)きたのか、このアルバム発表直前、バンドを解散させてしまいます(’81年、復活しますが...)。
 デビュー以来培われてきた。その全てのものが収斂されて出来あがった(或いは残った)「核」。僕にとってはそうした作品です。

 '02 5/23

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭
〔’69年、ビートルズの「アビー・ロード」をヒット・チャート1位から蹴落としてデビュー。常に変化し続けてき た真のプログレバンド U.K.出身 official
*インプロヴィゼーション:即興演奏 アドリブ

DRACONIAN TIMES/PARADISE LOST '95
ドラコニアン・タイムズ/パラダイス・ロスト 
order
ドラコニアン・タイムズ/パラダイス・ロスト 一般には余り知られていないでしょうが、”ゴシック・メタル”の名作。一言で言えばメランコリック。人生の「重さ」を感じさせるサウンドです。そして、美しく哀しい…。でもMetalらしいノリもしっかり持っている非常にバランスの良くとれた作品。Vocalははっきり言って下手ですが、その存在感は抜群です。とてもメロディアスで聴き易い側面もあり、Metalの苦手な人にもお薦めできる内容です。唯、暗いのが苦手、と言う方には、余りお薦め出来ないかもしれませんが…。
 彼等は、音楽のスタイルの変遷が比較的大きいバンドの様で、初期の頃はコテコテのデス・メタル、そして最近は、大分メタル離れしたサウンドの様です(未聴なので雑誌による知識です)。彼等は、この作品辺りの、所謂ゴシック・スタイルの頃人気が高まった為、その後のスタイルの変化は日本のファンには受け入れられず、国内版はこの作品を含め殆どが廃盤とのこと。でも、外国ではまだ生産されています。どうも、日本のレコード会社は、人気は今一つだが内容的には素晴らしい、と言った作品を辛抱強く売り続ける、信念が希薄のような気がします。当然企業ですから、売らねばならず、トレンドの売れ線をメインにするのは当然ですが、優れた音楽作品を世に送ると言った、使命感が乏しい。この作品に限らず、「何故にこんな良い作品が輸入版しかないの…?」と言う事が多々有る(BLACK SABBATHの「HEADLESS CROSS」とかCYNICの「FOCUS」とか…)。残念です。まぁ、レコード会社だけの問題ではないのでしょうが…。この作品くらいは残しておいて欲しいな…。メタル文化が育たんぞ(育たんでも良いか別に…世間的には…)。
 アート・ワークの美しさも含め、メタルの名盤と言えるでしょう。妖しげで、英吉利らしい重厚で深み有る音に、ウェットな抒情を湛え、且デス・メタル的アグレッションも適度に残しと…。メタル知らずの方を、メタル地獄に引き擦り込むには恰好の一枚かも(特に女性の方)。

 '02 5/19

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔今では珍しいイギリス出身のメタルバンド ”ゴシック・メタル”の元祖的存在 official
*ゴシック・メタル:暗鬱で耽美的雰囲気を強く持ったメタルの一スタイル。テンポはミドル或いは遅めで、メ ロディは飽くまで物悲しい。本来ダークなヘヴィ・メタルの中でも最もダークな雰囲気を持つ。ピアノ、ストリングス、女声ヴォーカル(女性がメイン・ヴォーカルである場合も多い)等をフューチャーする事が多い。この「DRACONIAN TIMES」でも、オープニングの雨音のようなピアノが非常に印象的。因みに、「ゴシック」とは、彼らPARADAISE LOSTの2ndアルバムのタイトル「Gothic」に由来すると一般にはされている

ANIMALS/PINK FLOYD '77
アニマルズ/ピンク・フロイド 
order
アニマルズ/ピンク・フロイド 重いです。"DOGS"気が滅入ります…。聞く者を突き放す重さですね、詞もサウンドも。"DOGS"は17分07秒、全体としては41分48秒、この間ヘヴィな詞とサウンドを聞く者に突きつけ、残酷な現実と向き合うことを強要してきます。この作品に救いを求めてはいけません。落ち込みたいときに聞きましょう。
 このアルバム、有機的・曲線的な、又幻想的・神秘的と形容される彼らの作品群の中においては、少し異質な、最も「フロイドらしくない」と言われる雰囲気、ストレートで攻撃的で、只ひたすらにダークでヘヴィな雰囲気を持ち、フロイド・ファンの間でも好みの分れる作品かもしれません。
 「ANIMALS」のタイトルの示す様に、作品の中で人間を3種の動物に擬して表しています。DOGS=飼い馴らされたエリート、PIGS=利害が全ての資本家、SHEEP=平穏を求めるのみの一般市民(「ピンク・フロイド全曲解説」によると、"Pigs"は「何もかも分かっている積もりで、他人に指図する権利を持っている積もりになっている者」と、作詞者ロジャー・ウォータース(b・vo)は捉えているとあります。また、同書によれば、SHEEPは、「支配層を豚・犬と定義すれば、我々一般大衆は、自分等が置かれている仕組みを考える事も無く、墓場への道を歩む羊なのだ」とロジャーは定義しているとあります)。陳腐といえば確かに陳腐な例えで、使い古された手法ではあるかもしれませんが、ロジャーの手に掛かってそんなことは気にならない。十二分に鋭く、皮肉たっぷり辛辣に、此方を攻撃してきます。パンク全盛期にあってパンク・ミュージシャン達に最も目の敵にされた彼らですが、パンクスに負けず劣らずの、破壊力ですよ。
 救いを求めたらガックリ来ます。

 '02 5/15

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔イギリスのプログレバンド。゛Pink Floyd゛のPinkもFloydも共にブルースのミュージシャンの名前から頂いたそうです(ピンク・アンダーソンとフロイド・カウンシル)  official
*ピンク・フロイド全曲解説:アンディ・マベット 著・山崎智之 訳・シンコー・ミュージック刊 '95

Symphonie Nr.9 d-moll op.125/LUDWIG VAN BEETHOVEN
交響曲第九番/ルードヴィヒ・フォン・ベートーヴェン 
order
交響曲第九番/ルードヴィヒ・フォン・ベートーヴェン ベートーヴェン交響曲第9番(フルトヴェングラー)
 可也Heavyですね。第1・第2楽章など殆どHeavyMetalとして聞けます。クラシック好きの人には怒られるかもしれませんが、僕はそんな風に聞いてしまいます。因みに、CDの最大収録時間≒75分は、一説によると、この曲の長さに合わせて決められたとか。
 日本では、何故か年末になると「第九」ですね。これまた一説によると、越年に困るお金のない楽団員救済の為、参加人数が多く、且お客さんが確実に入る演目であった為、年末に某有名オーケストラが公演してい たのが切っ掛けとなったとか…。
 この、ベートーヴェンと言うか人類の記念碑的傑作とも称せられることも多い「第九」、実はもともと別個に構想されていた二つの交響曲が合体したものなのです。一つは「交響曲第9番」として英吉利のとある音楽協会からの依頼を受け本格的に作曲が進められました。全て器楽のみによる謂わば「普通」の作品。もう一つの「交響曲第10番」(仮に「独逸交響曲」と命名されていたらしい)は、最終楽章を合唱で締め括る形で構想。だったのですが、何故かは不明ながら二つを別個に創り上げることを断念し、大分と迷った挙句に第10番のアイデアを9番に持ち込み、「交響曲第9番」として依頼主に提出、と相成りました。因みに元来の「交響曲第9番」の第4楽章は、後、彼の弦楽四重奏曲の最高傑作とも目される、「弦楽四重奏曲第15番」の第5楽章に転用されました。
 上記の様な経緯で誕生した声楽付き交響曲、初演は1824年(ケルントナートーア劇場(ウィーン))。交響曲に声楽を加える事は、それまでも皆無ではなかったらしいですが、可也画期的な事だった様です。そしてその声楽で歌われる詩は、1785年フリードリヒ・シラー作の「歓喜に寄す」。この詩に感動したルードヴィヒ、曲を付けることを大分早い時期から考えていたそうです。一寸時間かかっちゃいましたね…。
 (この作品は声楽付きの「交響曲」で、合唱曲ではありません。第1から第3楽章までは楽器のみの普通の交響曲で、第4楽章のみ合唱(と独唱)が登場します。意外と第九は合唱曲と思って居る方が多いらしい)
 メタル版「第九」、RAINBOWの"DIFFICULT TO CURE(Beethoven's Ninth)"も、機会が有ったら是非聴いてみてください。第4楽章「歓喜の歌」を歌無しで、忠実に、とは言えませんがカヴァーしています。liveではオーケストラ(と言っても弦のみ)との共演もし、ニッポン武道館で我々を歓喜の渦に巻き込んでくれたものです…(リッチー・ブラックモアがDEEP PURPLE再結成参加のためレインボーのラスト・ライヴとなりました。弦の音が聞えて来たとき、オーケストラが現れたとき、武道館全体がどよめきました)。カッチョヨイです。唯、クラシック好きの方には、またまた怒られそうですが…。

 '02 5/14

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔取り上げたのは、ガブリエラ・ベニャチコーヴァ(ソプラノ)/マリャーナ・リポフシェク(アルト)/エスタ・ヴィンベルイ(テノール)/ヘルマン・プライ(バリトン)/ウィーン国立歌劇場合唱団(合唱指揮:ヴァルター・ハーゲン=グロル)、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団、指揮:クラウディオ・アバドによる、1986年5月ウィーン、ムジークフェラインザールでのライヴ録音盤(左画像)。右画像は、ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮、バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団による、1951年7月29日バイロイト音楽祭再開記念演奏会でのLive録音盤(モノラル)。全体的にバランスのとれたやや繊細なアバド、音質は正直良くないが熱気に溢れたフルトヴェングラー〕
*収録時間:CD≒75分を決定するのに、カラヤンの影響があったとの裏話もありますが、真偽不明です
*DIFFICULT TO CURE(Beethoven's Ninth):大のクラシック好きギタリスト、リッチー・ブラックモア師匠率いるRAINBOWの「DIFFICULT TO CURE(1981)」アルバムに収録されている名(怪)演。アルバムは硬派路線から軟派路線(POPと言う意味です)への転換点にあり、今一つ纏(まと)まりに欠けますが佳曲も多い好盤(RAINBOWに駄作無し)。「FINAL VINYL(1984)」には、オーケストラ共演のライヴヴァージョンも収録されています

REIGN IN BLOOD/SLAYER '86
レイン・イン・ブラッド/スレイヤー 
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レイン・イン・ブラッド/スレイヤー 発表当時歌詞の件などでいろいろ物議を醸したそうです(ナチスのジョセフ・メンゲルについて歌っています。と言って別に彼を称えている訳ではないんですが…)。僕は比較的最近知った作品なので、当時の事は良く解らないのですが、まあ確かに「過激、ダーク、残虐、破壊、グロテスク…」といったイメージではあります。同時期のMETALLICAMEGADETHが、結構メロディアスで聴き易い要素や、伝統的ドラマティック風味を持っていたりするのですが、SLAYERは、そんなもの「けッ」てな趣(おもむき)。乾く事の無い血を滴らせて牙を剥き、ひたすらに、激!、激!、激! 多くのデス系アーティストの尊崇の対象とされているのも、宜(むべ)なるかな。
 激!も大好きな僕ですが、僕がこの作品に一番惹かれる部分は、その音楽の持つ「凄み」です。スラッシュ・メタルのムーブメントを全く知らないので良く解りませんが、おそらく当時の多くのバンドが持っていたものなのでしょう。サウンドそのものが持つ破壊力では無く、サウンドの根底に有る破壊力が生んだ「凄み」を…。
 それにしてもデイヴ・ロンバードのドラムは良いですね。「凄み」を感じます。

 '02 5/6

追記:2013年5月2日ジェフ・ハンネマンが他界しました。残念です。R.I.P (詳細

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭ ポップ度:♭
〔'80年代後半のスラッシュ・メタルムーブメントをメタリカ、メガデスらと共に牽引して来た4人組。高速で地表を駆回り襲い掛かって来るような緻密なリフは、そのままデス・メタルサウンドへと受け継がれて行きます official
*ジョセフ・メンゲル:アウシュビッツ強制収容所の医師。数々の人体実験を行い「死の天使」と呼ばれた。戦後南米で逮捕

SECRETS IN A WEIRD WORLD/RAGE '90
シークレッツ・イン・ア・ウィアード・ワールド/レイジ 
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シークレッツ・イン・ア・ウィアード・ワールド/レイジ ドイツの3人組(当時)です。元気が良くていいですね。聞いていてこっちも元気がでます。
 彼等は下に書いたHELLOWEENと同じ、所謂「パワー・メタル」と言うスタイルであると言えると思うのですが、何と言ってもその特徴は、鎌倉武士=無骨・質実剛健。ライブでは男の子がギャーギャー叫んでる姿がイメージされます。オンナの子がキャーキャー言ってる姿はイメージし難い…。しかし、音そのものをとればそのグループ名(憤激、憤怒、猛威等の意)の如く、スラッシュ直系の激しいギターやドラムが目立つ荒々しいものですが、メロディは一癖ありながら(ヴォーカルの声も一癖有る)も非常に親しみ易いものなので、敬遠しないで下さい。オンナの子のファンもちゃんといますから(”ちゃんと”は失礼か…)。

 "INVISIBLE HORIZONS"は名曲。

 '02 5/6

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お気に入り度:♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔個性派と言われた彼等(と言ってもオリジナル・メンバーはPEAVEY(vo,b)ひとり)も、今や一目置かれる大物になりました offcial

KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part I, Part II/HELLOWEEN '87/'88
キーパー・オブ・ザ・セヴン・キィズ/ハロウィン 
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キーパー・オブ・ザ・セヴン・キィズI/ハロウィン キーパー・オブ・ザ・セヴン・キィズII/ハロウィン
 実はHELLOWEENを知ったのはつい3年ほど前です。'87・'88頃は'70年代のHeavy系作品にハマッていた為、HELLOWEENもMETALLICAも全く知らないでいました。'80年代初頭までは新しいバンド・アルバムを追っていましたが、それ以降は古い方へ遡(さかのぼ)ってばかりいたんです。よって、10数年のギャップは大きく、HELLOWEEN・METALLICAをはじめて聞いたときは呆然としました。「なんて速いの、巧いの」と…。デス・メタル・ファンと化した今となっては、なんとも親しみやすい音楽に聞こえますが…。
 良い曲が多いですね。今の耳にはとりたてて速くも巧くもヘヴィーにも聞こえませんが、曲の良さと言うものは、時代を超越しますね。それを改めて感じさせてくれる作品です。特に"HELLOWEEN" "KEEPER OF THE SEVEN KEYS"の2大作(ともに13分を越えます)は変化に富み、全く飽きさせません。見事です。
 アルバムはPart I・IIとなっていますが、バンド側は本来2枚組アルバムとしてリリースの意向でした。が、レコード会社サイドの反対により、時期をずらせて別々にリリースされたとの事です。確かに、当時メタル・ミュージックは衰退期で、会社側としてはソンな冒険には二の足を踏むのも仕方の無い事だったかもしれません。数年後、GUNS N' ROSESが「USE YOUR ILLUSION 1・2」を二枚同時発売させ、全米1・2位独占と言う空前の大成功を収めるのですが、ガンズの場合はその前のアルバムが大ヒットしていますから、状況が違いますものね。ガンズは一般ロック・ファンにも訴えかける普遍性を持ったハード・ロックだし、こっちは市場の狭いメタルだし…。
 この2作品、本来は一つの作品ですが、ちとoverに言えば全く異なる作品です。カイ・ハンセン主導で力強さ・骨太さを感じさせるIと、マイケル・バイカート主導で明るさ・繊細さを感じさせるII、と…。と言ってもあくまで個人的感想にすぎませんが(因みに僕はIの方がより好きです)…。
 古くはSCORPIONSACCEPTそして後にはこのHELLOWEEN、そしてBLIND GUARDIANと、独逸バンドのメタルを「ジャーマン・メタル」と言い、一つの亜種として確立されています。何やら何処かあか抜けず、親しみやすく、又何処か哀愁が漂い、演歌的小節コロコロ。
        "よぉ〜ぉ〜ざぁ〜 きぃ〜ぷぅぁ〜おぶざせぇ〜ぶんきぃ〜いいぃいいぃ〜ず…"
 メロディアスで、ドラマティックで、お約束いっぱいで、そしてクサイ…。何ともニッポン人好みの空気を醸しています。英吉利や亜米利加のメタルとは、一味ふた味違う音楽。聴き手を突き放すようなところは皆無。「みんなで歌おうぜぇ〜」的、なんともハンド・イン・ハンドなメタルです。この「ジャーマン・メタル」というスタイルを広く世界に浸透させたのが、この作品と言えるのかも知れません。
 今はこう言う『大きい』作品が出てこないのが残念です。

 '02 4/30

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭♭
part1:重度:♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
part2:重度:♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔ドイツの5人組 スラッシュ・メタル的怒涛のサウンドに、親しみ易いメロディを融合させたものを”パワー・メタル”と言いますが、その元祖的存在。HELLOWEENからメタルに呪われた方も多いのではないでしょうか。
この2枚は現在「完全版」として二枚組となっています  official

●★◆WORKING MAN/VARIOUS ARTISTS '96
ワーキング・マン/ヴァリアス・アーティスツ 
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ワーキング・マン/Various Artist 我が愛するRUSH(カナダのプログレ・ハードのバンド)のトリビュート・アルバム。選曲も良いのですがメンバーが凄い。
 ドラムがDREAM THEATERのマイク・ポートノイ、ディーン・カストロノヴォ(JOURNEY他)、CYNIC他のショーン・レイナート。ベースがビリー・シーン(MR.BIG他)、スチュアート・ハム(ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ・バンド他)、ショーン・マローン(CYNIC他)。キィボードにはマイク・ピネラ(SYMPHONY X)、マット・ギロリー(DALI'S DILEMMA)、トレント・ガードナー(MAGELLAN)他。ギターには、ジェイムズ・マーフィーDEATH他) 、マイケル・ロメオ(SYMPHONY X)、ジョン・ペトルーシ(ペトルッチ)(DREAM THEATER)、スティーヴ・モーズ(DEEP PURPLE他)、ジェイク・E・リー、ジョージ・リンチ他。ヴォーカルには、セバスチャン・バック、ジェィムズ・ラブリエ(DREAM THEATER)、デヴィン・タウンゼント(STRAPPING YOUNG LAD他)他。そしてバンドとして、FATES WARNINGが参加、等々…。と、テクニカルなプレイヤー、RUSHを愛するアーティストが、これでもかとずらっと並んでいます。有名所がズラリ。
 中でもドラムのマイク・ポートノイとディーン・カストロノヴォは良いですねぇ。正に、二ール・パート(ピアト)(RUSHのドラム)。詳細は不明ですが、この2人は本当にRUSH或いは二ールが大好きなのではないでしょうか。"LA VILLA STRANGIATO"や"YYZ"でのプレイは絶品です。その他のプレイヤーについても話し出すと切りがないくらい見事。良くぞ此れだけの物を作ってくれたと感謝したいくらいです。ただ、流石にここ日本でのRUSHの知名度の低さを反映してか、中古で僅か¥500でした(悲しいやら嬉しいやら…)。
 Heavy系音楽が好きでRUSHに興味のある方には本当にお薦めします。このアルバムから、是非オリジナルのアルバムへ。

 '02 4/16

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
*トリビュート・アルバム:或るミュージシャンに対する尊敬や賞賛の思いを込めて作られたアルバム。メタルの場合は、複数のミュージシャンが参加して作られることが殆ど

STIGMATA/ARCH ENEMY '98
スティグマータ/アーク・エネミー 
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スティグマータ/アーク・エネミー スエーデンのメロディック・デスメタルバンド。Heavy and Dark&ブルータルなサウンドに美しいメロディが映えます…。"BEAST OF MAN"では近頃めずらしい「歌えるような」流麗なギター・ソロがきけます…。このバンドの最大の魅力はなんといってもアモット兄弟の分厚く地を這うようなリフと、其々個性の違いがありつつも、流石に同系の匂いを醸すギターソロです。兄(マイケル)はエモ−ショナル、弟(クリストファー)はテクニカル、でも共に非常にメロディアス…。マイケル・シェンカーやウリ・ジョン・ロートを彷彿とさせる二人の流麗で叙情性を漂わすプレイは、ここ日本では特にウケがいいようです。前作(デビュー作)ではソロ・パートのみの参加であった弟君も、全パート参加でエナジー全開。ツイン・ギターの息ピッタリの絡みなど、流石ブラザーズ。聴惚れ…。
 唯、ギターに関しては上述の如くなのですが、前作・次作に見られる力強さがヴォーカル(ヨハン・リーヴ)にやや欠け、体調不良であったとの事ですが、その辺りが、少々残念…。
 残念と言えば、大半の曲(1・9曲目以外)でドラムを叩きながら、アルバム・リリース時には既に脱退していた、ピーター・ウィルドアー君の扱い。グループ・ショットが気の毒な事になっている…。もう一寸やり様は無かったのでせうか…。と、それはまぁ置いといて、彼のプレイには個人的に大注目。彼のプレイが、このサウンドに合うかいなかは別にして、こう云うジャズ・フュージョン的センスのあるテクニカルなメタル・ドラムは個人的には非常に好きです。センスと技術はジャズ・フュージョンで、音はとことんハード&メタル(ピーター君はちと音が軽いのが残念)。若き日のイアン・ペイスやニール・パート、比較的最近ではDREAM THEATERのマイク・ポートノイ等の方々が代表的でしょうか。最たる者はフロ・モーニエ氏ですね…。激烈な突進力を持つ、前作・次作(また其れ以降及びこのアルバムの1・9曲目)でドラムを叩くダニエル・アーランドソン君の方が、このサウンドには遥かに合ってると思いますが、ドラムだけを抜き出して言えば、ピーター君は良い。彼は今自身のバンドDARKANE(ダーケイン)他で活躍中です…。
 全体的な出来の良さは次作3rdアルバムに譲りますが、独特の重さと、音楽的幅の広さを感じさせるドラムが、個人的にはピッタリ。唯、日本盤はボーナス・トラックが3曲も入っていて多過ぎ。一寸冗長(じょうちょう)な感じにさせちゃってる。

 '02 4/13

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔'96年"BLACK EARTH"でデビューした5人組。デス・メタル的ブルータル・サウンドと抒情的な「泣き」のメロディーの融合が何と行っても特徴。「ARCH ENEMY(正確には"アーチ・エネミー"らしい)」とは、最大の敵「サタン」の意 official
*マイケル・シェンカー:独逸の生んだ「神」と呼ばれる美旋律スーパー・ギタリスト
*ウリ・ジョン・ロート:独逸の生んだ「仙人」と呼ばれるスーパー・ギタリスト。イングヴェイの心の師匠
*イアン・ペイス:DEEP PURPLEのドラマー バレリーナの如き華麗なるドラミング
*二ール・パート:RUSHのドラマー 理屈っぽい哲人ドラーマー
*フロ・モーニエ:CRYPTOPSYのドラマー パワーと技術が言葉にならない程すんごいドラミング

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