MYSTIC RHYTHMS

「ヘヴィ・スフィアー」Hard Rock, Heavy Metal, Progressive Rock & Classic
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「ヘヴィ・スフィアー」と読みます。へヴィな領域、と云った意味の造語です。僕が勝手に「Heavy系」と呼んでいるHeavyな音楽。ヘヴィ・メタル、ハード・ロック、プログレッシブ・ロック、そしてクラシック(サウンドは左程ヘヴィと言う訳ではないが「内容的には可也Heavy」といったものも含む)を中心に、最近よく聴いている作品を紹介したいと思います。「Heavy系」ではないけれども「これはHeavyだ」と思った作品も含まれます。よって並びもばらばらですし、ジャンルも余り特定されていません。ご了承下さい。

まったくの趣味の領域(sphere)です。可也個人的嗜好に偏っておりますし、又音楽的知識・情報も豊富とは言えず、間違え、記憶違い、或いは見当違い等も多々有るやも知れませんが、ヘヴィ系音楽に馴染みのない方に少しでも興味を持って頂けたり、又、興味はあるが、何を聴いてよいのか解らない、といった方々の参考にでもなれば、幸いと致す所です。


MY FAVORITES

最新版 '09年版 '08年版
 '07年版 '06年版  '05年版  '04年版  '03年版  '02年版

Heavyじゃないsphere

Profile

*凡例

ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い

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MY FAVORITES(特に好きなアーティスト)
担当別に列挙してみたいと思います。単純に僕の好みだけで行きます。ご了承下さい。又、括弧内は特に思い入れの強い時期です。

Guitarist
リッチー・ブラックモア('70〜'72頃) アンガス・ヤング マイケル・シェンカー('80前後) ウリ・ジョン・ロート(ウルリッヒ・ロートだった頃) イングヴェイ・マルムスティーン('83〜'86) クリス・インペリテリ デイヴ・ギルモア/PINK FLOYD ジェフ・ベック(第2期JBGの頃) ジェイムズ・マーフィー エイドリアン・ヴァンデンバーグ

Bassist
ゲディ・リー/RUSH('79〜'82頃) エリク・ラングロワ/CRYPTOPSY ジョン・ウェットン(KING CRIMSONの頃) スティーブ・ハリス ギーザー・バトラー/BLACK SABBATH ジョン・ポール・ジョーンズ/LED ZEPPELIN フランシス・ブッフホルツ/SCORPIONS ボブ・デイズリー/RAINBOW他 ジョン・ディーコン/QUEEN レックス/PANTERA クリフ・バートン(R.I.P)/METALLICA

Drummer
ニール・パート(ピアト)/RUSH('78〜'82頃) コージー・パウエル(R.I.P)('76〜'79頃) イアン・ペイス('70〜'72頃) マイク・ポートノイ/DREAM THEATAR ディーン・カストロノヴォ ピート・サンドヴァル/MORBID ANGEL フロ・モーニエ/CRYPTOPSY DOC(R.I.P)/VADER ジーン・ホグラン デイヴ・ロンバード ラーズ・ウルリッヒ ピーター・ウィルドアー/ARCH ENEMY・DARKANE ニコ・マクブレイン/IRON MAIDEN ヴィニー・アピス/DIO ロジャー・テイラー/QUEEN ビル・ブラッフォード/YES・KING CRIMSON スコット・ロッケンフィールド/QUEENSRYCHE ギル・ムーア/TRIUMPH ポール・ボスタフ/FORBIDDEN マイク・テラーナ/ARTENSION他 ボビー・コールドウェル/CAPTAIN BEYOND・ARMAGEDDON他 ジェフ・ポーカロ(R.I.P)/TOTO

Keyboardist
キース・エマーソン('70〜'72頃) ケン・ヘンズレー/URIAH HEEP ドン・エイリィ/COLOSSEUMII・RAINBOW他 ヤンネ・ウィルマン/CHILDREN OF BODOM ケヴィン・ムーア/DREAM THEATER アルフレッド・ブレンデル マウリツィオ・ポリーニ サンソン・フランソワ(R.I.P) グレン・グールド(R.I.P) エミール・ギレリス(R.I.P) ヴィルヘルム・バックハウス(R.I.P) フリードリッヒ・グルダ(R.I.P) ヘルムート・ヴァルヒャ(R.I.P) グスタフ・レオンハルト

Violinist
エディ・ジョブソン/U.K.他 ギドン・クレーメル イツァーク・パールマン サルバトーレ・アッカルド シギスヴァルト・クイケン 寺神戸亮


Cellist
アンナー・ビルスマ 鈴木秀美

Vocalist
イアン・ギラン('70〜'72頃) ロニー・ジェイムス・ディオ('75〜'83頃)
 ポール・ロジャース/BAD COMPANY
ブルース・ディッキンソン/IRON MAIDEN クラウス・マイネ/SCORPIONS('77〜'82頃) マーク・ボールズ W.アクセル・ローズ ウド・ダークシュナイダー/ACCEPT グラハム・ボネット フィル・アンセルモ/PANTERA ザック・デ・ラ・ロッチャ/RAGE AGAINST THE MACHINE セバスチャン・バック


Lyricist
ニール・パート/RUSH('78〜'85頃) ピート・シンフィールド/KING CRIMSON(1st〜3rdの頃) ロジャー・ウォータース/PINK FLOYD('73〜'77頃)


Composer
リッチー・ブラックモア ゲディ・リー&アレックス・ライフソン/RUSH J.S.バッハ W.A.モーツァルト L.V.ベートーヴェン F.P.シューベルト R.A.シューマン F.F.ショパン A.ブルックナー

Condudtor
フランス・ブリュッヘン トレヴァー・ピノック クリストファー・ホグウッド ニコラウス・アーノンクール カール・リヒター

Quartet
アルバン・ベルク四重奏団 メロス四重奏団

Orchestra
18世紀オーケストラ ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

Bands
RUSH DEEP PURPLE(第2期) KING CRIMSON BLACK SABBATH PINK FLOYD(ロジャー時代) YES U.K. RAINBOW('75〜'78頃) EMERSON,LAKE&PALMER LED ZEPPELIN  QUEEN('74〜'76頃) KISS('74〜'77頃) AC/DC IRON MAIDEN SCORPIONS JUDAS PRIEST CRYPTOPSY ARCH ENEMY SLAYER METALLICA('85〜'88頃) DREAM THEATER PANTERA

まだまだ沢山居りますが、限が無いのでこの辺で止めておきます。本当にリスペクトしています。

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以前の再発盤再発盤Violin Concertos Op. 8 Nos. 1-4 "Le quattro stagioni"/ANTONIO VIVALDI
ヴァイオリン協奏曲集 作品8 第1-4番 《四季》/アントニオ・ヴィヴァルディ order

 「《四季》が何でヘヴィなのぉ」と言われそうですが、この《四季》、IL GIARDINO ARMONICO(イル・ジャルディーノ・アルモニコ(「調和の庭園」の意)。以下IGA)が1993年に録音した《四季》は、ハード&ヘヴィ。一般の《四季》のイメージで聴いたら吃驚(びっくり)しちゃいますよ。私は吃驚しました。
 アルバム・ジャケットからして、一寸ロック・バンドみたいですものね(但し画像二枚何れも再発盤で、オリジナル盤は至って普通のヴェネツィア風景)。

 ロック・バンドみたい、と言っても、IGAは1985年伊太利亜ミラノで結成された立派なクラシック演奏者の集団。現在一般に使用される楽器(モダン楽器)とは少々異なる古楽器(ピリオド楽器、オリジナル楽器とも)を使用しバロック音楽を主なレパートリーとする、少々「過激」と呼ばれる斬新な解釈が有名なグループ。
 そのIGAの代表的作品として有名なのが、このアントニオ・ルーチョ・ヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi 1678-1741)が生んだ《四季》。

 現在では大抵の人は名前くらいは知っているヴィヴァルディですが、実は結構長い間忘れられた存在だったのです。
 ヴィヴァルディは、ヴェネツィアの理髪師の家に生まれ、25歳で司祭となり、同時期に孤児院(Ospedale della Pieta ピエタ養育院(慈善院))付属女子音楽院の教師となり、教え子達(平均年齢≒40歳とか)が定期ライヴで奏するための楽曲を断続はありながらも創り続けました。が、後1740年、理由は不明ですが、ヴェネツィアを去り、翌年63歳でウィーンにて客死。遺体は、市民病院付属の墓地に埋葬されました(墓地は現在ウィーン工科大学となり墓はなく、建物壁面にヴィヴァルディが嘗て此の地にに葬られたことを示すプレートがあるのみとか)。
 その後彼及び彼の膨大な作品(知られているだけで協奏曲で500、オペラで50を超える)は永らく忘れ去られ、19世紀も後半になって、J.S.バッハ(1685-1750)に影響を与えた音楽家として知られるようになり、さらに1926年彼の自筆譜がトリノ大学図書館で大量に発見されるに及び、再評価され広く知られるようになりました。詰まり、今では知らぬ人とて無いこの《四季》も、実は20世紀になってやっと復活したのです。しかも、一般に演奏され聴かれるようになるには、第二次大戦後まで待たねばなりませんでした(1951年カール・ミュンヒンガー指揮(シュトゥットガルト室内管弦楽団)及び1955年イ・ムジチ合奏団による《四季》が大ヒット。バロック音楽自体が大ブームとなって行く)。

 《四季》はヴィヴァルディが命名した正式な名称ではありません。これは、1725年に出版された、「和声と創意の試み 作品8」と言う名称の全12曲から成る協奏曲集の、其々「春」「夏」「秋」「冬」と題された第1番から第4番までの謂わば総称・通称。誰でも何処かで耳にし知っているであろう楽曲ですが、これは余り知られていないのではないでしょうか。斯く言う私もその一人でした。
 「春」「夏」「秋」「冬」四曲には、其々ソネット(ルネッサンス期伊太利亜で創られた十四行の定型詩。作者は不詳。ヴィヴァルディ本人が用意したと考えられている)が添えられ、曲は各季節を描写したこの詩の内容を表したものになっています(その為、後盛んになる標題音楽の先駆とも呼ばれています)。《四季》は日本はじめ世界中で愛されていますが、少なくも日本で他のクラシック作品に比し圧倒的とも言えるポピュラリティを得ている理由の一つは、この四季折々の描写(それが日本とは異なる北伊太利亜の季節であっても)が日本人独特の繊細な季節感覚を擽(くすぐ)るからかもしれませんね。
 以下に、長くなりますが、ソネットを記載します。

◆第1番「春」 La primavere
第I楽章:
春がやって来た、そして小鳥たちは
嬉しそうに歌って春に挨拶する。
泉は微風(そよかぜ)にあわせて
やさしく囁きながら流れだす。

第II楽章:
花盛りの牧場では
木々の葉が優しくざわめき
羊飼いは忠実な犬を傍らに眠っている。

第III楽章:
牧歌的な牧笛の陽気な調べにあわせて
ニンフと羊飼いは愉快に踊る、
輝くばかりの装いの春のなかに。

◆第2番「夏」 L'estate
第I楽章:
太陽も焼けつくように照るこの厳しい季節に
人も家畜も元気を失い、松の木さえも暑がっている。
郭公が鳴きはじめ、そしてしきりに
山鳩と鶸(ひわ)が歌う

優しい微風を追い払って、突然に
北風が襲いかかる。
羊飼いは泣く。俄かに雨を怖れ
自分の不運に恐れ戦(おのの)いて。

第II楽章:
羊飼いは疲れた体を休めることも出来ない。
稲妻と激しい雷鳴、そして蚊や蝿の
怒り狂う群れに脅かされて。

第III楽章:
ああ、彼が恐れていた通りになった。
空は稲妻、雷鳴、果ては霰(あられ)まで降らせ
熟した果物や穀物の穂をみな叩き潰す。

◆第3番「秋」 L'autunno
第I楽章:
村人たちは踊りと歌で
恵まれた収穫を喜び祝う。
バッカスの酒のお蔭でこんなに沸き立ち
みんな眠りこけるまで楽しむ。

第II楽章:
一同が踊りと歌をやめたあとには
秋の穏やかな空気が快い。
そしてこの季節は甘い眠りで
すべての者を気持ちの良い憩いへと誘(いざな)う。

第III楽章:
夜明けになると 狩人たちは狩に出掛ける、
角笛と鉄砲を持ち、猟犬たちを連れて。
野の獣は逃げ、彼らはあとを追う。

獣は既に怯え、騒がしい
鉄砲の音と犬の声に疲れ果て傷つき、戦(おのの)いている。
最早逃げる力もなく、追い詰められて倒れる。

◆第4番「冬」 L'inverno
第I楽章:
冷たい雪の中の凍りつくような寒さ、
吹きすさぶ荒々しい風の中を行く。
絶え間なく足踏みしながら走り
余りの寒さに歯の根が合わない。

第II楽章:
炉辺(ろばた)で静に満ち足りた日々を送り
その間、外では雨が万物を潤(うるお)す。

第III楽章:
氷の上を歩き、ゆっくりとした足取りで
転ばないように注意深く進んでゆく。

乱暴に歩いて、滑って倒れ
また起き上がって、氷の上を激しい勢いで走る、
氷が砕け、裂け目が出来るほど。

閉ざされた扉の外に出て
南風、北風、あらゆる風が戦っているのを聴く。
これが冬なのだ、でも、なんと言う喜びを齎(もたら)すのだろう。

*イ・ムジチ合奏団1969年録音盤(PHILIPS(日本フォノグラム))解説より転載

 《四季》の構成は、第1番「春」と第3番「秋」が明るめの長調(メジャー・キィ)、第2番「夏」と第4番「冬」が暗めの短調(マイナー・キィ)(このバランスの取れた構成も好まれる理由の一つかもしれません)。私はなんと言っても、激しさとダークさを醸す、「夏」と「冬」が好き。最もオーソドックス或いはスタンダードと言われている、イ・ムジチ合奏団による演奏を聴いていた頃より、結構ハード・ロッッキングではないか...と思っておりましたが、IGAで聴くと更にハード・ロッキング。全編鋭角的で派手目のアーティキュレーション(音と音の切り方繋げ方。音に強弱・表情を付ける。記号で言えばスタッカート(音を切る)、スラー(滑らかに繋げる)、アクセント(強く鳴らす)等)ではあるのですが、くどいほどの激しいディナーミク(dynamik(独) dynamics(英) 強弱法。音に強弱の変化をつけ表情を変える)で揺さぶる短調作品は殊更に鋭角的に切れ込み、ダイナミックにヘヴィ・メタリック。ヴァイオリンの早弾きなどメタラーはつい指が動き、エア・ギターしたくなってしまいますよ(「冬」のフレーズがブラジルのメタル・バンド、ANGRAの"Evil Warnig"と言う曲のギター・ソロに違和感無く引用されています)。「夏」「冬」どちらも第2楽章は緩徐楽章(Adagio(緩やかに)やLargo(幅広く緩やかに)等の緩やかな楽章)ですが(「冬」の第2楽章はTVCMで、まったりとした冬の団欒シーン等のバックによく使用される)、それはそれで全体的なメリハリを生んで、メタル的ドラマティックな空気を醸している。
 IGAのこの作品、全体を通し大分と濃厚な「四季」と言えましょう。イ・ムジチ合奏団の描く「四季」に比し、どの季節もコントラストが強烈。「春」はより楽しげに喜びが踊り、「夏」は殊更に暑苦しいし、「秋」はより華やかで、「冬」は殊更に寒風が凄まじい。非常に動的でオーヴァー・アクション気味。けれどけっして重苦しくならなく何処か軽やかな「歌」が感じられるのは、矢張り伊太利亜の「血」、と言うことなのでしょうか?

 同じ様な方は結構多いと思いますが、私が生まれて初めて購入したクラシック系アルバムは、《四季》でした。上記イ・ムジチ合奏団による演奏で、ソリストはロベルト・ミケルッチの1969年録音盤(ソネットを借用させてもらったもの)。当時私が敬愛していた登山家・詩人の串田孫一氏(1915-2005)が解説を書かれていたものだったので、数あるレコード(CDではない)の中からこのアルバムを、おそらくチョイスしたのだと思います。薄っすらそのように記憶しているな...。
 私は現在、《四季》のアルバムは計4種所有しています(と言ってもCDの所有はなくPC内に取込んでいるだけですが)。IGAの他に、同じ古楽器である、クリストファー・ホグウッド指揮(エンシェント室内管弦楽団)(1982)のもの、そして最初に聴いたイ・ムジチ合奏団のもの、そして元SCORPIONSの独逸人ギタリスト、
ウリ・ジョン・ロートの"METAMORPHOSIS(メタモルフォシス(変身・変容の意))"(2003)アルバム。最後のアルバムは、弦楽とチェンバロをバックにドラムとギターが思いっきりハード・ロック&ヘヴィ・メタルした作品で、《四季》をアレンジし更に自ら「第5番」を作曲・付加し再構築したもの。アタック音(弦を弾いたときに出る音。弓で弾く場合殆ど無いがピックで弾くと結構目立つ)の無いヴァイオリンのフレーズをアタック音の強いエレクトリック・ギターで弾いているのは若干の違和感を覚えますが、これはこれで面白い。HR/HM或いはウリのファン以外の方には余りお勧めできませんけれど...。
 ウリのものは上記の如く可也聴く人を選びますが、他は無理なくお勧めできます。聴きやすいものをお求めなら、なんと言ってもイ・ムジチ。モダン楽器によるロマン的な演奏(情緒たっぷりで濃厚...と言った感じか。極一般に耳にするクラシック演奏のタイプ)ですので、馴染み易い。その透明感に満ちた音像は普遍的。古楽器が良ければ、ホグウッド。癖の無いキビキビとしたスタイルは、ロマン的演奏に慣れた耳には新鮮(四つの季節を四人のヴァイオリニストが弾き分けているのも面白い)。普通はイヤ、癒しより刺激を、と言う方には、このIGAですね。又、高度な演奏技巧に身を浸したい、と言う方にも、IGA。
 何れのアルバムを選んでも、《四季》の素晴らしさには、如何程の違いも御座いません。良い素材を其れなりの腕を持った人が捌(さば)けば美味しくなるのです。あとは好みの問題だけです。

 それにしても、《四季》はいろいろと弄(いじ)られ易い。1977年のアーノンクール盤以降、このIGA他の伊太利亜のアーティストを中心に、様々な「新解釈」を加味した「過激」盤が多い(ウリのHR/HM盤もその一つと言えるか?)。有名で話題になり易い(売れ易い)と言うのも理由として大きいのでしょうが、矢張り根本は、この《四季》が、一寸やそっとのアレンジや「新解釈」ではビクともしない、作品としての懐の深さを持っているからではないか、と思うのですが、どうでしょう?
 今更誰でも知っている《四季》なんて、とお思いでしょうが、多くの方は「春」をご存知と言うことではないでしょうか。全編聴き通している方は、「運命」同様、案外と少ないかもしれません(そんな事無い?)。
 
「春」ばかりが四季じゃあ御座いません。是非、誰のどの演奏でも良いですから、「四季」を通じて聴いて下され。

 '10 Minaduki/27
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お気に入り度:♭♭♭♭ ビギナーお薦め度:♭♭(イ・ムジチ盤・ホグッド盤なら♭♭♭♭)
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭♭ 暗度:♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭(イ・ムジチ盤・ホグッド盤なら♭♭♭♭♭)
〔作品3の「調和の霊感(調和の幻想)」もお勧め。《四季》が気に入ったら是非次に。CD2枚なので一寸長いですが、《四季》のような華はなくも作品としての深みや味わいは、此方の方があるかも。バッハもこの作品からこの作品では個人的には、ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテのアルバム(1998)が好き。IGA程ではないですが結構の「過激派」。この作品もイ・ムジチ合奏団の端正な演奏を聴き慣れていたのでIGAの《四季》のとき同様はじめて聴いたときはその大胆さに驚きました〕

*古楽器:主に中世・ルネッサンス・バロック期から古典派初期頃までの様式に基づいている楽器。実際使用されていたものと復元されたもの(レプリカ)とがある。19世紀以降現在に至り使用されているモダン楽器とは素材が異なったり(フルートは金属ではなく木製とか)弦が異なったり(ヴァイオリンやチェロの弦が金属弦ではなくガット弦(クラシック・ギターを思い浮かべて下さい)とか)等様々な違いがある。また奏法も微妙に異なったりする。例えばヴァイオリンは顎当てがなく固定されないためヴィブラートは多用されない等
*和声と創意の試み:「創意と和声の競演」など訳はいろいろ
*ヴェネツィア(Venezia):伊太利亜北東部の都市。ヴェネト州州都。人口≒27万人。7世紀末から18世紀末まで続いたヴェネツィア共和国首都でもあった(共和国は1797年ナポレオンに降伏し滅亡)
*バッハへの影響:バッハがヴァイマール宮廷に勤めていた頃(1708-1717)ヴィヴァルディの作品に出会い知られている限り10曲を研究目的を含め編曲している
*協奏曲:Concerto(コンチェルト)。一つ或いは複数の独奏楽器(群)とオーケストラ(管弦楽)によって演奏される楽曲のスタイル。古典派以降3楽章形式(急(速い楽章(Allegro(速く))など)−緩(緩やかな楽章(Adagioなど))−急)が一般ですが、これはヴァイヴァルディの確立したもの
*バロック音楽:1600年頃から1750年頃までの西洋芸術音楽。ルネッサンス音楽と古典派音楽に挟まれる時代。歌劇・器楽演奏の発達、通奏低音の使用などで特徴付けられる。主に「教会」と「貴族」に支えられた音楽。が、市民階級も徐々に参加し始めた時代でもある
*古典派:下の「死と乙女」の「古典派音楽」の項をご参照下さい
*イ・ムジチ合奏団:1952年サンタ・チェチーリア音楽院卒業生により結成された世界で最も有名な室内楽団の一つ。指揮者は置かず合議により音楽を作り上げる。"I MUSICI"は伊太利亜語でミュージシャン(複数形)の意
*クリストファー・ホグウッド(1941-):英吉利の指揮者・鍵盤奏者。音楽学者としての側面も持つ。古楽演奏のビッグ・ネームの一人。1978〜1985年にかけて録音されたモーツァルト交響曲全集は新たなモーツァルト像として当時衝撃的だった
*ニコラウス・アーノンクール(1929-):独逸生まれの指揮者・チェロ奏者。古楽器演奏を主とするが1980年代からはモダン・オーケストラも指揮する。斬新・個性的な演奏が多い。現代のカリスマ指揮者の一人
*標題音楽(Program music):楽曲の内容・性格を示すタイトルや文章を付し文学的或いは絵画的内容を音で表現・描写したもの。或いは音楽外の詩的イメージや雰囲気を描写・表現した音楽。ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」、ベルリオーズの「幻想交響曲」、ムソルグスキーの「展覧会の絵」、スメタナの「わが祖国」、ホルストの「惑星」、リヒャルト・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語った」等など。対する概念として、文学・絵画等の音楽外のものと結びつくことなく音楽そのものを音楽で表した「絶対音楽」がある。一般的なクラシック音楽はこちら
*《四季》は弄られ易い:西班牙の、Los Canarios(ロス・カナリオス(カナリアの意))と言うプログレッシブ・ロック・バンドが、"CICLOS(シクロス(周期・サイクルの意))"(1974)と言う作品で、《四季》全編を可也アバンギャルドにロック化している(全編通しでは未聴の為詳細は不明です)

シューベルト弦楽四重奏曲第14番(メロス四重奏団)Streichquartett Nr. 14 D-moll D 810 "Der Tod und das Madchen"/FRANZ PETER SCHUBERT
弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810 《死と乙女》/フランツ・ペーター・シューベルト order

 シューベルトの苦悩は疾駆し、運命の如く戸を叩く。
 形容すれば斯くの如し。モーツァルト的スピード感と、ベートーヴェン的重厚感と緊張感を湛(たた)えた本作は、私のシューベルト観を、一変させてくれるものでした。

 シューベルト(1797-1828)と言えば、薄い微笑を湛(たた)え音楽室の壁に懸かるカーリー・ヘアに眼鏡の気の良いお兄さん、的なイメージ及び、「アヴェ・マリア(D839)」「子守唄(D498)」「野ばら(D257)」を代表とするような歌曲のイメージが強く、その作品は、明るい仄々(ほのぼの)系か「未完成交響曲(交響曲第7番)(D759)」のようなセンチメンタル(と当時は感じていた)系
、と勝手に思い込んでいた年月が、小・中学校以来私は永かった。
 それが、二年弱前に突如始まった、個人的クラシック・ムーヴメントの極初期、元々好きだったベートーヴェンに近い存在であるシューベルトに興味を持ち、この作品、メロス四重奏団による「後期弦楽四重奏曲集」第1曲であるこの作品を聴くに及び、こんなに悲壮感に満ちたヘヴィな楽曲も書いていたのか...と、彼を聴く耳がすっかり変わってしまいました。
 シューベルトは(番号付のものは)全部で15の弦楽四重奏曲を残していますが、一般的に、1920年に作られた第12番(D703)以降が作品として高く評価され、聴かれ演奏される機会が多い。12番から15番のこれら4曲を「後期」作品として分類するのが専(もっぱ)ら。
 第12番と、「大交響曲への道を開く」為に1824年から1826年にかけて作られた第13番(D804)「ロザムンデ」、第14番、第15番(D887)の3曲は多かれ少なかれ重厚でダークな面持ち。中でもこの第14番は、最もヘヴィ&ダーク。ほぼ同時期の第13番には、彼らしい「歌」があり、叙情的で優美なかほりも漂うのに比し、徹頭徹尾と言っても過言で無いほどに、劇的で暗度が高い。
 「死と乙女」というニック・ネームは、第2楽章に、歌曲「死と乙女(D531)」のピアノ伴奏の一部が引用されているため付けられたものです。この「死と乙女」は、病に伏す少女と死神との対話を描いた、マティアス・クラウディウスの詩による歌。少女は死を拒むが、死神の齎(もたら)す死は、苦ではなく永遠の安息であるというもの。シューベルトは、この歌の内容を踏まえた上でこの弦楽四重奏曲に取り入れたものなのかどうか、詳細は不明です。しかし、曲を聴く限り、「死」を意識して書かれたのかも知れない...と思いたくなるのが、正直なところ。

 シューベルトは、神の如く畏怖し尊敬したベートーヴェンの葬儀で棺を担いだその翌年、最も愛したモーツァルトよりも短い、31年の生涯を閉じることとなります(兄フェルディナンドの計らいでベートーヴェンの墓の隣に葬られた)。原因は罹患した腸チフスと言われていますが、もっと以前に罹患した梅毒に拠るものとの説もあるようです。何れにしろ、二十歳代後半当時彼の健康状態は良好と言えるようなものではなく、この弦楽四重奏曲第14番を書いている頃は、健康の衰えに悲観的になっていたとも言われています。
 第1楽章(ニ短調 アレグロ)で繰返される主題(大本となるメロディー)は、ベートーヴェンの第5交響曲を髣髴(ほうふつ)させ、緊迫し突っ走る第4楽章のニ短調プレストと相俟(あいま)って、彼シューベルトの4年の後を知る身には、勝手ながら、過酷な「運命」に追い立てられる様に筆を進める姿を重ねたくもなります。
 この弦楽四重奏曲第14番を含め、シューベルトの晩年の作品には、壮大とも言えるスケールの大きさを湛えた作品が多い。1824年の八重奏曲(D803)、1825〜6年の交響曲第8番「ザ・グレイト」(D944)、1826年の弦楽四重奏曲第15番(D887)、そして最後の年に産み出された、弦楽五重奏曲(D956)及び第19番から第21番の三曲のピアノ・ソナタ(D958,D959,D960)等。衰える肉体と反比例するように、彼の精神は、拡大を求めていたのかも知れません。

 弦楽四重奏曲、略して「弦四(げんし。私は「げんよん」とも言う)」。このジャンルの最高峰とされるのは、ベートーヴェンの第12番から第15番及び大フーガの所謂後期作品。その5曲は、シューベルトの後期弦四と時代的には略(ほぼ)同時期とも言える1825年から1826年に作られています。この文章を書くにあたり彼是(あれこれ)調べるうち、はじめて気付きました(ベートーヴェンの後半生とシューベルトの生涯は殆ど重なっているのですから、両者の晩年の作品は同時期になるのは考えてみれば、当たり前なのですが、制作時期を気にしながら聴くということはあまりしないので気付きませなんだ)。ベートーヴェンの到達した高み・深みとは又異なるものではありますが、まだ二十代の彼シューベルトが同時期に此処まで音楽的高み・精神的深みに到達していることに、驚いた次第です。
 ロマン的世界の大気を呼吸しながら、古典的世界(或いはベートーヴェン)への憧憬(しょうけい)に焦がれ続けたシューベルトの、両世界を超越した一つの答えが、死を前にした弦四群に明確に表れている、そんな様にも私には聴かれます。

 弦楽四重奏曲、と言えば、一にベートーヴェン(1770-1827)、二にモーツァルト(1756-1791)とハイドン(1732-1809)(元祖「弦四」)、そして三にバルトーク(1818-1945)とショスタコーヴィチ(1906-1975)、と来るでしょうが、シュヴァンメル君を、忘れてもらっては困ります。

 '10 Kisaragi/11
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お気に入り度:♭♭♭♭ ビギナーお薦め度:♭♭♭♭
重度:♭♭♭ 硬度:♭♭♭ 暗度:♭♭♭♭ 技巧度:♭♭♭♭ 旋律度:♭♭♭♭ ポップ度:♭♭♭
〔独逸のメロス四重奏団(Melos Quartett(1965-2005))による1989年11月録音。"Melos"はメンバーの名の組合せとラテン語で「音楽、旋律」等を表す語を重ねたもの。ジャーマン・メタルにも通ずるドイツ的重厚さと濃厚さを私は感じます。ジャケットの絵はムンク〕

*D(ドイチュ)番号:墺太利の音楽学者オットー・エーリッヒ・ドイチュ(1883-1967)によって作られたシューベルトの作品目録に記された番号。ドイチュ(Deutsch)の略ではなくあくまで記号である為、「D.810」ではなく「D810」と言うように表記してほしいと述べているそうです
*アレグロ(Allegro)、プレスト(Presto):アレグロは伊太利亜語の「陽気に」の意だが音楽用語としては「速く、軽快に」の意。プレストは同じく伊太利亜語で「急速に(アレグロより速く)」の意
*古典派音楽:バロック音楽に続く時代の音楽。一般にJ.S.バッハの死(1750)辺りからベートーヴェンの死(1827)辺りの時代。狭義の「クラシック音楽」はこの「古典派音楽」を指す。均斉感、論理的構成・展開、ホモフォニー(一つの旋律を主としそれを和音で伴奏する形態(主旋律と伴奏がセット)。同時に鳴る音が一つでないのに旋律は一つ)、ソナタ形式の発展等が特徴
*ロマン派音楽:古典派に続く時代の音楽。1800年代初頭から1900年代初頭辺りほぼ19世紀の音楽。ロマン主義(1700年代末から1800年代半ばにかけての芸術・思想の自由解放を求めた一大ムーヴメント。個性、感情の重視)的精神により発展。主観的・感情的、自由な様式、個性重視、芸術家意識の高まり等が特徴。のち民族主義も台頭
*未完成交響曲:嘗ては第8番とされたが1978年のドイチュ目録改訂により第7番とされた。しかし今でも第8番と表記される場合がある
*弦楽四重奏曲第13番(D804):劇付随音楽「キプロスの女王ロザムンデ(D797)」の第3幕間奏曲を第2楽章に使用している(「逆」であるとの説もあるらしい)ため「ロザムンデ」と呼ばれる。生前に出版された唯一の弦楽四重奏曲。因みに劇「ロザムンデ」(ヘルミーナ・フォン・シェジー(1783-1856)作)自体は評判は芳しくなかったようで音楽だけを残し台本も散逸し残念ながら忘れられた存在となってしまいました
*「大交響曲への道を開く」為に...:同時期の八重奏曲(D803)と共に、友人への手紙(1824年)の中で、これ等の曲作りの中から大交響曲(交響曲第8番(D944)「ザ・グレイト」を指すと考えられている)への道を開きたい、と言う意図を述べている
*交響曲第8番(D944)「ザ・グレイト」:出版社の人に「あのデッカイ曲」と呼ばれたためのニック・ネームとか。シューベルトの死後、彼を慕うシューマン(1810-1856)により発掘され、1839年メンデルスゾーン(1809-1847)指揮(ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団)により初演された
*晩年の作品:弦四がヘヴィ&ダークなのでその系の曲が多いと思われるかもしれませんが、八重奏曲(D803)、交響曲第8番(D944)、弦楽五重奏曲(D956)、そして二曲のピアノ三重奏曲(D898,D929)、及びヴァイオリンとピアノのための幻想曲(D934)等、伸びやかな明朗さを持つ楽曲も多い。即興曲集(D899,D935)はやや暗め、歌曲「冬の旅(D911)」ははっきり暗い、ですが...
*シューベルトの墓:死の前夜、混濁する意識の中で「ここにはベートーヴェンがいない」と話すフランツの気持ちを酌み兄フェルディナンドは父を説得し、ヴェーリング墓地のベートーヴェンの墓の隣に彼を埋葬した。両者の墓は後ウィーン中央墓地に移され、ヴェーリング墓地はシューベルト公園となったが二人の墓碑はそのまま残されている
*シュヴァンメル:きのこ。シューベルトは友人達に「きのこちゃん」と渾名されていたらしい
*ジャーマン・メタル:古くは
SCORPIONSACCEPT、そして後にはHELLOWEEN、そしてBLIND GUARDIANと、独逸バンドのメタルを「ジャーマン・メタル」と日本では呼び習わす。何処かあか抜けず、男くさく、親しみやすく、又哀愁が漂い、クサイ程のメロディアスさドラマティックさを特徴とする濃厚なメタル

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:HeavyMetal  :HardRock :ProgressiveRock  :その他(Rock音楽以外も含む)
(あくまで主観に依る分類です。色の違いに特に意味はありません)
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           ♭♭♭♭♭是が非にもお聴き下さい
重度(ヘヴィさの度合い):♭左程ではない ♭♭まあまあ ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
              ♭♭♭♭♭尋常ではない
硬度(ハードさの度合い):♭左程ではない ♭♭まあまあ ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
              ♭♭♭♭♭尋常ではない
暗度(ダークさの度合い(雰囲気のヘヴィ度)):♭暗くはない ♭♭一寸 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭可也
                           ♭♭♭♭♭呆れるほど
技巧度(演奏超絶度):♭そこがウリではない ♭♭(失礼ながら)意外と ♭♭♭普通 ♭♭♭♭可也
             ♭♭♭♭♭尋常ではない
旋律度(メロディアス度(旋律の美しさ)):♭ないに等しい ♭♭若干 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭相当
                        ♭♭♭♭♭あふれる程
ポップ度(親しみ易さ):♭ない ♭♭若干 ♭♭♭普通 ♭♭♭♭結構 ♭♭♭♭♭可也
(以上すべて5段階評価(独断及び偏見))
(vo):ヴォーカル (g):ギター (b):ベース (ds):ドラムス (key):キィボード
HR/HM:ハード・ロック/へヴィ・メタル プログレ:プログレッシブ・ロック メタラー:ヘヴィ・メタル・ファン
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ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い

 HardRockとHeavyMetal。何処が違うの?とお思いの方は多いのではないでしょうか。新聞等でも、可也曖昧な使われ方をしているのを見かけます(これら音楽が新聞記事に取り上げられる事自体、滅多に御座いませんけれど...)。そこで、私見ではありますが、少々、この二つの音楽の違いにつき、解説させて頂きたいと思います。
 ハード・ロックとへヴィ・メタル。この二つ、"HR/HM(ハード・ロック/へヴィ・メタル)"と表記される事も多く、非常に近しい間柄・関係ではありますが、明かに異なるものです。特殊化の度合いが異なる、と言えるでしょうか。

 先ずはHardRock。ハード・ロックは、読んで字の如く、「ハード」なrock。要するに、rock音楽の持つ様々な要素のうち、ハード・へヴィ・アグレッシヴ等と言う部分を強調する方向へ少し特殊化したものです。よって、まだロック音楽の持つ一般的性質を色濃く持っています。ブルース基調であり、アコウスティック楽器(ギター・ピアノ等)を多く用いたり、popな曲やスロー・バラードがあり等、サウンド的にバラエティに富んでいます。また、歌詞は、「車と女の子とお酒とドラッグ」がメインのテーマとなることが多く、その多くがラヴ・ソングで有る等、初期ロックン・ロールの持つ性質を色濃く残しています(プログレッシブ・ハード・ロックは例外的)。全体にノリ重視で有る為、さほど速くは無く、所謂”横揺れ”です。またグルーブ感(機械的ではない、人間的な雰囲気・ノリ、とでも言えましょうか)が強いのも特徴です。特殊化の度合いが少ない分柔軟性があり、形への拘りは比較的弱い。陽性度高。
代表的アーティスト:LED ZEPPELIN URIAH HEEP JEFF BECK GROUP FREE BAD COMPANY KISS AEROSMITH QUEEN BOSTON AC/DC THIN LIZZY VAN HALEN WHITESNAKE GARY MOORE
DEF LEPPARD BON JOVI GANS N' ROSES SKID ROW FAIR WARNING RUSH TRIUMPH KANSAS MR.BIG ROYAL HUNT
 *アーティストの分類は、飽くまで個人的見解です。

 次ぎにHeavyMetal。辞書で引くと「重金属(比重5.0以上)」「重砲」。ハード・ロックが進んだ、ハード・ヘヴィ・アグレッシブ等と言う方向への特殊化を更に進めたものです。よってロック音楽の持つ一般的性質は希薄となっています。初期を除きブルース色は殆ど見られず、フュージョン・クラシック等の要素が、特に演奏面に見えてきます。アコウスティック楽器は殆ど味付け・点景程度の使用となり、popな曲やバラードは例外的或いは皆無。楽曲的なバラエティさは後退し、逆に音楽性の幅は広くなります。歌詞は、ファンタジックなもの、社会的・思想的なものが主流で、生活感は希薄となり、ラヴ・ソングは絶無に等しくなります。スピード感や重さが重視され、所謂”縦ノリ”です。グルーブ感は後退し、複雑なリズム・チェンジや曲構成、また高度な演奏技術などが特徴となります。やや、プログレッシブ・ロック寄りの性質を持つとも言えるかもしれません(実際メタラーにはプログレ・ファンが多い)。特殊化の進んだ分フレキシビリティは低下し、形(様式)へのこだわりが強い。陰性度強。
代表的アーティスト:BLACK SABBATH RAINBOW JUDAS PRIEST IRON MAIDEN EUROPE ACCEPT SLAYER METALLICA MEGADETH DESTRUCTION HELLOWEEN  YNGWIE J. MALMSTEEN STRATOVARIUS RHAPSODY PANTERA EMPEROR MORBID ANGEL IN FLAMES ARCH ENEMY QUEENSRYCHE DREAM THEATER
 *アーティストの分類は、飽くまで個人的見解です。

 ファジィ集合。両者の性質を併せ持つ、分類の難しいアーティスト。「ハード・ロック」と言う集合への帰属度も「ヘヴィ・メタル」と言う集合への帰属度も同程度の、境界付近に分布するアーティスト。境界と言っても、ここから赤、ここから青、と言えるほどはっきとりした不連続的なものではなく、連続的・段階的に移行して行くものです。近くで見れば、赤紫・紫・青紫等など、無限に中間の色が見え判然としませんが、少し俯瞰するとはっきりと境界が現れる、と言う様なものです。
代表的アーティスト:DEEP PURPLE UFO SCORPIONS MICHAEL SCHENKER GROUP MOTLY CRUE
RIOT
 *アーティストの分類は、飽くまで個人的見解です。

 最後に、ラウド・ロック/モダン・へヴィネス/モダン・へヴィ・ロック/ニュー・メタル etc.
 比較的最近(’90年代半ばくらい)生まれたスタイルなので、オールド・ファンの小生としては、未だ詳らかではない部分が非常に多く、語るべき何物もない状態に等しいのですが、少し聴きかじった限りの中で敢て書かせて頂ますと、ハード・ロックやオーソドックスなへヴィ・メタル、またデス・メタル等に根を持ちつつ、ラップ・ヴォーカルやサンプリングまたパーカッション等、HR/HMとは縁稀薄な要素や、’80年代以降のHR/HMの潮流の中で忘れられた ’70年代的アイデアやフレキシブルさを取込んだり、HR/HMには欠かせないギター・ソロが皆無であったり等、固定化された従来のスタイルには囚われない、新興タイプ。硬質なサウンドや、歌詞、また縦ノリ感等のへヴィ・メタル的要素の中に、ハード・ロック的グルーブ感やそこはかとないポップ感も垣間聴こえ、私的には未だ未知の世界...。
代表的アーティスト:KORN MARILYN MANSON FEAR FACTORY RAGE AGAINST THE MACHINE
SLIPKNOT HELMET
 *アーティストの分類は、飽くまで個人的見解です。

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 進化の系統樹で言えば、ロック音楽と言う幹から、ハード・ロックが枝分かれし、其処から更にヘヴィ・メタルが枝分かれした、と言えるのではないかと思います。第一の枝分かれから第二の枝分かれまでは左程時間はかかっておらず、第一の分化は’60年代終わり頃、第二の分化は’70年代初等です。
 ’70年代半ば以降、ハード・ロックの枝からはプログレッシブ・ハード・ロック、ヘヴィ・メタルの枝からはプログレッシブ・メタル、ネオ・クラシカル、スラッシュ・メタル、デス・メタル、ブラック・メタル等の、言わば亜種と呼べるようなものが、更に枝分かれし、細分化・特殊化が進んで行く事になります。

 特殊化の度合いの違いを、哺乳動物に例えてみると(何故動物?)、ハード・ロックは海豹(あざらし)・オットセイ、ヘヴィ・メタルは海豚(いるか)・鯨と言えるかと思います。本来陸上生物である哺乳動物が、水中生活への適応と言う方向へやや特殊化したのが海豹・オットセイ。まだ陸上での行動を行います。其れに対し、海豚・鯨となると、更に水中生活適応へと特殊化し、陸上での行動はほぼ不可能となっています。ただし、ハード・ロックとヘヴィ・メタルの関係とは異なり、海豹・オットセイと海豚・鯨は系統的には全く別です。
 かえって解り難かったか...。何れにしろ、特殊化の度合いが異なる、と言う事ではないかと、思う訳です。

 以上、「ハード・ロックとヘヴィ・メタルの違い」について私見を述べさせて頂きましたが、是は飽くまでも、「ハード・ロック」「ヘヴィ・メタル」と言う集合全体としての話、全体的な傾向としての話であって、必ずしも個々のアーティストに其の侭当て嵌まるものではありません。前述の様に、境界付近でどちらとも言えないアーティストも多く居りますし、個々のアーティストの中にもハード・ロック/ヘヴィ・メタルに限らず、様々な音楽の要素が其々の比率で混在・並立して個性を形作っている訳ですから。また同一アーティストでも、時期によりハード・ロック的であったりヘヴィ・メタル的であったりもしますしね。
 「ハード・ロックとヘヴィ・メタルってどう違うの?」と良く訊かれるので、僕個人の見解を述べさせて頂きましたが、ハード・ロックとヘヴィ・メタルに分ける事自体、別に意味は無いですね。ジャンル分け等何に限らず、販売・陳列・検索上等の便利の為のもので、それ以上でも其れ以下でもないです。拘りは禁物です。スピリットへの拘りは良いですけどね。「メタル魂」とか、「パンク魂」とか。

 序に一言。メタラー(メタル・ファン)に「ヘヴィ・メタ(或いはヘビ・メタ)」と言うと、気分を害されるか、「古ぅ〜」と笑われるかのどちらかです。「ヘヴィ・メタル」又は「メタル」と言いましょう。

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*「へヴィ・メタル」の語源:
「へヴィ・メタル」とは、本来は、比重5.0以上の金属、「重金属」を指す言葉。それが何時の頃どの様に、サウンド或いは音楽の一スタイルを表す言葉として使用されるようになったのか、という事については、諸説あるようですが、最も有力視されている説は、英吉利の作家ウィリアム・バロウズ(William S. Burroughs(1914-1997))が、1960年代に、作品中で使用した「へヴィ・メタル」を、1970年代初頭、ある音楽ジャーナリスト(サンディ・パールマン。バンド・マネィジャーでもある)が、BLUE OYSTER CULT(ブルー・オイスター・カルト1972年デビューの亜米利加ン・ロック・バンド。「米版ブラック・サバス」として売り出そうと言う試みもあったとか)の音楽を表現する為(プロデュースする為)に流用したのが最初である、と言うものです。このバンド自体の音楽は、現在へヴィ・メタルと呼ばれている様な音楽スタイルとは、異なる(音像は確かにへヴィ・メタリックですが、ハード・ロックかな...と個人的には感じております)

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