MYSTIC RHYTHMS

Heavysphere '08年版
◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆

ヘヴィ・メタル、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、クラシック等について語らせていただきます。
                                                                                                                                    
Profile

*時々加筆・訂正をする事があります。ご了承ください。
*
凡例

ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い

†・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・†

REQUIEM/WOLFGANG AMADEUS MOZART
レクイエム ニ短調 K.626/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト 
order
レクイエム ニ短調 K.626(ベーム) 「レクイエム」。ラテン語で「安息を」の意。カトリック教会で、死者の安息を願って執り行われるミサ若しくは、そのミサに用いられる聖歌を指す。よって、この作品の題名は、「死者の為のミサ曲」とするのが正確かも知れません。モーツァルトが、生涯最後に手懸けた作品です。

 正確なところは定かではなく、単なる推測ですが、ビートルズよりもマイケル・ジャクソンよりも、そしてプレスリーよりも、沢山レコードやCDを売りまくっているのは、モーツァルトではないのか?と私は密かに 思っているのですが、どうなのでしょう。モーツァルトの場合SPレコード時代からの累計ですから、可也不明部分が多く判り難いとは思いますが、文字通り桁違いの多さなのではなかろうか?生前から今で言うヒット・メイカーとして、曲(この場合楽譜)を売り捲くり(又弾き捲くり)、死後200年以上経た今も、人気投票をすればほぼ一位確実という人気者。その「神に愛された(モーツァルトの通称「アマデウス」は彼の名に含まれる「神に愛された者」を意味するtheophilusをラテン語に置き換えたもの)」彼の、絶筆となった作品がこの「レクイエム」です。
 「神に愛された」人気者モーツァルトも、常に順風満帆であった訳では当然なく、亡くなるまでの数年は、人気も凋落し、落魄し、やがては体調も崩し、1791年、35歳で生涯を閉じることとなります(死因は毒殺説等多々ありますが一般にはリウマチ熱であるとされています)。その死期迫る病の床で、第1曲「入祭誦」と第2曲「キリエ」を完成させ、第7曲(第3曲第5部)セクエンツィア「呪われた者」まで及び第9曲(第4曲第1部)奉献誦「主イエス・キリスト」、第10曲(第4曲第2部)「犠牲と祈りを」の主要部分のスケッチを書き、そして第8曲(第3曲第6部)セクエンツィア「涙の日」の八小節目までを残し、息を引き取ったとされています。細かく分けてこの作品、14曲(7曲14部と言う捉え方もある)より成るのですが、モーツァルトが完成させたのはその内の最初の二曲のみ、残りは彼のスケッチ(合唱部分等)と彼の指示に基づき、弟子のフランツ・クサヴァー・ジュスマイアーが補筆し完成させたものと、一般にはされています。
 ...1791年8月、他人の作品を自身の作品として発表することを趣味とする、フランツ・フォン・バルゼック伯爵から2月に亡くなった奥さんマリアの為の「レクイエム」作曲の、匿名による依頼が舞い込み、困窮していたモーツァルトは作曲料の半分を前金として受取り引受けました。そして9月中には、製作中のオペラ「魔笛」を完成させ、レクイエムに取り掛かります。ところが、体調は崩れがちで、11月にはもう床を離れることもできなくなり、死期を悟った彼は、この曲の依頼を届けた灰色の服の男(実際は伯爵の知人)に促され、自身の為のレクイエムを書いている、と考えるようになったとも伝えられています(これについて書れたロレンツォ・ダ・ポンテ(伊太利亜の詩人・作家。「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」等の台本作家)宛て書簡の真偽は定かではない)。
 筆も執れなくなった死の床で彼は、ジュスマイアーに指示を与えつつ、レクイエム完成を目指しますが、12月5日未明、終に、今も愛される多くの作品を残し、世を去ります。
 困ったのは、奥さんのコンスタンツェ。お金はないし、レクイエムは前金だけ受け取って未完のままだし。と言うことで、先ず生前のモーツァルトが音楽家として高く評価していた友人ヨーゼフ・アイブラー(F.J.ハイドンも高く評価していたとか)に、そして彼がモーツァルトと言う重圧に屈して手を引いた後は、弟子のジュスマイアーに托し、完成させ、無事依頼者である伯爵に手渡し、報酬を得、作品もモーツァルト作として後に出版され、現在我々が拝聴できることとなりました...。

 お弟子さん補筆ということで、様々な批判も有り(ジュスマイアーへの批判に対しベートーヴェンは彼を擁護したという)、また興味を削がれる部分もあるやも知れませんが、モーツァルトの名作の一つと言えるだけのものは、あると思います。上記にあるような、作品誕生に関わる経緯(或いは物語或いは伝説)を知っても知らずも、少なくとも私のようなメタル馬鹿なメタル耳には、このへヴィさダークさ、荘厳さ、彼が完成させた第1曲・第2曲を聴くだけでも、十分ズッシリと響きます。
 一般に、メタラー(メタル・ファン)の方々にはクラシック・ファンが多いとは言い、バッハやベートーヴェン等荘厳或いは重厚系が主で、明るく軽快な作品の多いモーツァルトのファンと言う方は少ないかもしれませんが、この作品は、自信を持ってお勧めできます。オーケストラを従え、独唱或いは合唱が、時に激しく時に静かに、祈り嘆き慟哭し...と言う形ですが、オーケストラには一般に使用される、フルート、オーボエ、クラリネットは音色が華やかと言う理由から使用されておりません(現在クラリネットは使われる)。モーツァルトが全く関与していない11曲目(第5曲第1部)「サンクトゥス」以降(最終曲である「聖体拝領誦」には第1曲目、第2曲目が使用されている(当事のミサ曲では通例らしい))、失礼ながら若干インパクトに欠ける感はありますが、歳月経た壮麗な石造建築を仰ぎ見るかの如きヴィジュアル感は、ラプソディ・オブ・ファイアやブラインド・ガーディアン等お好きな方には、特に良いかも。第3曲(第3曲第1部)「怒りの日」等、ルーツを聴く思いがするかも知れません。

 「人間をからかう為に悪魔が発明した」モーツァルトの音楽にしては、余りに厳粛な作品。死は人間の真実の最上の友、と語ったモーツァルトの、からかう如き軽快さの向こうに時折見え隠れする、ダーク・サイド。もしかしたらそれが、彼の真実の姿なのかも...とも思ってみたりします。

 Requiem for Hiroshima and Nagasaki

  '08 haduki/6
 --------------------------------------------------------------------------------
お気に入り度:♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭ 硬度:♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔これは、カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱連盟他による1971年4月13・14日、ウィーン、ムジークフェラインザールでの録音です。他に様々な盤が出ていますが、当盤の他にカラヤン指揮のベルリン・フィルの1975年盤リッカルド・ムーティ指揮のベルリン・フィル盤等も有名。因みにこの曲、ショパンの葬儀(本人の希望)や、J.F.ケネディ、ベーム、カラヤン、そしてベートーヴェンの追悼ミサで演奏されています〕

*人気:モーツァルトが一般的に人気が高くなるのは第二次大戦後でそれ以前は、クラシックと言えばベートーヴェン!で、彼の先輩であるモーツァルトも彼の師匠であるF.J.ハイドンもベートーヴェンの御蔭で光が当たる存在、とか、ベートーヴェン以前の幼稚な音楽、等ということも言われたりしたこともあるそうな
*ヨーゼフ・アイブラー:1833年、この「レクイエム」の指揮中脳卒中で倒れそれまで務めていたオーストリア宮廷音楽家の座を退くこととなったそうです
*SPレコード:"Standard Playing"の略。欧米では"78rpm record(78回転レコード)"と呼ばれる。ある種のカイガラムシの分泌物を精製した「シェラック」という物質から作られ、衝撃に弱かった。19世紀末から1960年代頃まで使用されていた
*ラプソディ・オブ・ファイア、ブラインド・ガーディアン:ラプソディ・オブ・ファイアは伊太利亜の荘厳系メロディック・スピード・メタル。オーケストレーション多用のシンフォニックな作風。ブラインド・ガーディアンは独逸のパワー系メロディック・スピード・メタルの老舗。勇壮華麗なコーラス・ワークが特徴。どちらもドラマティック&ファンタジック
*リウマチ熱:連鎖球菌の感染が原因により起こる炎症反応。心臓病変を伴う場合がある
*人間をからかう為に悪魔が発明した音楽:ゲーテがエッカーマンに語った言葉。小林秀雄「モオツァルト」冒頭にある
*明るく軽快な曲:当事の音楽家は依頼に従って曲を作り「売る」、ライヴを行って収入を得る、という部分が大きかった為、当時の聴衆に受け容れられ易かった明るいメジャー・キィの曲が多くなったと言われています
*死は真実の最上の友:1787年4月4日病床の父レオポルド(5月死去)宛ての書簡にある。彼が父と共に入会したフリーメイソンリー的死生観とも言われる
*フリーメイソンリー
(freemasonry):中世英吉利の石工(メイソン)職人組合を起源とする慈善・社会福祉活動等も行う世界的友愛団体。ナポレオン、ゲーテ、ベートーヴェン(否定説有り)、F.J.ハイドン、フランツ・リスト、ジョージ・ワシントン、ウィンストン・チャーチル、蒋介石、吉田茂等々、歴史的著名人も多数会員であった

SKID ROW/SKID ROW '89
スキッド・ロウ/スキッド・ロウ 
order
スキッド・ロウ/スキッド・ロウ 我が家は昨年暮れ辺りから、碌な事が無い。家族が病気続き。
 まずは、ネコの巴さんの鼻炎が例年に無くひどくトータル二週間以上は、獣医さんに通いました。慢性なので、完治と行きませんが、まあ通年の状態に戻り一段落...と思いきや、これまたネコの式部が、唾液腺が化膿し腫れてしまい通院。後、手術。その後も暫く通院。やっとエリザベス・カラーもはずれ、よかったよかった...と思ったら、今度はヒトの家族がテラスで転倒。頭部を強打し、脳挫傷で意識障害を起こし、近所の病院のER(救急)のお世話になってそのまま入院。精神が不安定な為、私も病院に付き添って泊まるなどもしました。退院して後も、いつまた症状が出るやら...という不安や、以前よりも多い家事(と言っても専業の方に比べたら少ないでしょうけど)などで、疲れがたまっていたのでしょうか、やっと普段通りに生活できるようになって、あぁ〜あよかった...と安心したとたん、今度は私が、智歯周囲炎で発熱ダウン...。下顎左と上顎左の二本の智歯、すなわち親知らずが同時に疼きだし、今までの人生で経験したことの無い激しい痛みに悶絶。親知らず周辺の炎症で口が開かず、ものも食べられず、発熱し全身のだるさ、また眩暈などで終にダウン...。先月末から今月始め頃のお話です。
 で、抜歯しました。二本とも(両方虫歯)。今これを書いている現在、まだ、縫合した糸が口中にあります(もうすぐ抜歯の抜糸)。
 ...それは解ったけど...スキッド・ロウとその病気やら親知らずやら、何の関係があるの...?ですよねぇ。
 実は私、血に関して可也のビビリ。下顎の親知らずは完全に水平に生え且つ歯肉に半分以上埋もれている(水平埋伏智歯)ため、抜歯は、歯肉を切開し邪魔になる骨を削ってからでなければ行えない。痛みに関しては、それは其れなりに痛いだろうな、くらいの感じなのですが、血液に関してはどれ程流血するのやら...と考えただけで、眼前が暗くなる...。血はまともに凝視することが出来ないだけでなく、匂いも味も駄目。あぁ口中で手術だなんて...と、抜歯不可避と決しても、なかなか決心が付かない。で、悶々とする数日間、親知らず抜歯に関するweb情報を集めながら、テンションだだ下がりの我が情なき心を鼓舞する為に、聴き捲くって居ったのですよ、この作品を。

 スキッド・ロウは、1980年代的HR/HMのムーヴメントの、最後に現れ、若干先輩のGUNS N' ROSESと共に大輪の華を咲かせたバンド、と言えるかもしれませんね。この後、HR/HMは、PANTERAのメジャー・デビューやMETALLICAの「METALLICA」アルバムのリリースなどで、殊更にダークでへヴィな'90年代的モダンなスタイルへと急速に方向転換して行くことになりますが、此方などは'70年代から受け継がれるR&Rテイストの明るく軽快なサウンド。
 とは言い乍(ながら)、矢張り'90年代にも掛かる時代、それなりのモダンさも持ち、兄貴分であるボン・ジョヴィ等よりは同系等ながら大分にへヴィで一寸ダーク。荒削りで骨太。何者にも怯(ひる)まないパンク的突進力と、親しみ易いキャッチィなメロディーを兼ね備え、マッチョな男くささとバラードに見られる繊細さも同居。デビュー作にして相当な完成度。次作では全米チャート一位を勝取りますが、宜(むべ)なるかな...。
 この作品、楽曲も演奏も申し分なく、プロダクションも(デビュー作にしては)悪くない。非常に優れた点の多いへヴィ系ビギナーの方にはお薦めの作品。中でも一押しの点は、ヴォーカル。当時21歳のセバスチャン・バック(バッハか?)の、美少年然としたそのグッド・ルッキングな外見とは相反するような、ワイルドでパワフルな歌唱。声量もあり、豪快なシャウトからバラードの囁きまで、幅広い表現力と、ロッド・スチュアートやロバート・プラント、アクセル・ローズ等などの歴代スター・ヴォーカリストにも一歩も引けをとらない「華」とカリスマ性を持った逸材。が、残念ながら、他四人(デイヴ・セイボ(g)、レイチェル・ボラン(b)、スコッティ・ヒル(g)、ロブ・アフューソ(ds))のメンバーとは異なり、一人加奈陀出身ということもあったのか、セバスチャンと他メンバーとの不和が取り沙汰されることも多く、結局'98年セバスチャンと他四人が対立する形で分裂。事実上解散と言う事態になってしまいました。
 セバスチャンを擁した彼らの作品は、僅か3作(ライヴや編集ものを除く)。惜しい...けど、仕様がないですね、様々の優れたグループがこうした問題で分裂・解散を繰り返してきました。人と人との関係はホント、難しい...。

 この作品の明るさと力強さ(と友人・知人のお言葉)に、大分助けられ、何とか抜歯できましたよ...。心配した口中の血の問題ですが、抜歯中は、歯科助手の方が常に、洗浄・冷却水や唾液と共に血液を吸引機(この音が可也デカイので気が紛れました)で処理してくださったので、全く問題なく大丈夫でした(麻酔が十分に効いていますので痛みは全くありません)が。でも、手術後、止血されるまで(≒20分待合室で待機)に滲んでくる血液の味に、何度かクラッと来ました。実際はほんの僅かな量なのですが、私には大量に感 じられてしまったのですよ。ええ歳してホント情けない...。

  '08 uduki/21
 --------------------------------------------------------------------------------
お気に入り度:♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭ 技巧度:♭♭ 旋律度:♭♭♭ ポップ度:♭♭♭♭
〔米国NewJersey出身。デイヴの旧友であるジョン・ボン・ジョヴィのバックアップを得てデビュー。2000年新メンバーで復活、今も現役。フィル・ライノット、ゲイリー・ムーアが在籍した同名のアイリッシュ・バンドがありましたね 
official

*エリザベス・カラー:動物がキズ口をなめたり掻いたりする事を防ぐ為首に装着するプラスティック製器具。16世紀英吉利エリザベス朝時代の人々の装飾用の大きな襟に似ることから
*親知らず:上顎および下顎の第三大臼歯(一番奥の奥歯)。成人し親の管理を離れる頃或いは平均寿命の短かった時代親が亡くなった頃はえてくるので、「親知らず」と呼ぶと言うのが一般的説。英語では"wisdom tooth"なので「知(智)歯」
*智歯周囲炎:親知らずは正常な向きや位置に生えることが少ない為周囲が不潔になり易く炎症を起こすことが多い。この炎症が智歯周囲炎。普段は軽い痛みを感じる程度だがストレス過多になったり体力低下時等は症状が重くなり激しい痛みのほか口が開かない・顎が腫れる・発熱するなどの諸症状が現れる。繰り返し再発する場合が多いため原因となる歯の抜歯を行うことが多い
*ロッド・スチュアート:JEFF BECK GROUPでデビューしたハスキー系No.1ヴォーカリスト
*ロバート・プラント:LED ZEPPELINのヴォーカル。セクスィー系No.1
*アクセル・ローズ:GUNS N' ROSESのお騒がせヴォーカル。大好き
*フィル・ライノット:THIN LIZZYのリーダー。アイルランド出身。駆け出し時代のU2の恩人とか。1986年病没
*ゲイリー・ムーア:アイルランドの英雄的ギタリスト

RAINBOW RISING/BLACKMORE'S RAINBOW  '76
レインボー・ライジング/ブラックモアズ・レインボー
 order
レインボー・ライジング/ブラックモアズ・レインボー  日本初のHR/HM専門誌として生まれ、現在も高い人気を誇る「BURRN!」誌の、三年前のバックナンバーを先日某古書店でちらと拝見させて頂いたのですが、その中に、「永遠の名盤300選」なる記事を発見(「HR/HMの名盤」300選と言うことです。通巻300号記念企画)。「納得!」「なんで此れが入ってあれが無いの?」等々賛否ありますでしょうが、まぁ錚々(そうそう)たるバンドの錚々たる作品が並んでおりました。その錚々たる作品達の中で、見事一位に輝いて居ったのが、この作品。’70年代からHR/HMを聴いて来た私的には、この作品の歴史的存在・意義を、また内容を考慮すれば、頷ける結果でした。下に上位作品を上げておきます。確かにBURRN!誌自体が、メタルおやじの私の眼にも、最近は一寸懐メロ的懐古主義が感じられなくもないので、若いへヴィ・ロッカーの方々には、この結果には少々不満もあるかとは思いますが、20年、30年メタル耳を培って来られた、謂わばHR/HMマイスターの方々のご意見です。参考にしても損は無いと思いますよ。
 と、それはいいのです。名盤300選で一位になろうとなるまいと、「古いアルバムを何を今更...」と言われ様と、それはそれでよいのです。ただ、上記記事を見たことが一つの切っ掛けで、久しぶりに、"Stargazer""A Light In The Black""Starstruck"等当アルバムの収録曲を聴き、改めてこの作品から受けた感銘。それを伝えたい。そう思ったのです。この作品に漲(みなぎ)る音魂(おとだま)...我が文章力でどれ程伝えられるか、自信は有りませんが。

 上にアーティスト名が「ブラックモアズ・レインボー」となっていますが、元ディープ・パープルのギタリスト、リッチー・ブラックモアが、ディープ・パープル脱退後、ELF(エルフ)と言うアメリカのバンドからギタリストを除いた形で立ち上げたバンド「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」の、「リッチー」がとれたもの。当初の、リッチーとそのバック・バンド的性格が、やや、ややですが、リッチーと他メンバーとが対等(対等に近いと言った方が正確か)な存在となり、真のバンド形態へと近づいています。リッチーと対等(に近い)と言っても、そう言えるのはヴォーカルのロニー・ジェイムス・ディオとドラムのコージー・パウエルの二人ですが...。でも、この二人のバンドにおける存在の大きさは、この二人が脱退した後、またバンドは、リッチーとそのバック・バンド的形態へ戻ってしまうことに現れているように私には感じられます。
 本作(全英11位.全米48位)は、リッチー独立後リリースした「リッチー・ブラックモアズ・レインボー」に続く第二作。前作は、アルバム・ジャケットにも良く現れていますが、ファンタジックな色合いの強い一寸大人しめの作風。良い曲も多い佳作と言えると思いますが、リッチー及びロニーと、他メンバー(要するにELFのメンバー)との力量の差が、失礼ながら大きく、迫力には残念ながら欠けています。しかし、本作で大変身。前作からのファンタジックな繊細さを根底に継承しつつも、一気に骨太で筋肉質なハード・アンド・へヴィ世界を現出させています。この変身には、コージーの参加が大きく影響していると言って良いでしょう。なんてったってスゴイ。上手いとか如何とかではなく、とにかくスゴイ。ゴイスー。はじめてこの作品でコージーのプレイに接したときは、「衝撃」の一言。リッチーのギターも素晴しいし、ロニーのヴォーカルも同様素晴しい。でもコージーは「スゴイ」。ギター、ヴォーカル、そしてドラム三者の緊張感に満ち満ちたバトルの素晴しさがこの作品の最大のウリとは言い、はっきり言って、本作における主役は、彼、コージー・パウエルです。
 "鬼神"の異名をとるへヴィ・メタル・ドラマーの「神」的存在、デイヴ・ロンバード(現SLAYER)の、「SOUTH OF HEAVEN('88)」でのプレイを、恥ずかしながら最近はじめて、拝聴したのですが、コージーを1.5倍速にして音数も1.5倍したみたい...との印象を持ちました。コージーのプレイ、特にこの作品でのプレイは、後々のメタル・ドラムに多大な影響を与えているように思います。ドラム缶を引っ叩いているが如きスネアやバスドラ、ガラスを叩き割っているが如きシンバル...これぞ「メタル」ドラム(而もその正確さが金属的整合感を醸し出す)。確かに、フュージョン・ジャズ系の繊細なプレイを好まれる方には、大味に感じられるかもしれませんけど...。
 と、コージーのドラムばかり持ち上げていますが、作品自体非常に完成度の高いもの、と言うよりHR/HMはここに一つの完成を見た、と言っても過言ではない内容。アナログ盤後半(B面)の計16分以上に及ぶ二曲、"Stargazer"と"A Light In The Black"の結晶純度の高さに、それは如実に現れている(ただ、全体を通しベース(ジミー・ベイン)とキィボード(トニー・カレイ)の音が小さいのが個人的にはちと残念)。’70年代にこの作品を聴き、その後、’80年代、’90年代そして’00年代と、数多のHR/HM作品を聴き、改めてこの作品に回帰してみれば、見えて来ますよHR/HMの歴史の中におけるこの作品の存在の大きさが。ファンタジックな詞、ドラマティックな楽曲、高度な演奏力に裏打ちされたパワフルで攻撃的な演奏・歌唱、そしてそれらを体現した様なジャケット・アート(ケン・ケリー作)。HR/HMの歴史を変えた一枚、と言うよりは、歴史を作った一枚。そう言い得ると思います。ナウでヤングなへヴィ・ロッカーにも是非聴いて頂きたい。確かに、パンテラや、マリリン・マンソン、或いはスリップノットやヘルメットなどなどのモダンなへヴィ・ロックを聴き馴染んだ耳には、一聴なんとも古式蒼然(こしきそうぜん)とした音楽に聞こえるであろうことは、想像がつきます。私自身、正直、「古くさ〜」と思いましたよ。久しぶりに聴いて。最近マリリン・マンソンやヘルメットを聴いていたので。でもね、時代の幾重もの細かーいフィルターの網の目を掻い潜って来た作品には、何かがあるのですよ。多分、きっと...。一般的には”様式美”と呼ばれるスタイルのオリジネイターとも言える本作。”様式美”と冠されるような方法論・技法は、バンド(リッチーと言った方が良いか)がイメージするものを具現化するにおいての必要から生まれた、謂わば実用的なツールであったのでしょうが、後々には、一つのスタイルとして固定化され、実用を離れ装飾へと流れていく過程で、プログレ(プログレッシブ・ロック)同様徐々に線の細いものへと変わってしまいます。でも、其処はオリジネイター。本作は、音が如何のというより、骨格が太い。装飾的なサウンドではあるのだけれど、その煌びやかな装飾の向こうに、無骨な骨組みがはっきりと感じ取れる。
 上記のように、HR/HM特に濃厚コテコテ系では聖典とも仰がれるこの本作ですが、次作(「LONG LIVE ROCK'N'ROLL」)からリッチーのアメリカ志向、ポップ志向が疼きだし、次次作(「DOWN TO EARTH」)で一気に判り易いハード・ロックに転換。此れについて行けないコージーは、’80年第一回モンスターズ・オブ・ロックでのステージを最後にバンドを離れます(このステージは伝説的存在で、コージーとの別離を悲しむ当時のヴォーカル、グラハム・ボネットが、「コージー・パウエル!! コージー・パウエル!! コージー・パウエル!!」と叫ぶシーンは涙なくしては聴けましぇん)。この後の各作品も其々に素晴しく、新たなファンも獲得し、日本でもHR/HMを代表する人気バンドへと昇って行くのですが、初期からのファンは、RAINBOWはロニー、コージーの在籍する次作(その前にLIVE盤がありますが)まで、或いは一歩譲ってコージーの居る次次作まで、と言う方も多いかもしれません。ただ、後の作風がポップになって行くとは言い、クラシカルでテクニカルなリッチーらしさは、随所に垣間見え消える事はありませんけれどね。

 この作品、素晴しいも素晴しいのですが、私個人的に、非常に思い入れの強い作品でも有ります。
 引きこもり時代、この「RAINBOW RISING」と、QUEENの「A NIGHT AT THE OPERA」が私の友でした。閉じこもった部屋の中で、ヘッド・フォンでどれ程繰り返し聴いたでしょう(引かないでね)。前者の持つバロック音楽的或いは中世欧羅巴的雰囲気、また後者の持つ欧州貴族的雰囲気に大分に影響されて抱くようになった欧羅巴への憧憬の念は、未だに引き摺っていますね。当時カセット・デッキが無く、テープにダビングすることも叶わなかった為、両レコードは、もうキズだらけのノイズだらけ。でも、それまで私の音楽世界を満たしていた、KISSとAEROSMITH、彼らとはまた異なる姿、ロック音楽の芸術性と言う側面を私に示してくれた両作(キッスもエアロも好きですが)。私にとっては特別な存在として、もう流石にターン・テーブルに載せることはありませんが、今も変わらず、棚に収まっています。暫く前までは、引きこもり時代をリアルに思い起こさせる両作は、余り聴く気にはなれませんでしたが、最近ようやっと、虚心で聴く事ができるようになり、両作の素晴しさを改めて味わっておる次第です(デジタルで)。時が流れた...と言う事でしょうか...。

  '08 mutuki/7
 --------------------------------------------------------------------------------
お気に入り度:♭♭♭♭  ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭
〔英国出身。当初レコード会社からの要望で「リッチー・ブラックモアズ」としたらしい。本作では「リッチー」がとれ次作以降は「レインボー」のみとなる。が、リッチー師匠の性格故なのか実質「リッチー・ブラックモアズ」的雰囲気はバンド消滅まで付いて回る コージーofficial リッチーofficial ロニーofficial

■「永遠の名盤300選」上位30
一位
RAINBOW/RISING '76
二位
JUDAS PRIEST/SCREAMING FOR VENGEANCE '82
三位
IRON MAIDEN/IRON MAIDEN '80
四位 
METALLICA/MASTER OF PUPPETS '86
五位
DEEP PURPLE/IN ROCK '70
六位
QUEENSRYCHE/OPERATION:MINDCRIME '87
七位
GUNS N' ROSES/APPETITE FOR DESTRUCTION '87
八位 MOTOLY CRUE/DR.FEELGOOD '89
九位
BLACK SABBATH/HEAVEN AND HELL '80
十位 WHITESNAKE/WHITESNAKE '87
十一位
LED ZEPPELIN/LED ZEPPELIN '69
十二位 DEF LEPPARD/HYSTERIA '87
十三位 ALCATRAZZ/NO PAROLE FROM ROCK'N'ROLL '83
十四位
VAN HALEN/VAN HALEN '78
十五位
QUEEN/A NIGHT AT THE OPERA '75
十六位 BON JOVI/SLIPPERY WHEN WET '86
十七位
ACCEPT/METAL HEART '85
十八位
MICHAEL SCHENKER GROUP/MSG '81
十九位 AEROSMITH/ROCKS '76
二十位 KISS/ALIVE! '75
二十一位 BLACK SABBATH/
MASTER OF REALITY '71
二十二位 IRON MAIDEN/
THE NUMBER OF THE BEAST '82
二十三位 JUDAS PRIEST/DEFENDERS OF THE FAITH '84
二十四位
OZZY OSBOURNE/BLIZZARD OF OZZ '80
二十五位
HELLOWEEN/KEEPER OF THE SEVEN KEYS Part2 '88
二十六位
FAIR WARNING/FAIR WARNING '92
二十七位
SLAYER/REIGN IN BLOOD '86
二十八位 MOTORHEAD/ACE OF SPADES '80 
二十九位 VAN HALEN/5150 '86
三十位 GARY MOORE/CORRIDORS OF POWER '82
・名盤順位は
BURRN!レビューファンサイトさんのページから拝借致したしました。大半が’80年代の作品なのは、HR/HMが最も熱を帯びていた時代ですから、当然でしょう。また’60・’70年代作品はHR/HMのオリジネイターの方々の作品ですからこれまた当然ですね。三十一位以降は是非此方のサイトで

*モンスターズ・オブ・ロック:’80年から’96年まで英国ドニントンにてほぼ毎年開催されていたHR/HM系アーティスト大集合の大イヴェント。記念すべき第一回のトリがRAINBOWでした
*濃厚コテコテ系:私的には「様式美」と同義に近いニュアンス。HR/HM歴ン十年の甲斐も無く「様式美」の定義が昔からいま一つ良く解らないのですが、クラシカルで大仰でドラマティックでメロディアスでテクニカルで歌詞や衣装に生活感がない...と言った様なイメージで、個人的には捉えています

†・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・∽・†


:HeavyMetal :HardRock :ProgressiveRock :その他(Rock音楽以外も含む)
(あくまで主観に依る分類です。色の違いに特に意味はありません)
表示は アルバム・タイトル/アーティスト名  アーティスト名に続くのは作品発表年
お気に入り度:♭結構お気に入り ♭♭可也お気に入り ♭♭♭相当お気に入り ♭♭♭♭凄くお気に入り
        ♭♭♭♭♭棺桶に入れてほしい位お気に入り
ビギナーお薦め度:♭一寸無理です ♭♭どうかな… ♭♭♭どうぞ ♭♭♭♭是非聴いて下さい
           ♭♭♭♭♭是が非にもお聴き下さい
重度(ヘヴィさの度合い):♭左程ではない ♭♭まあまあ ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
              ♭♭♭♭♭尋常ではない
硬度(ハードさの度合い):♭左程ではない ♭♭まあまあ ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
              ♭♭♭♭♭尋常ではない
暗度(ダークさの度合い(雰囲気のヘヴィ度)):♭暗くはない ♭♭一寸 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭可也
                           ♭♭♭♭♭呆れるほど
技巧度(演奏超絶度):♭そこがウリではない ♭♭(失礼ながら)意外と ♭♭♭普通 ♭♭♭♭可也
             ♭♭♭♭♭尋常ではない
旋律度(メロディアス度(旋律の美しさ)):♭ないに等しい ♭♭若干 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
                        ♭♭♭♭♭あふれる程
ポップ度(親しみ易さ):♭ない ♭♭若干 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭結構 ♭♭♭♭♭可也
(以上すべて5段階評価(独断及び偏見))
(vo):ヴォーカル (g):ギター (b):ベース (ds):ドラムス (key):キィボード
HR/HM:ハード・ロック/へヴィ・メタル プログレ:プログレッシブ・ロック メタラー:ヘヴィ・メタル・ファン
official:オフィシャル・サイト 試聴出来る所も多いので是非
order:CD販売サイトへ移動します
(クリックしても注文にはなりません。移動するのみです)

◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆▲◆▼◆

Heavysphere 最新版 
Heavysphere '09年版 
Heavysphere '07年版 
Heavysphere '06年版 
Heavysphere '05年版 
Heavysphere '04年版 
Heavysphere '03年版 
Heavysphere '02年版 
Heavyじゃないsphere 

kitanohanare     "ρ    −Rho−"     link                                                                                                                                    "mystic rhythms" home