MYSTIC RHYTHMS

Heavysphere  その六

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ヘヴィ・メタル、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、クラシック等について語らせていただきます  Profile

MOZART:レクイエム
SKID ROW:スキッド・ロウ
RAVEN:ワイプド・アウト
PAIN OF SALVATION:エントロピア
PANTERA:ファー・ビヨンド・ドリヴン<脳殺>
URIAH HEEP:ルック・アット・ユアセルフ
LIONS SHARE:フォール・フローム・グレイス


§索引
§凡例
§ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い


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Requiem K. 626/Wolfgang Amadeus Mozart レクイエム ニ短調 K.626/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト order
レクイエム ニ短調 K.626(ベーム) 古楽器のホグウッド盤
 「レクイエム」。ラテン語で「安息を」の意。カトリック教会で、死者の安息を願って執り行われるミサ若しくは、そのミサに用いられる聖歌を指す。よって、この作品の題名は、「死者の為のミサ曲」とするのが正確かも知れません。モーツァルトが、生涯最後に手懸けた作品です。

 正確なところは定かではなく、単なる推測ですが、ビートルズよりもマイケル・ジャクソンよりも、そしてプレスリーよりも、沢山レコードやCDを売りまくっているのは、モーツァルトではないのか?と私は密かに思っているのですが、どうなのでしょう。モーツァルトの場合SPレコード時代からの累計ですから、可也不明部分が多く判り難いとは思いますが、文字通り桁違いの多さなのではなかろうか?生前から今で言うヒット・メイカーとして、曲(この場合楽譜)を売り捲くり(又弾き捲くり)、死後200年以上経た今も、人気投票をすればほぼ一位確実という人気者。その「神に愛された(モーツァルトの通称「アマデウス」は彼の名に含まれる「神に愛された者」を意味するtheophilusをラテン語に置き換えたもの)」彼の、絶筆となった作品がこの「レクイエム」です。
 「神に愛された」人気者モーツァルトも、常に順風満帆であった訳では当然なく、亡くなるまでの数年は、人気も凋落し、落魄し、やがては体調も崩し、1791年、35歳で生涯を閉じることとなります(死因は毒殺説等多々ありますが一般にはリウマチ熱であるとされています)。その死期迫る病の床で、第1曲「入祭誦」と第2曲「キリエ」を完成させ、第7曲(第3曲第5部)セクエンツィア「呪われた者」まで及び第9曲(第4曲第1部)奉献誦「主イエス・キリスト」、第10曲(第4曲第2部)「犠牲と祈りを」の主要部分のスケッチを書き、そして第8曲(第3曲第6部)セクエンツィア「涙の日」の八小節目までを残し、息を引き取ったとされています。細かく分けてこの作品、14曲(7曲14部と言う捉え方もある)より成るのですが、モーツァルトが完成させたのはその内の最初の二曲のみ、残りは彼のスケッチ(合唱部分等)と彼の指示に基づき、弟子のフランツ・クサヴァー・ジュスマイアーが補筆し完成させたものと、一般にはされています。
 ...1791年8月、他人の作品を自身の作品として発表することを趣味とする、フランツ・フォン・バルゼック伯爵から2月に亡くなった奥さんマリアの為の「レクイエム」作曲の、匿名による依頼が舞い込み、困窮していたモーツァルトは作曲料の半分を前金として受取り引受けました。そして9月中には、製作中のオペラ「魔笛」を完成させ、レクイエムに取り掛かります。ところが、体調は崩れがちで、11月にはもう床を離れることもできなくなり、死期を悟った彼は、この曲の依頼を届けた灰色の服の男(実際は伯爵の知人)に促され、自身の為のレクイエムを書いている、と考えるようになったとも伝えられています(これについて書れたロレンツォ・ダ・ポンテ(伊太利亜の詩人・作家。「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」等の台本作家)宛て書簡の真偽は定かではない)。
 筆も執れなくなった死の床で彼は、ジュスマイアーに指示を与えつつ、レクイエム完成を目指しますが、12月5日未明、終に、今も愛される多くの作品を残し、世を去ります。
 困ったのは、奥さんのコンスタンツェ。お金はないし、レクイエムは前金だけ受け取って未完のままだし。と言うことで、先ず生前のモーツァルトが音楽家として高く評価していた友人ヨーゼフ・アイブラー(F.J.ハイドンも高く評価していたとか)に、そして彼がモーツァルトと言う重圧に屈して手を引いた後は、弟子のジュスマイアーに托し、完成させ、無事依頼者である伯爵に手渡し、報酬を得、作品もモーツァルト作として後に出版され、現在我々が拝聴できることとなりました...。

 お弟子さん補筆ということで、様々な批判も有り(ジュスマイアーへの批判に対しベートーヴェンは彼を擁護したという)、また興味を削がれる部分もあるやも知れませんが、モーツァルトの名作の一つと言えるだけのものは、あると思います。上記にあるような、作品誕生に関わる経緯(或いは物語或いは伝説)を知っても知らずも、少なくとも私のようなメタル馬鹿なメタル耳には、このへヴィさダークさ、荘厳さ、彼が完成させた第1曲・第2曲を聴くだけでも、十分ズッシリと響きます。
 一般に、メタラー(メタル・ファン)の方々にはクラシック・ファンが多いとは言い、バッハベートーヴェン等荘厳或いは重厚系が主で、明るく軽快な作品の多いモーツァルトのファンと言う方は少ないかもしれませんが、この作品は、自信を持ってお勧めできます。オーケストラを従え、独唱或いは合唱が、時に激しく時に静かに、祈り嘆き慟哭し...と言う形ですが、オーケストラには一般に使用される、フルート、オーボエ、クラリネットは音色が華やかと言う理由から使用されておりません(現在クラリネットは使われる)。モーツァルトが全く関与していない11曲目(第5曲第1部)「サンクトゥス」以降(最終曲である「聖体拝領誦」には第1曲目、第2曲目が使用されている(当事のミサ曲では通例らしい))、失礼ながら若干インパクトに欠ける感はありますが、歳月経た壮麗な石造建築を仰ぎ見るかの如きヴィジュアル感は、ラプソディ・オブ・ファイアやブラインド・ガーディアン等お好きな方には、特に良いかも。第3曲(第3曲第1部)「怒りの日」等、ルーツを聴く思いがするかも知れません。

 「人間をからかう為に悪魔が発明した」モーツァルトの音楽にしては、余りに厳粛な作品。死は人間の真実の最上の友、と語ったモーツァルトの、からかう如き軽快さの向こうに時折見え隠れする、ダーク・サイド。もしかしたらそれが、彼の真実の姿なのかも...とも思ってみたりします。

 Requiem for Hiroshima and Nagasaki

  '08 haduki/6

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔これは、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱連盟他による1971年4月13・14日、ウィーン、ムジークフェラインザールでの録音です(左画像)。他に様々な盤が出ていますが、当盤の他にカラヤン指揮のベルリン・フィルの1975年盤リッカルド・ムーティ指揮のベルリン・フィル盤等も有名。右画像はクリストファー・ホグウッド指揮、エンシェント室内管弦楽団、合唱団他による1983年9月ロンドンでの古楽器による録音。珍しいモーンダー版(英音楽学者リチャード・モーンダー校訂版。あくまで未完作品としてジュスマイアー作曲部分を大幅カット)。エマ・カークビー(イギリス出身。1949-)のソプラノが美しい。
因みにこの曲、ショパンの葬儀(本人の希望)や、J.F.ケネディ、ベーム、カラヤン、そしてベートーヴェンの追悼ミサで演奏されています〕

*人気:モーツァルトが一般的に人気が高くなるのは第二次大戦後でそれ以前は、クラシックと言えばベートーヴェン!で、彼の先輩であるモーツァルトも彼の師匠であるF.J.ハイドンもベートーヴェンの御蔭で光が当たる存在、とか、ベートーヴェン以前の幼稚な音楽、等ということも言われたりしたこともあるそうな
*ヨーゼフ・アイブラー:1833年、この「レクイエム」の指揮中脳卒中で倒れそれまで務めていたオーストリア宮廷音楽家の座を退くこととなったそうです
*SPレコード:"Standard Playing"の略。欧米では"78rpm record(78回転レコード)"と呼ばれる。ある種のカイガラムシの分泌物を精製した「シェラック」という物質から作られ、衝撃に弱かった。19世紀末から1960年代頃まで使用されていた
*ラプソディ・オブ・ファイア、ブラインド・ガーディアン:ラプソディ・オブ・ファイアは伊太利亜の荘厳系メロディック・スピード・メタル。オーケストレーション多用のシンフォニックな作風。ブラインド・ガーディアンは独逸のパワー系メロディック・スピード・メタルの老舗。勇壮華麗なコーラス・ワークが特徴。どちらもドラマティック&ファンタジック
*リウマチ熱:連鎖球菌の感染が原因により起こる炎症反応。心臓病変を伴う場合がある
*人間をからかう為に悪魔が発明した音楽:ゲーテがエッカーマンに語った言葉。小林秀雄「モオツァルト」冒頭にある
*明るく軽快な曲:当事の音楽家は依頼に従って曲を作り「売る」、ライヴを行って収入を得る、という部分が大きかった為、当時の聴衆に受け容れられ易かった明るいメジャー・キィの曲が多くなったと言われています
*死は真実の最上の友:1787年4月4日病床の父レオポルド(5月死去)宛ての書簡にある。彼が父と共に入会したフリーメイソンリー的死生観とも言われる
*フリーメイソンリー(freemasonry):中世英吉利の石工(メイソン)職人組合を起源とする慈善・社会福祉活動等も行う世界的友愛団体。ナポレオン、ゲーテ、ベートーヴェン(否定説有り)、F.J.ハイドン、フランツ・リスト、ジョージ・ワシントン、ウィンストン・チャーチル、蒋介石、吉田茂等々、歴史的著名人も多数会員であった

SKID ROW/SKID ROW スキッド・ロウ/スキッド・ロウ '89 order
スキッド・ロウ/スキッド・ロウ 我が家は昨年暮れ辺りから、碌な事が無い。家族が病気続き。
 まずは、ネコの巴さんの鼻炎が例年に無くひどくトータル二週間以上は、獣医さんに通いました。慢性なので、完治と行きませんが、まあ通年の状態に戻り一段落...と思いきや、これまたネコの式部が、唾液腺が化膿し腫れてしまい通院。後、手術。その後も暫く通院。やっとエリザベス・カラーもはずれ、よかったよかった...と思ったら、今度はヒトの家族がテラスで転倒。頭部を強打し、脳挫傷で意識障害を起こし、近所の病院のER(救急)のお世話になってそのまま入院。精神が不安定な為、私も病院に付き添って泊まるなどもしました。退院して後も、いつまた症状が出るやら...という不安や、以前よりも多い家事(と言っても専業の方に比べたら少ないでしょうけど)などで、疲れがたまっていたのでしょうか、やっと普段通りに生活できるようになって、あぁ〜あよかった...と安心したとたん、今度は私が、智歯周囲炎で発熱ダウン...。下顎左と上顎左の二本の智歯、すなわち親知らずが同時に疼きだし、今までの人生で経験したことの無い激しい痛みに悶絶。親知らず周辺の炎症で口が開かず、ものも食べられず、発熱し全身のだるさ、また眩暈などで終にダウン...。先月末から今月始め頃のお話です。
 で、抜歯しました。二本とも(両方虫歯)。今これを書いている現在、まだ、縫合した糸が口中にあります(もうすぐ抜歯の抜糸)。
 ...それは解ったけど...スキッド・ロウとその病気やら親知らずやら、何の関係があるの...?ですよねぇ。
 実は私、血に関して可也のビビリ。下顎の親知らずは完全に水平に生え且つ歯肉に半分以上埋もれている(水平埋伏智歯)ため、抜歯は、歯肉を切開し邪魔になる骨を削ってからでなければ行えない。痛みに関しては、それは其れなりに痛いだろうな、くらいの感じなのですが、血液に関してはどれ程流血するのやら...と考えただけで、眼前が暗くなる...。血はまともに凝視することが出来ないだけでなく、匂いも味も駄目。あぁ口中で手術だなんて...と、抜歯不可避と決しても、なかなか決心が付かない。で、悶々とする数日間、親知らず抜歯に関するweb情報を集めながら、テンションだだ下がりの我が情なき心を鼓舞する為に、聴き捲くって居ったのですよ、この作品を。

 スキッド・ロウは、1980年代的HR/HMのムーヴメントの、最後に現れ、若干先輩のGUNS N' ROSESと共に大輪の華を咲かせたバンド、と言えるかもしれませんね。この後、HR/HMは、PANTERAのメジャー・デビューやMETALLICAの「METALLICA」アルバムのリリースなどで、殊更にダークでへヴィな'90年代的モダンなスタイルへと急速に方向転換して行くことになりますが、此方などは'70年代から受け継がれるR&Rテイストの明るく軽快なサウンド。
 とは言い乍(ながら)、矢張り'90年代にも掛かる時代、それなりのモダンさも持ち、兄貴分であるボン・ジョヴィ等よりは同系等ながら大分にへヴィで一寸ダーク。荒削りで骨太。何者にも怯(ひる)まないパンク的突進力と、親しみ易いキャッチィなメロディーを兼ね備え、マッチョな男くささとバラードに見られる繊細さも同居。デビュー作にして相当な完成度。次作では全米チャート一位を勝取りますが、宜(むべ)なるかな...。
 この作品、楽曲も演奏も申し分なく、プロダクションも(デビュー作にしては)悪くない。非常に優れた点の多いへヴィ系ビギナーの方にはお薦めの作品。中でも一押しの点は、ヴォーカル。当時21歳のセバスチャン・バック(バッハか?)の、美少年然としたそのグッド・ルッキングな外見とは相反するような、ワイルドでパワフルな歌唱。声量もあり、豪快なシャウトからバラードの囁きまで、幅広い表現力と、ロッド・スチュアートやロバート・プラント、アクセル・ローズ等などの歴代スター・ヴォーカリストにも一歩も引けをとらない「華」とカリスマ性を持った逸材。が、残念ながら、他四人(デイヴ・セイボ(g)、レイチェル・ボラン(b)、スコッティ・ヒル(g)、ロブ・アフューソ(ds))のメンバーとは異なり、一人加奈陀出身ということもあったのか、セバスチャンと他メンバーとの不和が取り沙汰されることも多く、結局'98年セバスチャンと他四人が対立する形で分裂。事実上解散と言う事態になってしまいました。
 セバスチャンを擁した彼らの作品は、僅か3作(ライヴや編集ものを除く)。惜しい...けど、仕様がないですね、様々の優れたグループがこうした問題で分裂・解散を繰り返してきました。人と人との関係はホント、難しい...。

 この作品の明るさと力強さ(と友人・知人のお言葉)に、大分助けられ、何とか抜歯できましたよ...。心配した口中の血の問題ですが、抜歯中は、歯科助手の方が常に、洗浄・冷却水や唾液と共に血液を吸引機(この音が可也デカイので気が紛れました)で処理してくださったので、全く問題なく大丈夫でした(麻酔が十分に効いていますので痛みは全くありません)が。でも、手術後、止血されるまで(≒20分待合室で待機)に滲んでくる血液の味に、何度かクラッと来ました。実際はほんの僅かな量なのですが、私には大量に感じられてしまったのですよ。ええ歳してホント情けない...。

  '08 uduki/21

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔米国NewJersey出身。デイヴの旧友であるジョン・ボン・ジョヴィのバックアップを得てデビュー。2000年新メンバーで復活、今も現役。フィル・ライノット、ゲイリー・ムーアが在籍した同名のアイリッシュ・バンドがありましたね official

*エリザベス・カラー:動物がキズ口をなめたり掻いたりする事を防ぐ為首に装着するプラスティック製器具。16世紀英吉利エリザベス朝時代の人々の装飾用の大きな襟に似ることから
*親知らず:上顎および下顎の第三大臼歯(一番奥の奥歯)。成人し親の管理を離れる頃或いは平均寿命の短かった時代親が亡くなった頃はえてくるので、「親知らず」と呼ぶと言うのが一般的説。英語では"wisdom tooth"なので「知(智)歯」
*智歯周囲炎:親知らずは正常な向きや位置に生えることが少ない為周囲が不潔になり易く炎症を起こすことが多い。この炎症が智歯周囲炎。普段は軽い痛みを感じる程度だがストレス過多になったり体力低下時等は症状が重くなり激しい痛みのほか口が開かない・顎が腫れる・発熱するなどの諸症状が現れる。繰り返し再発する場合が多いため原因となる歯の抜歯を行うことが多い
*ロッド・スチュアート:JEFF BECK GROUPでデビューしたハスキー系No.1ヴォーカリスト
*ロバート・プラント:LED ZEPPELINのヴォーカル。セクスィー系No.1
*アクセル・ローズ:GUNS N' ROSESのお騒がせヴォーカル。大好き
*フィル・ライノット:THIN LIZZYのリーダー。アイルランド出身。駆け出し時代のU2の恩人とか。1986年病没
*ゲイリー・ムーア:アイルランドの英雄的ギタリスト

RISING/BLACKMORE'S RAINBOW ライジング/ブラックモアズ・レインボー '76 order
ライジング/ブラックモアズ・レインボー 日本初のHR/HM専門誌として生まれ、現在も高い人気を誇る「BURRN!」誌の、三年前のバックナンバーを先日某古書店でちらと拝見させて頂いたのですが、その中に、「永遠の名盤300選」なる記事を発見(「HR/HMの名盤」300選と言うことです。通巻300号記念企画)。「納得!」「なんで此れが入ってあれが無いの?」等々賛否ありますでしょうが、まぁ錚々(そうそう)たるバンドの錚々たる作品が並んでおりました。その錚々たる作品達の中で、見事一位に輝いて居ったのが、この作品(題名は"RAINBOW RISING"とされる場合もある)。1970年代からHR/HMを聴いて来た私的には、この作品の歴史的存在・意義を、また内容を考慮すれば、頷ける結果でした。下に上位作品を上げておきます。確かにBURRN!誌自体が、メタルおやじの私の眼にも、最近は一寸懐メロ的懐古主義が感じられなくもないので、若いへヴィ・ロッカーの方々には、この結果には少々不満もあるかとは思いますが、20年、30年メタル耳を培って来られた、謂わばHR/HMマイスターの方々のご意見です。参考にしても損は無いと思いますよ。
 と、それはいいのです。名盤300選で一位になろうとなるまいと、「古いアルバムを何を今更...」と言われ様と、それはそれでよいのです。ただ、上記記事を見たことが一つの切っ掛けで、久しぶりに、"Stargazer""A Light In The Black""Starstruck"等当アルバムの収録曲を聴き、改めてこの作品から受けた感銘。それを伝えたい。そう思ったのです。この作品に漲(みなぎ)る音魂(おとだま)...我が文章力でどれ程伝えられるか、自信は有りませんが。

 上にアーティスト名が「ブラックモアズ・レインボー」となっていますが、元ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが、ディープ・パープル脱退後、ELF(エルフ)と言うアメリカのバンドからギタリストを除いた形で立ち上げたバンド「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」の、「リッチー」がとれたもの。当初の、リッチーとそのバック・バンド的性格が、やや、ややですが、リッチーと他メンバーとが対等(対等に近いと言った方が正確か)な存在となり、真のバンド形態へと近づいています。リッチーと対等(に近い)と言っても、そう言えるのはヴォーカルのロニー・ジェイムス・ディオとドラムのコージー・パウエルの二人ですが...。でも、この二人のバンドにおける存在の大きさは、この二人が脱退した後、またバンドは、リッチーとそのバック・バンド的形態へ戻ってしまうことに現れているように私には感じられます。
 本作(全英11位.全米48位)は、リッチー独立後リリースした「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」に続く第二作。前作は、アルバム・ジャケットにも良く現れていますが、ファンタジックな色合いの強い一寸大人しめの作風。良い曲も多い佳作と言えると思いますが、リッチー及びロニーと、他メンバー(要するにELFのメンバー)との力量の差が、失礼ながら大きく、迫力には残念ながら欠けています。しかし、本作で大変身。前作からのファンタジックな繊細さを根底に継承しつつも、一気に骨太で筋肉質なハード・アンド・へヴィ世界を現出させています。この変身には、コージーの参加が大きく影響していると言って良いでしょう。なんてったってスゴイ。上手いとか如何とかではなく、とにかくスゴイ。ゴイスー。はじめてこの作品でコージーのプレイに接したときは、「衝撃」の一言。リッチーのギターも素晴しいし、ロニーのヴォーカルも同様素晴しい。でもコージーは「スゴイ」。ギター、ヴォーカル、そしてドラム三者の緊張感に満ち満ちたバトルの素晴しさがこの作品の最大のウリとは言い、はっきり言って、本作における主役は、彼、コージー・パウエルです。
 "鬼神"の異名をとるへヴィ・メタル・ドラマーの「神」的存在、デイヴ・ロンバード(現SLAYER)の、「SOUTH OF HEAVEN('88)」でのプレイを、恥ずかしながら最近はじめて、拝聴したのですが、コージーを1.5倍速にして音数も1.5倍したみたい...との印象を持ちました。コージーのプレイ、特にこの作品でのプレイは、後々のメタル・ドラムに多大な影響を与えているように思います。ドラム缶を引っ叩いているが如きスネアやバスドラ、ガラスを叩き割っているが如きシンバル...これぞ「メタル」ドラム(而もその正確さが金属的整合感を醸し出す)。確かに、フュージョン・ジャズ系の繊細なプレイを好まれる方には、大味に感じられるかもしれませんけど...。
 と、コージーのドラムばかり持ち上げていますが、作品自体非常に完成度の高いもの、と言うよりHR/HMはここに一つの完成を見た、と言っても過言ではない内容。アナログ盤後半(B面)の計16分以上に及ぶ二曲、"Stargazer"と"A Light In The Black"の結晶純度の高さに、それは如実に現れている(ただ、全体を通しベース(ジミー・ベイン)とキィボード(トニー・カレイ)の音が小さいのが個人的にはちと残念)。1970年代にこの作品を聴き、その後、1980年代、1990年代そして2000年代と、数多のHR/HM作品を聴き、改めてこの作品に回帰してみれば、見えて来ますよHR/HMの歴史の中におけるこの作品の存在の大きさが。ファンタジックな詞、ドラマティックな楽曲、高度な演奏力に裏打ちされたパワフルで攻撃的な演奏・歌唱、そしてそれらを体現した様なジャケット・アート(ケン・ケリー作)。HR/HMの歴史を変えた一枚、と言うよりは、歴史を作った一枚。そう言い得ると思います。ナウでヤングなへヴィ・ロッカーにも是非聴いて頂きたい。確かに、パンテラや、マリリン・マンソン、或いはスリップノットやヘルメットなどなどのモダンなへヴィ・ロックを聴き馴染んだ耳には、一聴なんとも古式蒼然(こしきそうぜん)とした音楽に聞こえるであろうことは、想像がつきます。私自身、正直、「古くさ〜」と思いましたよ。久しぶりに聴いて。最近マリリン・マンソンやヘルメットを聴いていたので。でもね、時代の幾重もの細かーいフィルターの網の目を掻い潜って来た作品には、何かがあるのですよ。多分、きっと...。一般的には”様式美”と呼ばれるスタイルのオリジネイターとも言える本作。”様式美”と冠されるような方法論・技法は、バンド(リッチーと言った方が良いか)がイメージするものを具現化するにおいての必要から生まれた、謂わば実用的なツールであったのでしょうが、後々には、一つのスタイルとして固定化され、実用を離れ装飾へと流れていく過程で、プログレ(プログレッシブ・ロック)同様徐々に線の細いものへと変わってしまいます。でも、其処はオリジネイター。本作は、音が如何のというより、骨格が太い。装飾的なサウンドではあるのだけれど、その煌びやかな装飾の向こうに、無骨な骨組みがはっきりと感じ取れる。
 上記のように、HR/HM特に濃厚コテコテ系では聖典とも仰がれるこの本作ですが、次作(「LONG LIVE ROCK'N'ROLL」)からリッチーのアメリカ志向、ポップ志向が疼きだし、次次作(「DOWN TO EARTH」)で一気に判り易いハード・ロックに転換。此れについて行けないコージーは、1980年第一回モンスターズ・オブ・ロックでのステージを最後にバンドを離れます(このステージは伝説的存在で、コージーとの別離を悲しむ当時のヴォーカル、グラハム・ボネットが、「コージー・パウエル!! コージー・パウエル!! コージー・パウエル!!」と叫ぶシーンは涙なくしては聴けましぇん)。この後の各作品も其々に素晴しく、新たなファンも獲得し、日本でもHR/HMを代表する人気バンドへと昇って行くのですが、初期からのファンは、RAINBOWはロニー、コージーの在籍する次作(その前にLIVE盤がありますが)まで、或いは一歩譲ってコージーの居る次次作まで、と言う方も多いかもしれません。ただ、後の作風がポップになって行くとは言い、クラシカルでテクニカルなリッチーらしさは、随所に垣間見え消える事はありませんけれどね。

 この作品、素晴しいも素晴しいのですが、私個人的に、非常に思い入れの強い作品でも有ります。
 引きこもり時代、この「RAINBOW RISING」と、QUEENの「A NIGHT AT THE OPERA」が私の友でした。閉じこもった部屋の中で、ヘッド・フォンでどれ程繰り返し聴いたでしょう(引かないでね)。前者の持つバロック音楽的或いは中世欧羅巴的雰囲気、また後者の持つ欧州貴族的雰囲気に大分に影響されて抱くようになった欧羅巴への憧憬の念は、未だに引き摺っていますね。当時カセット・デッキが無く、テープにダビングすることも叶わなかった為、両レコードは、もうキズだらけのノイズだらけ。でも、それまで私の音楽世界を満たしていた、KISSとAEROSMITH、彼らとはまた異なる姿、ロック音楽の芸術性と言う側面を私に示してくれた両作(キッスもエアロも好きですが)。私にとっては特別な存在として、もう流石にターン・テーブルに載せることはありませんが、今も変わらず、棚に収まっています。暫く前までは、引きこもり時代をリアルに思い起こさせる両作は、余り聴く気にはなれませんでしたが、最近ようやっと、虚心で聴く事ができるようになり、両作の素晴しさを改めて味わっておる次第です(デジタルで)。時が流れた...と言う事でしょうか...。

  '08 mutuki/7

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お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔英国出身。当初レコード会社からの要望で「リッチー・ブラックモアズ」としたらしい。本作では「リッチー」がとれ次作以降は「レインボー」のみとなる。が、リッチー師匠の性格故なのか実質「リッチー・ブラックモアズ」的雰囲気はバンド消滅まで付いて回る。
尚、本作中のハイライト"Stargazer"で、劇的ストリングスのアレンジを担当しているのは、エレクトリック・ライト・オーケストラの作品やオジーの"Diary of a Madman"、また1980年代に一世風靡した「HOOKD ON CLASSICS」のアレンジ・指揮でお馴染みの、ルイス・クラーク。演奏はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団 コージーofficial リッチーofficial ロニーofficial

■「永遠の名盤300選」上位30
一位 RAINBOW/RISING '76
二位 JUDAS PRIEST/SCREAMING FOR VENGEANCE '82
三位 IRON MAIDEN/IRON MAIDEN '80
四位 METALLICA/MASTER OF PUPPETS '86
五位 DEEP PURPLE/IN ROCK '70
六位 QUEENSRYCHE/OPERATION:MINDCRIME '87
七位 GUNS N' ROSES/APPETITE FOR DESTRUCTION '87
八位 MOTOLY CRUE/DR.FEELGOOD '89
九位 BLACK SABBATH/HEAVEN AND HELL '80
十位 WHITESNAKE/WHITESNAKE '87
十一位 LED ZEPPELIN/LED ZEPPELIN '69
十二位 DEF LEPPARD/HYSTERIA '87
十三位 ALCATRAZZ/NO PAROLE FROM ROCK'N'ROLL '83
十四位 VAN HALEN/VAN HALEN '78
十五位 QUEEN/A NIGHT AT THE OPERA '75
十六位 BON JOVI/SLIPPERY WHEN WET '86
十七位 ACCEPT/METAL HEART '85
十八位 MICHAEL SCHENKER GROUP/MSG '81
十九位 AEROSMITH/ROCKS '76
二十位 KISS/ALIVE! '75
二十一位 BLACK SABBATH/MASTER OF REALITY '71
二十二位 IRON MAIDEN/THE NUMBER OF THE BEAST '82
二十三位 JUDAS PRIEST/DEFENDERS OF THE FAITH '84
二十四位 OZZY OSBOURNE/BLIZZARD OF OZZ '80
二十五位 HELLOWEN/KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part2 '88
二十六位 FAIR WARNING/FAIR WARNING '92
二十七位 SLAYER/REIGN IN BLOOD '86
二十八位 MOTORHEAD/ACE OF SPADES '80
二十九位 VAN HALEN/5150 '86
三十位 GARY MOORE/CORRIDORS OF POWER '82
・名盤順位は BURRN!レビューファンサイトさんのページから拝借致したしました。大半が1980年代の作品なのは、HR/HMが最も熱を帯びていた時代ですから、当然でしょう。また1960・1970年代作品はHR/HMのオリジネイターの方々の作品ですからこれまた当然ですね。三十一位以降は是非此方のサイトで

*モンスターズ・オブ・ロック:1980年から1996年まで英国ドニントンにてほぼ毎年開催されていたHR/HM系アーティスト大集合の大イヴェント。記念すべき第一回のトリがRAINBOWでした
*濃厚コテコテ系:私的には「様式美」と同義に近いニュアンス。HR/HM歴ン十年の甲斐も無く「様式美」の定義が昔からいま一つ良く解らないのですが、クラシカルで大仰でドラマティックでメロディアスでテクニカルで歌詞や衣装に生活感がない...と言った様なイメージで、個人的には捉えています
*ベースとキィボードの音が小さい:本作には「ニュー・ヨーク・ミックス」と呼ばれるオリジナルのミキシングと「ロス・アンゼルス・ミックス」と呼ばれる異なるミキシングがあり、2011年リリースの「デラックス・エディション」で双方を聴くことが出来る。後者は前者に比し全体に楽器の音の大きさのバランスが均等でベースとキィボードが聴き易い(2020年4月追記)

WIPED OUT/RAVEN ワイプド・アウト/レイヴン '82 order
ワイプド・アウト/レイヴン 下に書いた作品(「ENTROPIA」)とは、ある種対蹠(たいせき)的位置関係にある作品かもしれません。とにかくおバカ(褒め言葉です)。若手お笑い芸人さん的徹頭徹尾のハイテンション・ハイエナジー。聴いているだけで汗だくになりそうなパワーと暑苦しさ。此処まで来ると、爽快。
 ハード・ロック・バンドには、おバカ・ロックの最高峰AC/DCを筆頭に、結構おバカ(しつこいですが褒め言葉です)系は多く存在しますが、大まかに言って、メタル・バンドはシリアス志向が強く、こうしたタイプは珍しい。サウンドのベースもロックン・ロール系統でこれまた少ないタイプ。他に似たタイプを見付け難い強い個性の持ち主。ご当人達は「アスレチック・メタル」と称しておりました。
 ジョン(b&vo)とマーク(g)のギャラガー兄弟を中心に現在も活動するこのメタル・バンド、デビュー(アルバム・デビューは’81年)からこの2ndアルバムをリリースした頃は、世界的なメタル・ムーヴメントが盛り上り始めた時代で、日本でも、RAINBOWやMSG、JUDAS PRIESTIRON MAIDEN等が大人気。でも、こうした比較的オーソドックスな古典的ドラマ性を多分に含むタイプのメタルに飽き足らない連中に、このRAVEN、好かれていました。当時のメタル・ファン(私の周りのですが)の間では、このRAVENはVENOM等と共に結構と言うか可也アンダー・グラウンドな存在で、私などRAINBOWを神の如く崇めていた人間には、一寸手の出しにくいバンドでした。ハード・コア・パンクもメタルと共に聴くような連中に好かれていたかな。
 そう書くと何か怪しげで危険な音楽性かと思われるかもしれませんが、全然。怪しさなど微塵も無い軽快で明るい(メタルにしては)音楽。ただ、古典的ドラマ性もなくなはないですが希薄。そして(当時としては)速い。つんのめる様なスピード感とある種の忙(せわ)しなさは、どっしりと構えた伝統的メタルに親しんでいたファンには一寸違和感があったのかも知れません。高音でヒステリックに喚(わめ)き散らすようなジョンのヴォーカルなど、RAINBOWのロニー・ジェイムス・ディオを最高のヴォーカリスト考える当時の多くのメタラーには確かに受け容れ難かったかもしれませんね。でも、今聴けば、ブリティッシュな湿りもドラマ性も其れなりに漂うし、ギター、ベース、そしてドラム(ロブ・ワッコ・ハンター。何故かアイス・ホッケーのヘルメットを着用)何れも演奏レベルは高く、曲構成も結構起伏に富む。特にジョンのベース・プレイ等なかなかに侮れないハイ・レベル。ちゃんと聴かなきゃ駄目ですね。見た目や上っ面だけで決め付けると、こうした良い作品を聴き逃す事になる。でも、音悪...モノラルかと思ったよ...。
 ウツっぽい時など、私には抗鬱的作用を齎(もたら)してくれる、元気アルバム。但し、可也マッドでクレイジーなので、一般的では無いかも知れません事をお断りさせて頂きます。 "Danger!!!!!"

  '07 10/23

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔英国ニューカッスル出身3人組。メタル史的に見るとスラッシュ・メタルの源泉的存在の一つと言えるかもしれませんね official

*MSG:”神”マイケル・シェンカー率いる大人気バンドでした
*VENOM:スラッシュ・デス・ブラック等過激系メタルの祖と呼ばれるバンド。因みにRAVENとは同郷同レーベル同年デビュー

◆●ENTROPIA/PAIN OF SALVATION エントロピア/ペイン・オブ・サルヴェイション '97 order
エントロピア/ペイン・オブ・サルヴェイション 雰囲気が「重い」...。心理的・精神的部分に働きかける「重さ」を持った作品としては、私のコレクション(と言える程のものでは御座いませんが)の中では代表的作品。人間の内面を描くべく、心血注いで作りました...的な重さと深さ。デビュー・アルバムですが、侮(あなど)れん。
 "死は決して存在しなかった 人生の... ほんの夢に過ぎない... ...だが夢とは何なのだ?"(訳:川原真理子)と言う言葉が導く、所謂、コンセプト・アルバム。嘗ての独逸を髣髴とさせる、東西(ジャケットにも「東西」とある)に分裂した「エントロピア」なる架空の国家を舞台に叙述される長大な詩。描かれているものも、書いているだけで気持ちが凹むような内容。戦争...父子の離別...死...。でも複雑でよう解らん。曲構成・展開も歌詞も演奏も複雑。複雑この上ない人間の内面や行いを描こうとするならば、作品もプレイも複雑にならざるを得ない、と言うことか。全体に非常にプログレッシブ・ロック的にほいを漂わせる彼らですが、プログレッシブ・ロック的手法を取ろうとして生まれた姿ではなく、表現しようとしたらこんな形になりました...的必然が感じられて好感が持てる。プログレッシブ・ロックが失った本質を、彼らは持っているな。
 息を吹きかければ脆(もろ)く崩れ去ってしまうような部分から、どろどろとした粘着質的な部分まで、ダニエル・ギルデンロウ(g兼任。ソング・ライティングも彼がメインで、バンドの核)は、シアトリカルとも表現できる、変幻自在なヴォーカル(’87年、前身バンドでスウェーデン音楽大賞にノミネートされ当時14歳の彼はベスト・ヴォーカル賞を受けている)で、此れでもかと描いてゆく。アーティストとしての執念の様なものが滲(にじ)み或いは溢(あふ)れ、殊更にへヴィ。鬱屈した精神と、爪を立て地面を這うようにしても前進を試みる不屈な精神の混在。血涙を搾(しぼ)る様な絶望と、幽(かす)かで仄(ほの)かな希望...そんな印象を私はこの作品には感じるのですが...でも、その幽かな希望がより絶望や孤独の深淵を際立たせるようで、なかなかしょっちゅう聴く気にはなれない。けれど一旦聴き始めると、惹き込まれ最後まで通しで聴かずにはいられなくなる様な作品。ノリのいい曲も数曲ありますが、全体的にはノリとは無縁な、「ながら」では無く、眼を閉じじっくりとヘッドフォンで聴き込みたい作品。
 彼らPAIN OF SALVATION、スタイルとしては、プログレ・メタルといえると思いますが、プログレ・メタルと言えば、DREAM THEATER。ジャズ・フュージョン的センス、スラッシュ通過後のメタルと言うことで、共通項が多く感じられ、また比較されることも多いようですが、彼らに比べると正直やや軽い。演奏面も、非常に高度なものであることはその通りなのですが、同じデビュー作「WHEN DREAM AND DAY UNITE」と比較しても、失礼ですが、格の違いを感じてしまう。まあ、DREAM THEATERが余りに特殊な存在であると言うことかもしれないし、勝負しているところが違う、と言うことなのかもしれませんし...。また、メタルのコンセプト・アルバムと言うことで、QUEENSRYCHEの歴史的名作「OPERATION:MINDCRIME」との比較もしてみたくなりますが、矢張り、アルバムの持つトータル性と個々の楽曲の持つ魅力のバランスが見事なこの作品と比較すると、正直聴き劣りはしてしまう。DREAM THEATERもQUEENSRYCHEも、複雑なれども聴き易い...のだけれど、この作品にはその聴き易さはないのだよね(メロディは美しいですよ)。精神性の深度では決して引けは取らないと思うのですけれども。でも、先輩二バンドだって、デビュー当時からあのレベルだった訳ではないしな...。第一スタンスも精神性も異なる他者と比較して、彼是言うこと自体失礼ですよね。御免なさい。
 デビュー作に有り勝ちな、詰め込み過ぎて一寸散漫...一歩手前ですが、緩急の調和も見事な、メタル音楽の深みと可能性を感じさせてくれる佳作。素晴しい。...第10曲目はボーナス・トラック。飛ばして聴いた方が良いかも(良い曲ですが、一寸流れが止まる気がする)。

  '07 8/6

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭
〔瑞典出身5人(当時)組。残念ながら私は2ndアルバム以降はまだ未聴なのですが、是非機会があれば聴いてみたいと思っています official

*コンセプト・アルバム:一貫したテーマやストーリーを持つアルバム。トータル・アルバム
*プログレ・メタル:プログレッシブ・メタルの略。アヴァンギャルドなスタンス、複雑な曲構成・高度な演奏技術・コンセプト性等々プログレッシブ・ロック的性格を多分に有するへヴィ・メタルの一スタイル。下記2バンドのほか、FATES WARNING等が有名
*DREAM THEATER:ドリーム・シアター。名前はベタですがメタル界で最も「上手い」バンド。上手いだけでなく「深い」
*QUEENSRYCHE:クイーンズライチ(ライク)。追随を許さぬ孤高のメタル・バンド

FAR BEYOND DRIVEN/PANTERA ファー・ビヨンド・ドリヴン/パンテラ '94 order
ファー・ビヨンド・ドリヴン/パンテラ この”Heavysphere”、私の大好きなへヴィな音楽を、へヴィな音楽などには全く或いは殆ど縁が御座いません、と仰られる様な方に、勝手に紹介させて頂くことを意図したこのサイトを開設するに当たり、こんな作品を紹介したいな...と当初念頭に浮かびイメージされた作品は、実は、この作品だったりするのです。
 このサイトにおける「へヴィ」という語には、サウンドの「重さ」だけでなく、発するauraの「重さ」や、ダークさと言う、謂わば心理的・精神的部分に響く「重さ」等(曲が長くて「重い」等も有る)、色々なニュアンスが含まれるのですが、この作品、発する音「重い」、発するaura「重い」、そしてダ〜クで「重い」と、三拍子揃った逸品。ジャケットからして、重い(暗い)でしょう...。
 パンテラは、’90年代を代表するメタル・バンドで、’80年代にワールド・ワイドに大ブレイクしたメタル・ミュージックがそろそろ飽和状態となり、(全体としては)沈滞化してきたその頃に、「COWBOYS FROM HELL('90)」「VULGAR DISPLAY OF POWER('92)」を引提げてメジャー・シーンに飛び出し、ヴァン・へイレン以来の革命を起こした存在。ただ、’90年代を代表するとは言っても、自主レーベルでのデビューは、亜米利加でのメタル・ムーヴメントはまだ黎明期とも言える’83年。自主レーベル盤を含めれば、本作は第七作ともなる結構な苦労人なのです。
 「革命」と上に書きましたが、彼らは、スラッシュ・メタルに代表されるような当時のメタル、スピードや激しさを追求したメタルとは明らかに一線を画す、ハード・ロックにも通ずるようなグルーヴ感と、速さを押し殺すような「重さ」を前面に押し出すモダンな「ヘヴィネス」を確立させ、METALLICAの「METALLICA('91)」アルバムと共に、新たなスタイルを生み出し、へヴィ・ミュージック・シーンをすっかり塗り替えてしまったのです。そう、それまで隆盛を誇った’80年代型へヴィ・メタルを又も、オールド・スタイルに逆戻りさせてしまったのです。なので、オールド・ファンの小生は、はじめなかなか彼らの作品に馴染めませなんだ。ヴォーカルは一寸ヒップ・ホップ(ミュージック)入ってるし、短パンでステージ出てるし...。
 この、メジャー・デビュー第三作となる本作は、「革命」を引起した前二作に比べると、全体にメロディは後退し、前作までには存在した、キャッチーさや叙情等は一切(少しオーヴァー)排除された、硬質で無機質な、まさにマシンの如き冷徹な音像(ヴィジュアル的に言えばアルバム・ジャケットのイメージは近い)。ファストな曲は一部。大半がミドルな楽曲で、ダイムバッグ・ダレル(’66年生)の硬質でありながらも、纏い付く様にねちっこいギター・リフと言い、レックス(’64年生)とヴィニー・ポール(’64年生)の放射線防護壁の如き隙の無いベース&ドラムスのコンビネーションと言い、鋼とコンクリート塊に圧殺されそうな程に息苦しい。そして、無機質とは言い、何処か有機的仄かな体温、体臭が感じられるのが、更に息苦しい。其の上、フィル・アンセルモ(’68年生)の咆哮(歌と言うより咆哮)は、有機極まりない「情念」、それも「負」の情念の如きものを撒き散らし、無慈悲なマシンのそのオイルの血液の中にその「情念」が沸々としているが如く感じられるのも、又更に息苦しい。もぅ、厭になるくらい息苦しい...のが、妙に嵌る。彼らの最高作は、モダンなヘヴィネスとハード・ロック的グルーブ感やキャッチーさ又叙情が、絶妙にバランスしていた前作「VULGAR DISPLAY OF POWER」だと思います。本作はこの前作に比せば、確かに地味で、ひたすらダークなヘヴィネスを突詰めるその楽曲も少々取っ付き難い感は否めず、評価も左程高いとは言えませんが、でも、彼等ほどの存在となれば、どの作品もハイ・レヴェル。「普通」のメタルには新鮮味が感じられん...等とお思いの方、SLIPKNOT等のモダンなへヴィ・ロックには結構馴染める、等とお思いの方には、逆にこのスタイル、合うのではないでしょうか。何せ彼らパンテラこそ、モダン・ヘヴィネス或いはラウド・ロック等と称せられる’90年代へヴィ・ロックの祖とも言われる存在ですから(彼ら自身は、飽くまで「へヴィ・メタル」であるとの拘りを示していたようですが)...。
 この圧殺激烈鋼鉄音塊に、興味のある方、身を委ねてみて下さい。息苦しさも極限に達した頃、ラスト・ナンバー"Planet Caravan"(BLACK SABBATHのカヴァー)が、貴方・貴女を、心地よい安堵の中へと、誘(いざな)ってくれますよ。

 ...’03年、以前より、アンセルモのアルコール・ドラッグ問題や彼のサイド・プロジェクト活動等により深まっていたメンバー間の溝は、遂に埋められることなく、バンドは解散。各人は夫々の道を進むこととなりました。其の中で、兄であるヴィニー・ポールと共に、新バンド「DAMAGEPLAN」で活動中だったギタリストのダイムバッグ・ダレルは、’04年12月8日、オハイオ州コロンバスのステージ上で、PANTERAファンの一人に射殺され、落命致しました(詳しくは此方を)。観客達の眼前で...兄の目前で...。彼は、ジャズ/ブルースのセンスも内包した、非常に懐の深いプレイヤーで、そのスター性と相俟って、嘗てロック界を牽引して来た、’70・’80年代のギター・ヒーローを髣髴とさせる存在でした。ただ、その技術は’70・’80年代のヒーロー達とは明らかに質を異にするような高度なもので、ギター・ヒーロー不在を言われた’90年代の中にあって、正にギター・ヒーローであったと、言えるような存在でした。合掌...

  '07 5/20

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭ ポップ度:♭♭
〔北米テキサス出身 「PANTERA」はラテン系言語で「豹」の意 official

*aura:ラテン語。所謂「オーラ」。ものが発する微妙で独特な雰囲気
*レックスとヴィニー・ポールのベース&ドラムス:このコンビは強力。個人的にはフロ・モーニエ&エリク・ラングロワ(CRYPTOPSY)、コージー・パウエル&ボブ・デイズリー(RAINBOW)、そしてジョン・ボーナム&ジョン・ポール・ジョーンズ(LED ZEPPELIN)のコンビに勝るとも劣らないHR/HM界きっての強力リズム隊のひとつ
*’70・’80年代のギター・ヒーロー:HR/HMで言えば、ジミー・ペイジリッチー・ブラックモアウリ・ジョン・ロートエドワード・ヴァン・へイレンアンガス・ヤングマイケル・シェンカーゲイリー・ムーアランディ・ローズ、ジョン・サイクス、イングヴェイ・マルムスティーン等など

LOOK AT YOURSELF/URIAH HEEP ルック・アット・ユアセルフ/ユーライア・ヒープ '71 order
ルック・アット・ユアセルフ/ユーライア・ヒープ 所謂「へヴィ・メタル」なグループではけっしてないのですが、この作品は、可也メタリックな音像。冒頭、タイトル・ナンバーで炸裂する、歪(ひず)んだオルガンによるリフと言い、全体に漲(みなぎ)る疾走感と言い、QUEENのルーツを知ることが出来る大仰で荘重なコーラスと言い、劇的な展開と言い、非常にへヴィ・メタリック。一般に、ユーライア・ヒープの最盛期は、この作品(3rd)から次作「DEMONS AND WIZARDS('72)」、次々作「THE MAGICIAN'S BIRTHDAY('72)」(及び次のLIVE盤)辺りとされ、彼らの最高作も、大体この3作の中から挙げられる場合が殆どなのですが、この3作中最もハード&へヴィなのが本作。他二作は、どちらもトータル・イメージを持つややプログレッシブ・ロック寄りのコンセプト・アルバム的作風で、アコースティック楽器がフューチャーされ、ポップさキャッチーさも前面に出、本作よりハードさは後退し全体にファンタジックなムードが強い。一般的ロック・ファンの方には、此方の方が馴染み易いかな...。(因みに、二作ともYESでお馴染みロジャー・ディーン作のジャケットが素晴しい)
 でも本作、幾らハードでメタリックとは言っても、全篇ギンギンギラギラしている訳では当然なく、基本は、キャッチーさを持ち、叙情と湿度を多分に含む、ブリティッシュなハード・ロック。やや、第一期DEEP PURPLE的アート・ロックな雰囲気も強いと感じます。線はやや細いが、繊細でナイーブなプログレッシブ・ロック的感性とでも言えましょうか(次作、次々作ではこちらの方が前面に出てくる)。同時代の他のハード&へヴィ系アーティストであり、このユーライア・ヒープと共に四大ブリティッシュ・ハード・ロック・バンドと称される事もあった、DEEP PURPLELED ZEPPELINBLACK SABBATH等に比し、そうしたにほいを感じます。
 この作品(或いはこの当時のこのバンド)の特筆点と言えば、なんと言ってもヴォーカルとコーラス。今は亡きデヴィッド・バイロン(R.I.P)の、ファルセット・ヴォイス(裏声)を多用し、これでもかのビブラートをかける、情感豊かで一寸ソウルフルなヴォーカルと、その高音ファルセットを活かしたコーラス。このコーラスをはじめて聴いたときは「クィーンみたい」と思いましたが、クィーンの方が後です。後にクィーンの専売のようになったコーラス・ワークのルーツを聴く思い。ロジャー・テイラー(QUEENのドラマー)のファルセット等、デヴィッド・バイロンのファルセットを彷彿とさせます。ただ、バイロンさん、声質がポップス・シンガーなのです(と私は感じます)。バンドの目指すハード路線にはそぐわない、と解雇された第一期DEEP PURPLEのロッド・エヴァンスに似ているのです。ややソフトで甘さの有る声質。其の辺り、コアなへヴィ系ファンには物足りなく聞こえてしまう場合もあるかもしれませんが、逆に言えば、ハードなのは一寸な...と言う方には聴き易いかと思います。
 もう一つ、忘れてならない特筆点は、メイン・ソング・ライターでもあるケン・ヘンズレーの、レスリー・スピーカーから溢(あふ)れ出る歪んだオルガン。なかなかに重厚。確かに、同時期のジョン・ロード(ディープ・パープル)や、キース・エマーソン(ELP)に比べれば、技術的には聴き劣りする感は否めませんが、迫力では全く退けはとらない。むしろカッコよさで言えば彼らより上かも。ギタリストが花形であった当事のロック・シーンにおいて、リーダーでもあるミック・ボックスのアンサンブル重視のギターが脇に徹し、キィボーダーが看板となる、特にハード&へヴィ系では稀有なスタイルとなっています。
 発表以来30年以上たつ今日も、当時と左程変わらぬ熱さで聴き継がれている上記ディープ・パープル、レッド・ツェッペリン、ブラック・サバスなどの同時期の作品に比し、現在この作品及び其の周辺の作品が余り聴かれないのは、一つには、これら3バンドに存在する、真のスター・プレイヤー、名実共にスターと言えるようなメンバーが存在しなかった、と言うことがあるかもしれません。リッチー・ブラックモアやジミー・ペイジクラスのギタリストがいたら、或いは、オジー・オズボーンやロバート・プラント級のオーラを発するヴォーカリスト、イアン・ギラン並の圧倒的歌唱力を持つヴォーカリストがいたら...大分変わっていたかも...と思ったりもします。また、もう一つ彼らの作品が聴かれることの少ない要因として、当時のサイケデリックな匂いが、他の3バンドと異なって仄(ほの)かに漂う為、一寸「時代」を感じてしまう様なところがあるからなのか、とも考えます。当時のサイケ文化を知る者にとっては、「ちょと古い...」と感じてしまうところが、正直無くもない。でも、サイケ文化を知らない方には、逆に新鮮かも。確かに、パープル・ツェッペリン・サバスのように、「時代」の中にありながら、その「時代」を超越した普遍的要素を多分に内包した存在ではないかもしれません。が、お聴きになって損は絶対にありません。ケン・ヘンズレーが歌うハード・ナンバー(アフロ・ロック・バンドosibisaメンバーによるパーカッションもgood)"Look At Yourself" 物悲しくも劇的で、デヴィッド・バイロンのヴォーカル特性が良く活きた、10分を超える大作(Manfred Mannがシンセサイザーで客演)"July Morning" ハードネスとドラマが融合した"Shadow of Grief"...と、名曲・佳曲も多い、少なくも、HR/HM道を極めたいとお思いの奇特な方には、必聴歴史的作品です。演奏面での充実度では、リー・カースレイク(dr)、ゲイリー・セイン(b)(R.I.P)参加の次作・次々作、全体的完成度の高さで言っても次作・次々作に一歩譲りますが、ハードさをお求めの方には、本作をお勧めします。

 '07 3/11

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お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔英国出身 結成30数年を誇る大ベテラン。グループ名は、チャールズ・ディケンズ(「クリスマス・キャロル」や「二都物語」で有名)の小説「デイビッド・コパフィールド」中の登場人物から命名。当時英国はディケンズ・ブームだったとか。しかし、三大名作国内盤が全て廃盤とは...哀しい... official

*アート・ロック:1960年代後半に生まれた娯楽性よりも芸術性を追求・重視したスタイル。日本のみの呼称・分類。個人的にはプログレッシブ・ロック一歩手前、と言う感じ
*第一期DEEP PURPLE:所謂「第二期=黄金期」を迎えるハード・ロック時代の一つ前。一般に評価は低いですが、それは第二期のイメージで見る限りにおいてで、繊細で「深い紫」的世界を現出させたなかなかに高レベルな作品(アルバム3作)。ロッドの解雇理由には諸説有る
*サイケデリック(psychedelic):LSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)等の幻覚剤により引起される幻覚や陶酔などの精神状態を表現した、音楽・美術・ファッション等の風俗・文化を指す。超現実的・夢幻的な音作りや、原色を多用した賑やかな視覚イメージ等で表現される場合が多い。1960年代から1960年代半ば辺りの一大ムーヴメント。初期PINK FLOYDの音楽、LED ZEPPELINの「LED ZEPPELIN III('70)」やSANTANAの「ABRAXAS('70)」のジャケット等に見られる
*レスリー・スピーカー:ロータリー・スピーカー。レスリーさん開発のホーンが回転することによるドップラー効果を利用しトレモロ効果やヴィブラート効果を得る、ロック界ではオルガン専用(とも言える)スピーカー
*Manfred Mann:1960年代英国で活躍したロック・バンド「マンフレッド・マン」のリーダー

FALL FROM GRACE/LIONS SHARE フォール・フローム・グレイス/ライオンズ・シェア '99 order
フォール・フローム・グレイス/ライオンズ・シェア 一聴、耳を捉えるのは、力強いヴォーカルとパワフルなドラム、そしてエッジの効いたギター・リフでしょう。その骨太な音像は、瑞典(北欧)のプログレ・ハード系バンド、と言う先入観を持って聴くと、「?...ちょと雰囲気違う...」となるかもしれません。
 ここで聞かれる、輪郭のはっきりとした、力強い、張りも華もあるアンディ・イングベルグのヴォーカルは、デビュー(アルバム・デビューは’95)当時から彼らのウリであったようですが、これ以前の作品(1st、2nd)は、サウンド的にはもう少しキャッチーなにほい漂うスタイルだったようです(ボーナス・トラックとして収録されている"Lions Share"は、これ以前のテイストが良く現れているらしいのですが、確かに他の曲に比し親しみ易いソフトさを持っています)。でも、この作品は、非常にメタリックでダーク&へヴィ。BLACK SABBATH的暗黒テイスト、JUDAS PRIEST的邪悪さ、そしてRAINBOW的叙情とドラマ...。「古き良き」「正統」を血肉とした、非常に良質なHR/HMサウンドを提供してくれています。ただ、上に「プログレ・ハード系...」と書きましたが、プログレ色は、左程濃くはありません。複雑な展開、リズム・チェンジ、また変拍子等の「プログレ」っぽさ或いは「プログレ・フィーリング」的要素は確かに持っていますが、少なくもこの作品を聴く限り、例えばDREAM THEATER的なテクニカルさやごっつい「プログレ」さはなく、ドラマティックでメロディアスなプログレ風味のへヴィ・メタル、と言う感じでしょうか。若干の曲の弱さは否めませんが、プロダクションは良好で、演奏レベルも非常に高く、派手さはないものの、「味わえる」作品に仕上がっています。全体にミドル或いはスローな楽曲が多い為、メタル慣れしていらっしゃらない方にも、比較的違和感無く聴いて頂けると思います。因みに、プログレ的展開とポップ感及びコーラスが印象的な6曲目"The Day The Earth Caught Fire"は、CITY BOYと言うUKバンドの’79年発表の同名アルバム収録曲の結構忠実(と思う)なカヴァー。又8曲目の"A Touch Of Evil"は、JUDAS PRIESTが’90年に発表した「PAINKILLER」収録曲のカヴァーです。
 この作品発表当時、某雑誌のインタビュー記事で読んだのですが、実はリーダーのラーズ・クリス(g)以外のメンバーは、別に職業を持つ方々で、謂わばセミ・プロの集団だと言うことでした(現在は不明)。「他のメンバーと違って僕(ラーズ)は別に仕事を持っていないし、ガール・フレンドもいないからレコーディングに専念できるんだ」云々...と言うような事を仰っていたように記憶しています(間違えていたら御免なさい)。彼らの住む瑞典では、これまた、やや曖昧な昔のインタビュー記事(他のバンド)の記憶で申し訳ないのですが、芸術活動に対する国からの補助が受けられる為、バンド活動をしていれば、機材を揃える等も出来るし、贅沢さえしなければ最小限生活には困らない...のだそうです。日本人の好みに合う所為なのかも知れませんが、瑞典からは非常に多くのHR/HMアーティストが次々と紹介されています。良質なバンドも多い。その秘密は、そこら辺りにもあるのかもしれません。日本もそれくらいやってほしいものです。でも、瑞典、その代わり税金が高いのか...。消費税25%か...(食品は12%)。でもその分様々な社会保障が得られると...。高くても、払って良かった...と思える使い方をされているなら、良いのだよな。

 '07 1/21

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お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔瑞典出身 オフィシャル・サイトで見ますと、ラーズ・クリスの好きなバンドは、KISS、BLACK SABBATH、JUDAS PRIEST、RAINBOW、DEF LEPPARDとなっています。成程...ですね。KISSやDEF LEPPARD的な親しみ易いハード・ロック味は初期の頃比較的前面に出ていた、と言う事なのでしょうか。じゃあプログレ味はどこから...?と見ると、好きなべーシストにゲディ・リー、好きなドラマーにニール・パートの名前があります。RUSHが好きなのか... official

*プログレ・ハード:プログレッシブ・ロック的テイストを持つハード・ロック
*瑞典のHR/HMバンド:EUROPA SILVER MOUNTAIN MERCYFUL FATE EDGE OF SANITY YNGWIE J. MALMSTEEN ENTOMBED THERION IN FLAMS ARCH ENEMY DARK TRANQUILLITY  MESHUGGAH NOCTURNAL RITES HAMMERFALL SOILWORK PAIN OF SALVATION DARKANE THE HAUNTED MAJESTIC 等々

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